日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

宮尾登美子著「錦」

2015-05-11 | 読書
先週の風邪引きがようやく治まる様子
お医者に処方してもらった薬が良く効き
大事な仕事はひんしゅくを買わずにこなせたのものの、胃をやられた。
土曜日はシクシク痛むお腹を抱え、アップする気力が失せた。

日曜日には一日養生をして、どうにか元に戻れました。


4月に一気読みをした一冊
宮尾登美子著「錦」中公文庫刊



朝日新聞に掲載されていた記事に触発されて読んだ。
宮尾登美子さんの本は何冊か読んでいたが
人物描写があたかも実録のように迫って来る
「錦」は名前の一文字を変えて物語を前面に出しているが
多分龍村平蔵本人の生き方そのものだろう。

10代で家族を養うために黒い帯を売りに歩き
素人ながら、織り職人に注文をつけ一緒に開発迄手がける。
織物に取り付かれ、斬新な織物から古代の崩れかかった布を
現代に蘇らせたりする。

その間、親の進める結婚をし、一生身近かから離れない女が居て
妻以外の家族を作り、仕事以外は好き勝手(?)
織物の事となると昼夜、金勘定、人目を気にする事無く邁進し
仕事も名誉も女心さえ持て余すくらい手に入れた
ある意味幸せな男の一生の物語。

龍村平蔵氏

龍村と言えばテーブルに恭しく置かれたテーブルセンターや
古代模様の格調高い錦の帯
お茶会で「これ、龍村なの」と言われると
それだけで頭が下がりそうになる。
庶民には手の届きようもない高級品だが
「錦」の中の菱村吉蔵(龍村平蔵氏)を見ると「さもありなん」

読後感は読んですぐが一番リアルに書けるが
ちょっと時間がたったので臨場感が薄くなってしまった。
失礼しました。

お勧めの一冊です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする