昨日は結構飲んだが、朝の目覚めはまあまあだった。昼くらいまでダラダラ過ごしてから、帯広に向かう。駅からはいつも通り歩いて、帯広美術館「ウッドワン美術館名品選 巨匠たちの饗宴」展へ行く。天気が非常に良くて、少し汗が出るほどだ。
そうそう、途中の森にはエゾリス(多分)が。
■帯広美術館「ウッドワン美術館名品選 巨匠たちの饗宴」。素晴らしい名品多し。あの有名作家の見たこともない画が連発! 必見である。まずは洋画から。
高橋由一「官軍が火を人吉に放つ図」:やはりトップはこのお方。どちらかというと歴史画というよりは風景画である。
和田英作「ミカンを摘む少女」:ミカンの葉がみずみずしく、印象的。
青木繁「風景」:何もない野原に木々が数本。青木にはこういう平凡作が混じっているんだな。
藤田嗣治「ディナー・パーティー」:類似の作品をブリジストン美術館で見てきたばかりだが、こちらの方が良いのではないだろうか。テーブルに載った食材を、窓から見てニヤリとしている猫が面白い。
藤田嗣治「EVE」:いや、悔しいけれど藤田はやっぱり凄いわ。生物のあふれる楽園で、妙にクールなイブ。
小出楢重「枯木のある風景」:枯木が数本あり、背後の電線には男の影らしいものが載っているシュール画。
安井曾太郎「赤衣婦人立像」:これは名品だと思う。赤い服と帽子、そこに木陰の微妙な日が落ちている。
岸田劉生「毛糸肩掛せる麗子肖像」:どう考えても麗子は可愛く見えないよな、と常日頃思っているのだが、毛糸の肩掛が異常なほど上手い。
須田国太郎「黄比叡」:黒と緑の須田カラーに、赤くくねる枝も効果的である。
村山槐多「ガーベラの花」:ダークな色彩、歪んでねじ曲がった茎。
林武「赤富士」:チューブから絵具をダイレクトに置いたという、大迫力の富士。まさに樹海である。
牛島憲之「新樹」:やっぱり、先日ブリジストン美術館で見た人ではあるまいかと思ったのだが、正解である。数本の樹が融合したかのような不思議な形で立っている。味わい深い。
鳥海青児「花の図」:青い壁に茶色の花瓶。淡い赤の花を描いて、やはりこの人の色彩感覚は鋭い。
三岸好太郎「道化」:微笑んで夢見るかのような道化である。
鴨居玲「サイコロ」:カップの中で見えないサイコロ。その周りでは年老いながら、サイコロの目を念じるかのような祈りと嘆きのポーズ。人間の業である。
洋画でこれは! と思ったのは、藤田嗣治、林武、牛島憲之、鳥海青児かな。これがさほど混雑していない会場で見られるとは、何たる贅沢。帯広に住んでいたら、また確実に行っただろう。
しかし、日本画に転じると何とも微妙な気配が。どうもピンとこないのである。以下のような理由を考えてみたが、どうにも原因が分からない。
・当時の日本人の感覚とはかけ離れてしまい、ピンとこない。
・日本画の様式化されすぎているところが、響かない。
そんな中で、目を引いたのは以下である。
横山大観「月」:スケールの大きな風景、端っこにほんのちょっとだけ月が姿をのぞかせている。
川端龍子「潮ざい」:パッと見た時に、様式化されておらず「現代風だ」「リアルだ」と思わせた唯一の作品。深い青も良い。
石本正「白く咲く」:この人の描く女性は、凛々しいのだが、実在感があるためエロくもある。
その後、とかち百年記念館(ミャンマー写真展)、とかちプラザ(とかち文化まつり)の展示を見て、本屋で帰り用の本を購入、図書館で休憩。さて、最後の夜の部だ。