魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚13.オオスジヒメジ

2012年02月20日 14時25分57秒 | 魚紹介

フィリピンに生息するヒメジ科のオオスジヒメジParupeneus barberinus (Lacepède)です。

ヒメジ科の魚は世界中の熱帯・亜熱帯域に生息するスズキ目の魚で、本種を含むウミヒゴイ属の魚は33種ほどが知られていますが、未記載の種類もあると考えられ、総数はさらに増えるものと思われます。

オオスジヒメジの特徴は、吻の端から第2背鰭後方に達する黒色縦帯と、尾柄部にある黒色斑です。この特徴は成魚・幼魚ともに有しています。ヒメジの仲間の多くの種は、幼魚も成魚も同じような模様をしているので、幼魚は成魚をそのまま小さくしたようです。

その一方で、色彩を頻繁に変えることも知られています。オオスジヒメジは白っぽい地色ですが赤っぽくなったり、模様をだすこともあります。

フィリピンはもちろんのこと、日本でも南日本の太平洋側で見られ、釣り、刺し網などでよく漁獲されています。沖縄では食用になっており市場にもよく出ます。

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吸盤つきの面白魚「ホテイウオ」

2012年02月19日 21時22分30秒 | 魚紹介

 

昨日ブログでご紹介しました秘密魚の正体はこのホテイウオAptocyclus ventricosus (Pallas)でした。小型種が多いダンゴウオ科の魚としては大型種で40cmほどになります。日本で食用にされるダンゴウオ科の魚は本種くらいでしょうか。北海道では通称「ごっこ」として知られる冬の魚です。

 

吸盤です。ダンゴウオ科魚類はこの吸盤で岩、水槽においてはガラス面や壁面などに吸着します。

顎歯です。かわいらしい外見ですが鋭い歯をもちます。

筋肉・皮のぶつ切り。なかなかさばきにくいので調理鋏もつかいます。

肝臓・白子・胃腸です。骨や鰓以外のほとんどの部位を食することができます。アンコウと同じですね。この個体は雄で白子でしたが、卵のほうが珍重されます。ヨーロッパに生息する近縁種の卵はキャビアの代役として利用されているほどです。白子も肝臓も美味でした。

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昨日のゲンゲ

2012年02月18日 19時23分31秒 | 魚介類を食べる

昨日のブログ記事でも書きましたノロゲンゲBothrocara hollandi (Jordan and Hubbs)ですが、夕方にはこんな感じでぶつ切りに。

肝臓 (ボールの中のピンクのもの) も食べられるようです。底の魚は肝臓が大きいのが多いのですがゲンゲは小さいですね。あまり腹自体が大きくないからかもしれませんが。今は繁殖期のようで、いくつかの個体には卵もちでした。これは除き捨てました。ゲンゲ亜目の魚には卵に毒があるのがいるためです。

その後は豆腐や各種野菜、そしてもう1種の「秘密魚」 (また別にご紹介いたします)とともに鍋にしておいしくいただきました。ゲンゲは骨がありますが軟らかく骨も飲み込めます。この日も天気はあまりよくなく寒かったので家族で鍋を囲みました。バックに流れたのは韓国ドラマで、「アバター」は見れませんでした。

おまけにもう一つのおかず「ローストビーフ」。ユッケの一件があった後で益々人気のようです。専用ドレッシングもおまけでつけてくれました。これも市場で購入。市場は魚が中心ですが、肉、花、野菜、包装商品、さらに刃物の店舗も少ないですがあります。この日は市場で鴨 (肉ではなくて丸一羽!) もおり驚きました。

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フィリピン魚12.ワニトラギス

2012年02月18日 17時22分56秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は珍しいトラギス科魚類、ワニトラギスRyukyupercis gushikeni(Yoshino)をご紹介します。ワニトラギスは琉球列島からオーストラリアのやや深い海にすむ深海性のトラギスです。

 昔、益田一・G.R.アレン両氏の本でこの魚を初めて見たのですが、その写真では白っぽかったので、こんなカラフルな魚とは想像しませんでした。

ワニトラギスは体長30cmになり、日本産トラギス科魚類としては最大級といえます。


背鰭棘数6


背鰭軟条が伸びる

また特異なのはその大きさだけでなく、背鰭棘数が6、軟条数23以上であること(他の日本産トラギス属魚類はそれぞれ4-5、18以下)もあげられます。また背鰭の軟条は長く伸びます。日本産のトラギス科魚類としては珍しい特徴です。

このほかにも異なる点があり、2007年にワニトラギスを模式種とした新属が提唱されています(※)。

ワニトラギスは日本産では最大といえますが、世界最大種は南米のブラジル沿岸にすむPseudopercis numida Miranda Ribeiroで、1mを超えます。トラギス属ではニュージーランドにすむミナミアオトラギスという種は45cmに達します。いずれも産地では食用となっていますが、日本では大型種が少ないためか、惣菜魚や練り製品の原料になる程度です。

(※)Imamura H., T. Yoshino, 2007. RYUKYUPERCIS, A NEW GENUS OF PINGUIPEDID FISH FOR THE SPECIES PARAPERCIS GISHIKENI (TELEOSTEI: PERCIFORMES) BASED ON THE  PHYLOGENETIC RELATIONSHIPS OF THE FAMILY. The Raffles Bulletin of Zoology, Suppl., (14): 93-100. http://rmbr.nus.edu.sg/

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冬らしい魚

2012年02月17日 16時43分48秒 | 魚紹介

柳橋魚市場で2種ほど、冬らしい「北海系」の魚を購入してまいりました。今日はそのうちの1種。


ゲンゲ科のノロゲンゲBothrocara hollandi (Jordan and Hubbs)です。最近ゲンゲ科の魚類が食用として全国に知られるようになりましたが、その中で食用になるものは決して多くなくこのノロゲンゲ、カンテンゲンゲ、シロゲンゲ、タナカゲンゲくらいでしょうか。

ノロゲンゲは沖合底曳網で漁獲される魚で、従来から産地ではよく利用されていたものでした。最近は「魚食」の見直しなどにより全国で流通するようです。

よく似たカンテンゲンゲやシロゲンゲも沖合底曳網の漁獲物として知られます。この2種はノロゲンゲに似ていますが顔がややとがり、肛門周辺の鱗が丸くまばら (本種では楕円形で直角に並ぶ) であることなどで区別できます。

また分布域も種の同定に役に立ちます。カンテンゲンゲは銚子以北と日本海に分布しますが、シロゲンゲは太平洋側ーオホーツク海のみ、本種は日本海側、オホーツク海、黄海に分布します。この個体は石川県沖合で漁獲されました。

これを今日の夕食にします。

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