この時期は、未だに見たことも撮影したこともないチョウやトンボを追いかけて行って見たい場所があるが、13日土曜日は出勤でしかも台風8号が関東を通過。翌14日は台風一過とはならず、休日の15日も遠征計画場所は天候不順のため断念。
8月になってからどこにも行っていないストレスもあり、15日は、一昨年に撮影不十分な結果で終わった「ハネビロエゾトンボの飛翔」および未撮影の産卵シーンを撮っておこうと生息地へ向かった。自宅を午前5時に出発し、現地には7時に到着。まだお盆休み中なのだろう、平日でも高速道路は車の数が少なかった。
早速、生息地である河川を見てみると1頭のハネビロエゾトンボが飛翔していた。ただし、台風の影響だろうか、川は増水し、またつる性植物が繁茂していて河川に近づくことができない。別の河川の下流域も見てみたが、目前でハネビロエゾトンボは飛んではいるものの、偵察的飛翔ですぐに姿を消してしまい撮影不可能な状況であった。仕方なく最初のポイントに戻り、飛翔している本種にカメラを向けてみることにした。
飛翔以外にも羽化や産卵など撮影したいシーンは多くあるが、まずは飛翔シーンである。ただし、飛んでいる姿においてハネビロエゾトンボの特徴を写さなければ意味がない。本種が属するエゾトンボ科は互いによく似ている。種の同定は、オスの副性器や尾部上付属器、メスの産卵弁の形状から判断するが、アカネ属のように枝等によく止まってくれれば簡単だが、そうでなければ飛んでいる場面で写すしかない。種によっては空中で静止しながら飛翔(ホバリング)してくれるが、それも長くて数秒であるから簡単ではない。
本種の場合、まず早朝は飛んでいる虫を食べる食事の飛翔。その後、他のオスの侵入を防ぐパトロール飛翔と産卵に訪れたメスを探す探雌飛翔をテリトリーの範囲で行う。この間に短いホバリングを行う。今回は、川下から川を見下ろす固定位置で、本種までの距離は最低で3mだが、川上までを行ったり来たりしている。しかも逆光である。観察していると、1~2秒ほどのホバリングするポイントがあり、撮影開始である。
トンボの飛翔撮影は、撮影者によってその方法は様々だ。広角レンズで置きピンして撮る方法もあるが、私の場合は望遠レンズでマニュアルフォーカス。ファインダー内でトンボを追いかけながらピントが合ったと思った瞬間にシャッターを切るスタイルである。長いことフィルムカメラで撮っていた癖なのだろう連写はしない。10枚撮ってピントが合っているのは1~2枚である。そして特徴がわかる図鑑写真となれば、1パーセントにも満たない。
今回は制約のある条件下であり、思うような成果は得られなかったが、以下には5枚を掲載した。6枚目は一昨年に撮影したものを比較として掲載した。
気温32℃。湿地帯でもあり将にサウナ状態。蒸し暑さで蚊も元気がない。汗がこれでもか!というほど噴き出る状況で、午前10時には耐え切れなくなり、この場を引き上げることにした。サウナでは、水風呂へ交互に入ることで交感神経が刺激され、血流が良くなることで陶酔感いわゆる「整う」という感覚が得られるというが、この場で水を浴びなくても陶酔感が得られるトンボの写真を撮りたいものである。機会があれば、今度は産卵シーンを撮りたいと思う。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。
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