ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

富士と冬の星空

2021-02-02 20:55:50 | 風景写真/星

 2月は星景写真の撮影に専念したいと思っている。星景写真とは、星だけを撮影した天体写真ではなく、星空と風景が同じ画角の中に写っている写真のことである。星だけでも美しいが、地上の風景と一緒に写すことで、天と地が融合し、よりロマンを感じるものとなる。コロナ渦にあって、美しい夜空は、眠れぬ夜のつれづれを慰めてくれる。
 星景写真は、ホタルの飛翔風景と同じで撮影そのものは難しくないが、真っ暗な大空に瞬く小さな光源を捉えなければならない。しかも、地球が自転しているから星は止まってはいない。その動きは早く、露出時間が長すぎると星が点ではなく、動いた分だけ線状に写ってしまう。それも星景写真の1つではあり、北極星を中心とした日周運動を写したこともあるが、天の川の写真などでは星を「点」として写さないと絵にならない。また、デジタルカメラでの夜間の一発露光は、露光時間とISO感度の設定次第ではノイズが多くなる問題がある。星景写真は、美しい地上の風景とともに星を「点」でノイズもないように写すことが、奇麗に見せるためのポイントになる。

 これまで、それなりに星景写真を撮りブログで掲載してきた。すべて17mmの広角レンズで30秒露光という撮影なので星が点に見えやすいが、拡大してみると、やはり僅かばかり線状になっており、ノイズも多い。特に南方向にある星ほど線状は顕著に表れ、見栄えも良くない。最新の高感度に強く4Kや8Kの動画が撮影できる高価なデジタルカメラで撮れば、美しく素晴らしい星景写真を写せるが、カメラを買い替える余裕はないので、今の機材で最高のものを残す努力をしたい。
 それには、まず星が線状にならないように撮影する必要がある。赤道儀を使って星の動きを追尾しながら撮影する方法があるが、星だけを撮るならばよいが、地上の風景は流れた画像となってしまう。赤道儀を使わず撮影するには、露光時間を短くすれば良いのである。従来は500ルールというもので計算して露光時間を算出していた。これは、500÷レンズの焦点距離(フルサイズ換算)= 上限露出時間(秒)になり、17mmの広角レンズで撮る場合は29秒となるが、実際は前述のように星は「点」では写らない。昨今では、NPFルールというもので計算することで確実に星を点で撮影することが可能となっている。複雑な計算なので、自動計算してくれるウェブサイトを利用してみると、17mmの広角レンズで撮る場合は17秒という計算結果になるが、実際は10秒以下の露光時間で撮ることが望ましいだろう。
 今度は、露出時間が短くなった分、適正露出を得るためにISO感度を上げる必要がある。しかし、その結果としてノイズ量が増えてしまう。この対策としては、撮影時にカメラの設定で高感度ノイズを除去することもできるが、ノイズだけでなく細部のディテールも失われてしまい、小さな星もノイズとして認識されて消えてしまうことになる。これには、ソフトを使って複数枚の写真の空の部分だけを重ねる方法で、ある程度解決できる。

 さて、冒頭で今月は「星景写真の撮影に専念」と書いたが、今週末は冬の天の川、その次は夏の天の川、どちらも富士山の上に横たわる姿を撮りたいと思っており、今回、ロケハンと新たな撮影方法の練習を兼ねて、富士山の麓で冬の星空を撮影し、現像してみた。
 前記事に掲載したように、18時半過ぎには満月に近い明るい月が昇ってくるので、以下の2枚は、それまでの間に撮影した写真である。1月10日に、今回の場所からさほど遠くない田貫湖において従来の方法で撮影し掲載した「田貫湖から冬の星空」の写真と比較すると、田貫湖の時と同様に首都圏の光が明るい方向を写し、更には撮影時間帯が田貫湖の時よりも早いにも関わらず、とても多くの星々が写っており、新たな現像方法によって星はよりくっきりとし、ノイズも気にならないほどに仕上げることができたように思う。しかしながら、10秒露光で画面中央の星々は「点」で写ったものの、画面の隅は広角レンズの歪と、絞り開放で撮ったため、サジタルコマフレアが発生してしまった。この点は、更なる勉強が必要である。

 星景写真に適切な撮影の設定と現像方法を新たに学んだので、今後は、これまで表現できなかった星景を写したいと思う。参考までに、過去に撮影した写真を現像し直して掲載してみた。星は「点」ではないが、星々がより美しく仕上がっているように思う。また、今回、同時に撮影した富士山の動画と星のタイムラプス動画を編集して掲載した。これまで飛行機の光跡が邪魔であり、流れ星と勘違いされる方もいたが、使用したソフトは、飛行機の光跡奇麗に消してくれるので有難い。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

富士と冬の星空の写真

富士と冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 1600(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 18:10)

富士と冬の星空の写真

富士と冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 2000(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 18:35)

富士と天の川の写真

富士と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.2.24 4:38)

富士と天の川の写真

富士と天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県身延町 2018.3.17 3:19)

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