エゾイトトンボ Coenagrion lanceolatum (Selys, 1872) は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)エゾイトトンボ属(Genus Coenagrion)のイトトンボで、岐阜県を南限として福井県から上信越地方、東北、北海道に分布し、山地の池や沼、高層湿原の開けた明るい池に生息。分布及び生息環境ともに先述のカラカネトンボと同じである。
形態は、同属で北海道、および新潟、長野、群馬、栃木、茨城県以北に分布するオゼイトトンボ Coenagrion terue (Asahina, 1949)と酷似しているが、腹部第2節背面の黒斑の形を見ると、エゾイトトンボのオスはスペード形、オゼイトトンボのオスはワイングラス形の模様をしているので区別できる。また、エゾイトトンボのメスには、青色型と緑色型があるようである。
環境省RDBに記載はないが、山間の池沼や湿原の減少や、湿原周辺の樹林伐採による土砂流入、水源の枯渇や水温上昇などの生息環境悪化によって、栃木県及び岐阜県では、準絶滅危惧種として選定している。
エゾイトトンボは関東では見ることができないので、生息地域に遠征した際に撮るイトトンボであるが、今のところエゾイトトンボの生態を撮るために生息地を訪れるというよりも、たまたま生息していたから撮るという種である。撮影した池ではエゾイトトンボとオゼイトトンボの両種が生息するが、エゾイトトンボの方が先に発生し、産卵のピークを過ぎた頃にオゼイトトンボが羽化してくるようである。
訪れた日には、多くのエゾイトトンボの交尾態が産卵している様子を目の当たりにしながら、撮影をしなかったことを後悔している。今後は、羽化や産卵シーン等の撮影もしながら、生態や生息環境の知見を深めていきたいと思う。
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エゾイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/160秒 ISO 200(撮影日:2013.5.18)
エゾイトトンボ(青色型メスとの連結態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 250(撮影日:2017.5.20)
エゾイトトンボ(緑色型メスとの連結態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 400 +2/3EV(撮影日:2017.5.20)
オゼイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影日:2011.7.09)
オゼイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影日:2017.5.27)
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