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たばこ1箱の妥当な値段は? 700円もあり? ニュース3本

2011-09-07 05:06:20 | Weblog
たばこ毎年100円ずつ値上げ…厚労相意欲 2011年9月6日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110905-OYT1T00693.htm
 小宮山厚生労働相は5日の記者会見で、2012年度税制改正に向けて、たばこ税の増税を財務省に要望する考えを明らかにした。
 たばこは1箱(20本入り)あたり約400円だが、小宮山氏は「(1箱あたり)700円くらいまでは(値上げで販売量が減っても1本あたり税収が増えるため全体の)税収が減らない」と強調し、大幅な引き上げに意欲を見せた。
 増税の理由として、小宮山氏は、先進国の中で日本のたばこの値段が安いことや、喫煙率を下げて国民の健康を守る効果があることを挙げた。
 小宮山氏は「昨年は(毎年)100円ずつ値上げしようと提案した。一定額を上げていくということだ」と語り、3年程度かけて段階的に引き上げたい考えを示した。
 たばこ税は10年度税制改正で、過去最大となる1本あたり3・5円の増税が行われ、1箱が100円以上値上がりした。厚労省は11年度税制改正でも増税を要望したが、「10年度の増税の影響を見極める必要がある」として見送られている。

たばこ増税:「所管は私」財務相不快感 厚労相発言に  2011年9月6日 毎日夕刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110906k0000e010057000c.html
 安住淳財務相は6日の閣議後会見で、小宮山洋子厚生労働相がたばこ税を引き上げて1箱700円とすべきだとの考えを示したことについて「全く念頭になかった。ご高説は承ったが、所管は私だ」と強い不快感を示した。たばこ税の大幅増税は、小宮山厚労相が禁煙促進のため提唱したが、税収減にもつながりかねないだけに財務相として待ったをかけた形だ。
 また、藤村修官房長官は6日の記者会見で小宮山厚労相の発言について「個人的な思いを述べられた。今後、関係省庁で議論され、検討を進めるべきものだ」と述べ、あくまで小宮山氏の個人的見解とする認識を示した。
 一方、小宮山厚労相は6日の閣議後会見で「(たばこ税を)どこまで上げるかは財務省の所管。私が決めるわけではない」と釈明。もっとも「個人的な思い」とした藤村長官の反応について問われると、「個人的意見ではなく、昨年の政府税制調査会で厚労省を代表して申し述べた意見だ」とも述べた。

たばこ増税は持続的税収増にならず、復興財源には政府保有株の全株売却を 2011年09月6日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK050158520110906
 日本たばこ産業(JT)は6日、一部の閣僚からたばこ増税に関する発言が出て、問題が広がっている件に関して「更なる増税は販売数量の減少を一層加速することになり、持続的な税収増に結びつかない」との見解を示した。そのうえで、東日本大震災からの復興財源を確保するには、政府が保有するJT株全株の売却を進めることが望ましいとしている。
 たばこは昨年10月に、1本あたり3.5円の増税が実施された。JTによると、この結果、数量は約20%の大幅な減少になっているという。田中泰行・執行役員CCOは記者団に対し「過去の増税時も、税収は一時的に伸びても2、3年経つと元に戻り、販売本数減による減収効果になる。税収面では、増税は持続的な効果がない」と指摘。そのうえで「大幅かつ急激な増税はいかがなものかと思うし、たばこというひとつの商品、愛煙家だけをターゲットとするのは税の公平性から問題。広くバランスのとれた議論がなされるべき」と述べた。
 JTとしては、復興財源として、たばこ増税よりも政府が保有するJT全株式の売却を要望している。現在、政府は500万株を保有しており、6日終値で1.65兆円になる。
 JTが100%民営化を望むのは、政府保有が義務付けられていることで、ファイナンス面での制約が大きいためだという。国内での数量減が避けられない中で、JTは海外での展開強化を進めている。M&Aを含めて海外大手企業との競争は熾烈になっているものの、政府保有が義務付けられている中では、増資はままならない。
 菅直人政権下では、2分の1の政府保有比率を3分の1に引き下げることが検討されたが、田中執行役員は「3分の1になっても、ファイナンス戦略を考えると制約が出る。3分の1残すことに何の意味もない」と指摘し、あくまで100%民営化を望んでいると繰り返した。
 また、JTによる国産葉たばこの全量買い取り義務付けとの関係について、田中執行役員は「たばこ事業法の改正による法律上の裏付けがなくなっても対応していける。これまで、耕作組合や個別の農家との関係は上手く構築できており、当事者間で対応できる」としている。
 小宮山洋子厚生労働相は5日の会見で、たばこ税を毎年100円ずつ上げ、1箱あたり700円まではたどり着きたいと発言。700円までは税収は減らないとの見通しも示していた。これに対し、安住淳財務相は6日、税制の中で「たばこだけを抜き出して議論することはバランスを欠いている」と全体を踏まえた議論が必要とし、1箱700円という金額については「700円は私の念頭にない」と述べた。
 一方、政府保有株について安住財務相は、東京メトロ株の売却を「重要な選択肢」と指摘。JT株については5日のテレビ番組の中で、NTT株よりJT株を売却の対象として少し検討してもいいかなという気持ち、との述べていた。




 ん…。新しく厚生労働大臣に就任した小宮山洋子氏が積極的なタバコ税引き上げ論者だとは知っていたのですが、さすがに1箱700円まで引き上げるのは厳しいのでは…という気もしなくもありませんね。
 小宮山厚生労働大臣がどのようなシミュレーションで700円までなら税収増効果の方が大きいと判断したのかは文面を読む限りではわかりませんが、心理的効果を考慮すれば500円までの引き上げが限界かな…という気もしなくもありません(「ワンコイン(500円)では買えず、1000円では2箱買えない」となれば、心理的な壁はかなり大きくなるのではないでしょうか…)し、ヘビースモーカーの方も本気で禁煙に取り組むインセンティブが働く(一定水準以上のヘビースモーカーの場合は、健康保険を適用した禁煙治療が可能になりました)でしょうし、それ以上に同じく嗜好品の酒税も増税しないと公平感に欠けると思いますが、ビール系飲料に課税しようと思うと、今度は(格安ビール系飲料のシェアを韓国勢に奪われている)大手ビール4社からの猛烈な反発を食らいそう…。
 そもそもJT株を2分の1保有することも、国内農家からのたばこの全量買い取りをさせることが目的なだけに、(たとえば黄金株を保有するなど)敵対的TOBを食らわない買収防止策を講じた上で一定比率を手放すことで税収を得るのも一つの選択肢かとも思うのですが、国の保有株については、NTT株や東京メトロを売却するという手もあるだけに、果たしてどう限られた選択肢の中から復興財源も含めた税収を確保していくのか。中々難しい舵取りを迫られることになるかと思います。