霧氷は、過冷却にある霧や雲、空気中の水蒸気が昇華によって樹木に付着した小さな氷である。北海道等、冬の寒さが厳しい所では平地でも見られるが、本州等では、標高の高い高原や湖、湿原、河川で見ることができる。本ブログで掲載した霧ヶ峰や美ヶ原などは高原霧氷であり、上高地は湖、湿原、河川霧氷になる。白く輝く様はたいへん美しいが、いつ行ってもみられるものではなく、霧氷が付くには条件がある。
高原では、氷点下で天候が荒れると、過冷却の霧や雲が高原の木々を流れて霧氷が付着するが、湖や湿原、河川では、湿った空気が昇華によって樹木に付着し霧氷となるため、氷点下で天候が荒れても見られない。西高東低の冬型の気圧配置が崩れて移動性高気圧に広く覆われなければならない。湿度が高く夕方から快晴無風ならば、翌朝は放射冷却によって冷え込んで霧氷が付くのである。
この冬は、霧ヶ峰と美ヶ原においては撮影することができ、新たに開田高原の末川の霧氷撮影に挑んだ。1月28日の朝は、上述の条件が当てはまり、気温マイナス15℃で川からは「けあらし」がもうもうと立ち昇っていた。「けあらし」は、気象用語では「蒸気霧」と言い、夜間の気温が放射冷却によって冷やされ、翌朝の天気が快晴であること。気温はマイナス15℃前後、水温との温度差は15℃以上で発生する。末川の両岸の木々は、霧氷で真っ白になっており50カット余り撮影したが、1月28日付けのブログ記事にも書いたようにデバイス異常によりPCに取り込めず、すべて失ってしまったのである。その後2回ほど訪れたが、条件が合わず、来冬に持ち越しという結果になってしまった。RAWデータを失った悔しさは、悔やんでも悔やみきれない。
(どの場所でいつも思うが、地元の方が羨ましい。毎日、出勤前に撮れるのだから・・・)
本記事では、過去に撮影した写真ではあるが、湖・湿原の霧氷として長野県松本市の上高地にある田代池と長野県茅野市の白樺湖、諏訪市霧ヶ峰高原にある踊場湿原(池のくるみ)を、また河川の霧氷として長野県小海町の千曲川の光景から未掲載のカットを再現像したので紹介したい。いずれも、天候が荒れた翌々日で移動性高気圧に広く覆われ、放射冷却によってかなり冷え込んだ、快晴無風の朝でなければ見ることができない光景である。(ちなみに、撮影日に霧ヶ峰高原や八千穂高原では霧氷は見られなかった。)
今季は、とある場所の湿原霧氷にも挑戦しているが、こちらも未達。ただし、河川の霧氷と違って、気温がマイナス5℃ほどでも霧が発生すれば霧氷がつくので、掲載の霧氷写真を験担ぎとして、湿度が高くなる3月に賭けようと思う。( → 小田代ヶ原の霧氷)
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
霧氷(上高地田代池)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/6秒 ISO 50 +1EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.01.05 10:19)
霧氷(白樺湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/50秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県茅野市 2015.1.24 6:55)
霧氷(白樺湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/25秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県茅野市 2015.1.24 7:47)
霧氷(白樺湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:38)
霧氷(白樺湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:52)
霧氷(踊場湿原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/160秒 ISO 400(撮影地:長野県諏訪市 2013.12.22 7:38)
千曲川/霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/20秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県南佐久郡小海町 2011.2.13)
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2018 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます