オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856 は、これまで日本各地で観察と撮影を行ってきたので、ここでオスの飛翔行動について少し触れておきたい。
オオルリボシヤンマのオスは広い縄張りを持ち、その範囲をパトロール飛翔する。縄張り内に別のオスが侵入してくれば、追いかけまわし、追い出す様子はよく見かける光景である。また縄張り内にメスが飛来すれば、メスの近くを飛翔し、メスが産卵を始めると、近くでホバリングしながら待機している。この光景は、一見すると警護飛翔(自分と交尾したメスの産卵を警護する)にも見えるが、警護飛翔ではない。
縄張りを形成するトンボでは、自分の縄張りに入ってきたメスと交尾し、縄張り内で警護しながら産卵させることが多く見られる。その場合、アカネ属に多いタンデム(直列連結)状態での連結産卵やオオシオカラトンボのように、オスが交尾メスのそばで飛翔または静止して産卵メスを見まもり、他のオスが来たらそれを追い払うといった警護である。これらの種は何故警護飛翔するのか?トンボは、最後に交尾したオスの精子と受精するため、オスは、交尾したメスを別のオスに取られないように守る必要があるからだと考えられている。
トンボ類の中には、オスの警護なしに産卵する種も多い。オスがいない間にそっと訪れ、単独で産卵を行う。ギンヤンマを除くヤンマ科のメスに多く見受けられる。オオルリボシヤンマのメスもそうである。オオルリボシヤンマのオスは警護飛翔しているのではなく、隙があれば交尾をしようと待ち構えているのであるが、まずタンデムに至らない。メスは産卵を中断してオスから逃げる行動も見せる。同属のルリボシヤンマでは、産卵中のメスと連結し、強引に高い梢へと連れ去る様子がしばしば見るが、本種の場合は見たことがない。
オオルリボシヤンマのオスは、人間でいえば、恋愛に対して慎重すぎる成熟の遅い奥手男子なのか、あるいはつきまとい・・・?では、効果的なアプローチを実践し交尾に至るのは、いつなのだろうか?また、圧倒的にメスの個体数の方が多いと思うのは私だけだろうか。今後も、じっくりと観察を行ってきたい。
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オオルリボシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:長野県 2013.8.10 9:51)
オオルリボシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 640(撮影地:長野県 2013.8.10 9:51)
オオルリボシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:長野県 2016.8.20 11:32)
オオルリボシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:長野県 2016.8.20 11:32)
オオルリボシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 1000 +1/3EV(撮影地:新潟県 2017.10.08 12:03)
オオルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:新潟県 2018.9.22 13:35)
オオルリボシヤンマ(オスの静止)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/60秒 ISO 400 -2/3EV ストロボ使用(撮影地:東京都 2011.9.19 16:04)
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