湯西川湖の水没林(栃木県日光市)に2018年最初の撮影地として訪れた。前記事で記した今年の撮影目標にはないが、
天候等でチャレンジできない場合の代替スケジュールである。
鬼怒川や利根川下流域の急速な都市化・ライフスタイルの変化に伴う水需要が急増に応えるとともに、流域を洪水の被害から守るために、鬼怒川上流のダム群の一つとして2012年に完成した湯西川ダム。それによって湯西川の下流域の集落と山林が水没した。今では、湯西川ダム湖の貯水率によって見え隠れする白くなった立ち枯れの木が面影を残すのみである。
かつて湯西川温泉に二回ほど宿泊したことがあるが、その時には湯西川ダムはなかった。ダムの建設に関わる政治・経済に関して写真を通じて物申す気はない。天狗岩大橋から眺める水没林の光景は、昨今では有名らしくインターネットで検索すると多くの写真が表示されるが、ダム湖によって水没した林という特異な景観を見て、私は何を感じどのように表現できるのか、
その挑戦のために向かった。
元旦の18時半に現地に到着。すっかり暗くなって水没林を肉眼で確認することはできないため、小雪舞う中、数枚を撮影して湯西川温泉駅の「道の駅」で車中泊。翌5時半に現地に向かい、再度撮影開始。折しもスーパームーンで大きな月が輝いていたのだが間に合わず、スーパームーンに照らされる水没林を撮ることは出来なかった。代わりに長時間露光で、暗く青い湖面と、まるで霧氷が付いたかのように白化したカラマツを写した。
早朝5時半。時間が経つにつれ空が白み始め、朝日が上空の雲をオレンジ色に染め始めた。立ち枯れの木をシルエットにして、その雲が湖に反射し、さざ波が黄金色になって目前に広がった。水没林は、ダムの貯水率が高かったために少ししか湖面に現れていなかったので、構図的には物足りなさを感じていたが、思わぬ光景にシャッターを切り続けた。将に、風景は「一期一会」である。おそらく、この光景は二度と目にすることはないだろう。
上高地の大正池などの天然の立ち枯れとは違って、人為的に水没して立ち枯れた様子を見ていると、どんなに彩が加わっても、美しさではなく、その沈黙の佇まいにもの悲しさを感じざるを得なかった。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2018 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
お写真を見せて頂けなく残念に思いましたが
今年はゆっくり素晴らしいお写真を見せて頂けると思いますのでどうぞよろしくお願い致します。
湯西川湖の水没林のことを初めて知りました。書いていらっしゃるように
お写真から悲しさが伝わってきています。
ご胸中はいかがなものかと心中お察しします。
拙いブログと写真ではありますが、
ご覧いただければ幸いです。
本年も、よろしくお願いいたします。