魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ダイミョウサギ

2022年04月15日 22時22分26秒 | 魚紹介

この魚は昨年Masaaki Wadaさんに送っていただいた魚。クロサギ科クロサギ属のダイミョウサギという種類である。ダイミョウサギは関東近辺から九州までの沿岸に広く生息する魚であるが、近縁種のクロサギのほうがはるかに多く見られ、ダイミョウサギは少ない。ダイミョウサギはクロサギに似ているのだが、やや体高が高く、背鰭棘数が10棘9軟条なのも特徴である(クロサギでは9棘10軟条)。また写真ではわかりにくいが鰭が黄色になるのも特徴である。クロサギはもっと黄色みが薄い。

ダイミョウサギによく似たものにセダカダイミョウサギというのがいる。セダカダイミョウサギはダイミョウサギと似ており、静岡県から種子島にまで見られる日本固有種(おそらく)であるが、宮崎沿岸にはよく見られると聞いた。この個体も宮崎門川の個体なのだが、両眼間にU字の凹みがあることで、ダイミョウサギと同定できる。セダカダイミョウサギではこのU字状の凹みは見られない。またダイミョウサギの場合体長/SLは36~42%なのに対し、セダカダイミョウサギでは38~47%であることでも見分けることができる。

このやや体高が高く、背鰭第2棘が伸びないクロサギの仲間は日本に5種生息している。セダカクロサギ、ダイミョウサギ、セダカダイミョウサギ、ヤンバルサギ、シマクロサギの5種類である。うち九州以北で見られるものはほとんどがダイミョウサギとセダカクロサギである。シマクロサギとセダカクロサギは琉球列島の汽水域、マングローブなどで比較的よく見られる魚である。ヤンバルサギは沖縄の羽地内海の砂泥域からのみ知られる種で生態などはあまり知られていない。いずれの魚も産地では食用になっており、美味とされるがこの個体は標本にしており食せていない。

今回のダイミョウサギは宮崎県のMasaaki wadaさんから。いつもありがとうございます。

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ハダカイワシ

2022年04月14日 22時10分57秒 | 魚紹介

久しぶりに見た魚。ハダカイワシ目・ハダカイワシ科・ハダカイワシ属のハダカイワシ。ハダカイワシ科の魚はこれまでもマメハダカやアラハダカ、最近もミカドハダカを紹介してきたが、このハダカイワシはまだ紹介していなかった。過去ログにもなかった。

ハダカイワシ科の中でもハダカイワシ属は難しい。種類が多いというのもあるのだが、この仲間の同定には発光器を見る必要があるためだ。この仲間は底曳網でしばしば漁獲されるのだが、鱗だけでなく、発光器が脱落しているケースもある。ただし、ある程度大きい個体であれば発光器があまり脱落していないこともあるため、(比較的)同定はしやすいだろう。定置網などでもたまに漁獲されるが、そのような個体はよりきれいな状態で残っていることも多い。ただし扱いが雑だとすぐ鱗がはがれてしまう。

最初この個体を見たときはナミダハダカというハダカイワシ属のまた別な種だと思っていた。というのも眼の前方にあるVn(鼻部腹側発光器)が大きいからである。ナミダハダカは長円形で著しく大きいのが特徴とされている。

しかし体側の発光器、とくに肛門上発光器列の3番目と体側後部発光器は側線から離れたところにある。これはハダカイワシの特徴である。一方でナミダハダカについてはこれらの発光器が側線のわずか下方にあるので見分けられる。

ハダカイワシは昼間はやや深い場所に生息し、夜間になると浅いところにも上がってくる。これはこの科の多くの種に共通する特徴とされている。分布域は青森県以南の太平洋岸、沖縄舟状海盆のほか、この科としては珍しく浜田などの日本海岸でも少し見られるらしい。海外では台湾、東沙、西太平洋、西インド洋に分布しているようである。この個体は焼いて食べたが、かなり美味しかった。この科の魚は沖合に生息する魚の胃内容物としてもよく出現する。今回の個体は沼津 ヘンテコ深海魚便の青山沙織さんより。いつもありがとうございます。

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キビレキントキ

2022年04月13日 21時48分02秒 | 魚紹介

このまえゴマヒレキントキをアップしたので。今日もキントキダイ科の魚をご紹介。2013年に我が家にやってきたものなので、ちょっと、古いものなのであるが。

キントキダイ科キントキダイ属のキビレキントキ。キビレキントキはキントキダイ属の魚類では比較的珍しいもののように思われる。私も和歌山県沖で漁獲されたこの1個体しか見ていない。

キビレキントキの「キビレ」とは胸鰭が黄色であることにちなむ。実際に黄色がきれいなのだが、写真では残念ながらうまく写っていない。また腹鰭の付け根にはアカネキントキやミナミキントキにある黒色点がない。キントキダイやゴマヒレキントキとは、鰭に明瞭な斑点がないことで見分けられ、ホウセキキントキは尾鰭の形で見分けることができる。ホウセキキントキの尾鰭は三日月のように湾入する、またはすこし湾入するが、この種はそうならない。分布は伊豆諸島、紀伊半島、四国沿岸、奄美、沖縄近海、尖閣、東シナ海にまで及ぶが、インターネットで検索してもあまり情報が出てこない種類である。海外ではフィリピン近海にまでいるようだ。Fishbaseでは台湾産個体のサムネイルがアップされているが、あれは別種のように思われる。FishbaseのコモンネームではMiyake bigeyeという。Miyakeは三宅島のことかと思ったが、やはり三宅島らしい。タイプ標本が三宅島で採集されているようだ。

なお、この個体はカワリハナダイと一緒に我が家にやってきたものであるが、カワリハナダイと同じくらいの深さにいるのだろうか。そうなると生息水深がやや深いということになり、それゆえあまりお目に罹れないということもあるのかもしれない。和歌山県串本「潮崎商店」さんより。ありがとうございます。

 

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ザラガレイ

2022年04月12日 22時51分39秒 | 魚紹介

 

久しぶりに登場。ザラガレイ。ダルマガレイ科の魚の中でも特異な細長い体、大きな口が特徴。体は柔軟でやわらかい。今回は展鰭が甘いのだが、ちょっとその当たりは眼を瞑っていただきたいところである。

ザラガレイの頭部

ザラガレイ属は日本近海に3種が知られている。クチボソザラガレイはやや体高が高く、上顎後端は下眼の後端を超えないのでほかの2種と見分けられる。ザラガレイとウケグチザラガレイはよく似ているのだが、ウケグチザラガレイの下顎は上顎よりも著しく前にでるのだが、ザラガレイではわずかに前に出る程度なので見分けられる。またウケグチザラガレイでは下顎の床膜が著しく膨らむのでその点で区別できるようだ。いずれの種も口の様子で見分けられる。おそらくこの口で小魚や甲殻類を捕食しているのだろうが、なぜか私は胃内容物がしっかりと残っているザラガレイを見たことがない。東北地方(三陸沖)~鹿児島沖、沖縄舟状海盆に分布しており、水深270m~500mほどの海底から底曳網で漁獲される。

ザラガレイはもう10数年も前に一度食したことがある。その時はたしかムニエルで食したと思ったが、非常にまずかった。今回は小さい個体を唐揚げにして食べてみた。内臓の部分を切り取ってそのまま揚げたからか、体が曲がってしまい、異様な形になってしまった。しかしながら味は美味しかった。この食べ方が一番美味しいかもしれない。

今回のザラガレイは沼津市 ヘンテコ深海魚便 青山沙織さんより。いつもありがとうございます。

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ミスジテンジクダイ

2022年04月11日 22時00分42秒 | 魚介類飼育(海水)

昨年の10月に採集してきたテンジクダイ科のミスジテンジクダイ。スジイシモチ属なので体側に縦線が数本入る。輸送にはあまり強くはないがオオスジイシモチほど大きくならず、輸送もしやすい。うまく輸送して水槽に入れることができれば飼育は容易である。以前採集したのも長期飼育できた。キンセンイシモチの小さいのは弱い印象があるが、ミスジテンジクダイはそれよりもずっと丈夫である。ただし口に入る魚は食べてしまうことがあることには注意しなければならない。

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