「十代に何を食べたか」という本を読んで、自分のことを少々書いてみようと思う。話の展開はあまり考えていない。
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私は今でこそ食べ歩き・飲み歩きを趣味の一つと考えているが、18歳位まではあまり食べ物に興味がなかった。特に目がないというものもなかったし、黙っていれば食べるものは出てくると思っているような、かなり無神経な人間であった。
今、思い出しても印象深い食べ物というのもそんなにないが、思い出したことを4つ程。
○白身の寿司
私の子供の頃は、寿司屋で寿司を食べるなどということはなく(特にカウンターでの注文など別世界の話である)、とは言ってもたまに出前を取っていた覚えがある。母親が近所の友人の家と行き来した時に、子供の昼食も合わせて出前を頼んでいたようだ。記憶にあるのはマグロ、白身ぐらいである(多分、玉子とかもあったはずだが)。
ある時母親の友人が「この子、白身ばっかり食べてるわ」と言われて自分も気が付いたのだが、マグロに手を出さずに白身ばっかり食べていたらしい。当時も「白身=通」の図式はあったようで、しばらく感心されたのだが、なぜ白身ばかりを食べていたのかははっきりしない。白身が平目なのか鰈なのか、オヒョウ(可能性が高い)なのかも分からない。
○スイカ
以前、スイカのカクテルの話の所で書いたが、取り立てのスイカというのはちょっと想像を絶するほど美味い。太陽のおかげで生ぬるくても美味いのだから、市販品とは別次元の美味さである。
○ホッケのかまぼこ
私の実家が特に貧乏だった記憶もないのだが、家庭の味と言われて真っ先に思い出すのが、ホッケをすり身にして粉などでつなぎ、蒸し器で作ったかまぼこである。ちょっと灰色がかって見た目は良くないが、まあこれはこれでおいしいものである。先日、居酒屋の通しでホッケすり身団子が出たので、「ああ、ホッケですね」というと、「よく分かりますね」と言われた。味の記憶というのは残るものはいつまでも残るものである。
○キングサーモン?
一度だけ祖母と市場に買い物に行った事がある。祖母は昔はいい暮らしをしていたそうで、かなり立派な鮭を半身でいきなり購入し、その値段が7000円だったので驚いた(当時、一人暮らしをしていたが、200円くらいの切り身しか買ったことがない)。祖母の家に戻って、その鮭を厚さ5センチ位の切り身にして、そのままのものと、味噌漬けと粕漬けを作って5~6切れも頂いたであろうか。あまりはっきりした記憶がないのが残念だが、死んだ祖母の思い出である。
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少々、味覚自慢っぽくなっているところは、お許し頂きたい。