日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

堂場瞬一著「七つの証言」

2012-02-27 | 読書
先週、本屋さんで発見した1册



中公文庫刊 刑事・鳴沢了外伝「七つの証言」
出たてのホヤホヤ

2008年で終った筈の刑事・鳴沢了「久遠」の続きだろうか?

帯には
歴代キャラ総登場
人との関わりの中で鳴沢が見せる人間味・・
読み終えた時に心が温かくなる。

帯に嘘はない、だけど違う!

シリーズの「雪虫」から10册
産まれた時から刑事、刑事以外にはなり得ない鳴沢了
「鳴沢の視線の先に事件あり」硬派でストイック
犯人を追うために酒煙草をやめ、靴はラバー底一辺倒
身体を鍛える事のみが趣味
以前にも増して鍛え上げた身体は筋肉が盛り上がり、
威圧感がムンムン

七つの物語は失踪刑事課の主人公の鳴沢を見る目から始まり
元同僚、事件解決に進んで過去の物語から順次登場
一様に「以前より丸くなった」と言わせる。

結婚してもパートナーや家族はニューヨークに住み
相変わらずの独り住まい。
出版済みと同じく漢字二文字のタイトルだが
物語はドンドン柔らかくなる。

1作目、犯人を瀕死の目に遭わせて逮捕し(これは以前と同じ)
2作目、以前なら事件にしてしまう筈が見逃し
3作目、後輩にお手本を示し
4作目、危険を顧みず犯人逮捕にこぎつけ(以前と同じ)
5作目、後輩の家族関係に配慮して無理をし
   ・・ここまでは事件があるが
6作目、事件は起こらない
7昨目、義理の息子との親子愛

なんだかドンドン気の抜けたビールになる
刑事・鳴沢了の進化論としては良いが
「肩すかし」

「作者に聞く」を読むと
作者が作り上げた人間が自然と物語を作って行くようだが
作者と一緒に成長させ過ぎではありませんか?

現実にはあり得ない刑事物語
現実にはない成長の止まった「鳴沢了」を読みたかった。
コメント
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