日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

桐野夏生「柔らかな頬」

2008-04-08 | 読書
久しぶりに読書のテーマ
本は積ん読やインテリアとせずに片端から乱読
ただし、本棚の都合で単行本は極力避け文庫本を買う
それもミステリー一本やり
中でも文庫化されていの一番に飛びつくのは「桐野夏生」

今回は異例中の異例、滅多に手に取らないエッセイを読んだ。
「白蛇教 異端審問」



彼女の口から吐かれた怒りの炎なのだ・・帯の一文
始めから中ほどのエッセイはほほ笑ましい
子供のご飯を作り、原稿を書き、夫の相手をする(少しだけ)
過激で火を吹く勢いの物語とは想像を異にする普段の生活ぶり
良くもまあこんなに落差のあるストーリーが生み出されるものだ。

あきれるが

やはりそれでは収まらない
自作の評論に対して火を吹く(?)蛇となる「にょろ」
孤軍奮闘の趣の後、超売れっ子の東野圭吾の援護射撃
桐野さんもホッとしただろうが読者も胸をなで下ろす。

それでもう一度読み返したくなった「柔らかな頬」
上下2冊 2004年文庫化



型にはまりきれない美しい女性
田舎から家出をして一人で暮らし結婚して子供も産まれた。
やり場の無い生活から突破した取引先との浮気
その現場から幼い娘がいなくなり4年もの間探し続ける
その間宗教に頼り、余命いくばくも無い元刑事に頼り
それなりに一生懸命ではありながら、自己中

物語が面白いのは夢の中で事件の真相が幾つか現れれ来る
これって「羅生門」か
波乱万丈・行き先不明・到達点なし
主人公に入れ込み後はストンと放り出される気分。
「誰も私を救えない」帯の言葉
「自分を救うのは自分だけ」私の言葉

一度目は肩透かしを食った感じだったが
今回は堪能
是非ご一読を・・お勧めです。

乱読では何度読んでも新鮮に読める点で先行き明るい気分。
コメント
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