魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ヨコシマクロダイ

2022年04月20日 20時34分07秒 | 魚紹介

以前入手したけどもぶろぐで紹介することができていなかったものが何種かいる。この魚はそのうちの一種であるヨコシマクロダイ。名前に「クロダイ」とついているのだが、タイ科ではなく、フエフキダイ科の魚になる。ただしフエフキダイ科の一部の種は従来はタイ科に含まれていたことがあるらしい。おそらく熱帯域ではヨコシマクロダイは、九州以北の民がクロダイを愛するほどに愛されてきた魚なのかもしれない。

ちなみに本種はハマフエフキやキツネフエフキなどの含まれるフエフキダイ亜科ではなく、メイチダイ亜科に含まれる。ほかのメンバーはメイチダイ属の各種、ノコギリダイ、コケノコギリ、そして本種の含まれるヨコシマクロダイ属のみであるが、このヨコシマクロダイ属には2種が知られる。本種は各鰭が明瞭に赤くないことや唇が黄色であることからよくにたMonotaxis heterodon(レッドフィンエンペラー)と見分けられるようである。この種はその名の通り各鰭が赤く唇は黄色くないのが特徴のようだ。このレッドフィンエンペラーには最近種標準和名がつき、「カグツチヨコシマクロダイ」という。カグツチは火の神であり、鰭が赤くなるのこの名前がついたようだが、鹿児島のものはこういう難しい標準和名が好きなようだ。風流でよいが、なかなか見分け方がわかりにくいかもしれない。「レッドフィンエンペラー」なら「ああ、鰭が赤いんだな」と思わせてくれる。この種の成魚の画像は残念ながらない。

ヨコシマクロダイは琉球列島や小笠原諸島のサンゴ礁域に生息している。海外では紅海・南東アフリカから中央太平洋の熱帯域に見られる。とくにハワイ諸島においては本種が唯一の在来フエフキダイ科魚類かもしれない。幼魚は九州以北の太平洋岸でも見られるが、ほとんど越冬できない。しかし飼育すると小魚や甲殻類は食べられてしまう可能性があるので注意が必要。

今回はTwitterのフォロワー、どぅハタさんから。いつもありがとうございます。

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ハナガサヌメリ

2022年04月19日 22時35分33秒 | 魚紹介

またも初見の魚が入手できた。ハナガサヌメリという深海性の小魚である。この種はネズッポ科に似ているが、ネズッポ科ではなくイナカヌメリ科というグループのもので、この科の魚はみな深海性で、海山周辺など限定的な場所に住む珍しいものも多い。ネズッポのように前鰓蓋に鉤状の棘はなく、主鰓蓋骨と下鰓蓋骨に大きな後向棘というのがある。ハナガサヌメリはまっすぐ後ろを向くが、イナカヌメリでは上のほうを向いている。

ハナガサヌメリの含まれるハナガサヌメリ属は、日本に3種、世界の深海から14種が知られている。その中で鰓蓋部に暗色斑がないこと(セイヨウハナガサヌメリにはある)、体に無数の小暗色斑があること(オトヒメヌメリにはない)によって、日本に分布するハナガサヌメリ属のほかの種と見分けることができる。ちなみにイナカヌメリ科はこのハナガサヌメリ属の14種のほかに、イナカヌメリのみをふくむイナカヌメリ属が知られ、計15種からなる。イナカヌメリは土佐湾などにも生息し、水深150m以深の海底から底曳網漁業によって漁獲される。この個体は日向灘の深海から、やはり底曳網漁業によって漁獲された個体である。

ネズッポ科の魚はネズミゴチ、ヨメゴチなど食用として重要なものも多いが、イナカヌメリ科の魚はほとんどが10cmほどと小型であるため、ほとんど食用にはされていない。しかし決してまずい魚ではなく、揚げ物にして食べたら意外と美味であった。この個体は「深海魚ハンター」さんから頂いたもの。ありがとうございます。

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コモンカスベ

2022年04月18日 22時01分24秒 | 魚紹介

だいぶ前の画像ですが、このぶろぐでは紹介できなかった魚をアップします。ガンギエイ目・ガンギエイ科のコモンカスベという魚。板鰓類(サメ・エイ)のアップは久々なような気がする。

コモンカスベは体盤の様子がすこしユニークな気がするが、雌を多く見てきたせいだろうか。この個体は立派なクラスパーを有する雄の個体。コモンカスベの雌は写真でしか見たことがないが、以前このぶろぐでもご紹介してきたモヨウカスベとはあまり違わないような気がする。

 

コモンカスベの背面には小さなサイズの暗色斑がある個体が多い。また腹面にも模様があるとされるが、どちらの斑紋もこの個体にはない。

しかしほかのいくつかの特徴はコモンカスベのようであった。とくに尾部側面皮褶は尾鰭中央よりも明らかに後方に達している(メダマカスベでは尾鰭中央よりも前方で終わる)。ガンギエイの仲間は小さい尾鰭を有するものが多いが、一部の種では極めて微小である。撮影後唐揚げにして食べるが、かなり美味しい。なお、今回の個体は長崎県産。印束商店 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

こちらは18年前、2004年3月14日、つまりマリコさま18歳記念日から3日後、マリコさまの地元の福岡県糸島市で撮影したガンギエイの仲間。最初はメガネカスベとしていたが、これもおそらくコモンカスベの雄。しかし残念ながら尾鰭の先端の様子がわからない。福岡では小型の底曳網か、刺網が行われており、アマダイ、ホウボウ、カレイ類、ミシマオコゼなどとともに、このカスベも水揚げされていた。コモンカスベは水深100m以浅の浅海に生息しており、底曳網や刺網のほか、大型の定置網などでも漁獲されて食用になる。

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ワヌケフウリュウウオ

2022年04月17日 22時07分43秒 | 魚紹介

ワヌケフウリュウウオはアンコウ目アカグツ科フウリュウウオ属の魚で、深海底曳網ではそこそこ見られる魚である。しかし私にとっては12年ぶりにお目にかかる魚である。一見オタマジャクシから変態したカエルのようにも見えるが、れっきとした魚で、水深740m以浅の深海に生息している。

ワヌケフウリュウウオは背面にリング状の模様があるためコワヌケフウリュウウオによく似ているが、コワヌケフウリュウウオは腹鰭と肛門の間に骨質の瘤状物が密にあるのに対し、このワヌケフウリュウウオではないかあってもまばらであることにより見分けられる。ワヌケフウリュウウオは高知沖の個体、対馬の個体、日向灘の個体と過去に何回か見ているのだが、コワヌケフウリュウウオは1回しかみていない。コワヌケフウリュウウオよりもワヌケフウリュウウオのほうが多いのだろうと思われる。なおサイズ的にはコワヌケフウリュウウオのほうがワヌケフウリュウウオよりも大きくなるようだ。

アカグツ科の魚はアンコウ目の魚だが、あまり食べられていない。食べられるところが少ないからだろうか。ワヌケフウリュウウオはさらに「小さい」というのも理由に加わるのではないかと思われる。全長9cmほどで、写真のように食せる場所が少ないのだ。しかし小さいが揚げて食べればそこそこ美味しい。今回の個体は日向灘の産で「深海魚ハンター」さんに送っていただいたもの。ありがとうございます。

 

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ウスベニキントキ

2022年04月16日 22時19分33秒 | 魚紹介

 

最近入手した珍しい魚。キントキダイ科のウスベニキントキという種類である。日本に6種生息するキントキダイ属のなかでは唯一私が見たことがなかった魚であるが、今回はじめてその姿を見ることができた。

ウスベニキントキはキントキダイ属としては比較的深海性で、水深150~400mほどの場所で漁獲されている。この個体も水深280mほどの海底から底曳網で漁獲されたもの。キントキダイの仲間は体に細かい鱗がびっしりとあり、底曳網で漁獲されても鱗が脱落しにくい。

 

ウスベニキントキの特徴は体高が低めであること、体高は頭部の後方で最大になること、背鰭・臀鰭に黄色斑点がないこと、腹鰭基部に黒色斑がないことなどでほかの日本産キントキダイ属と見分けることができるが、なれないと難しいかもしれない。また体色はその名の通り薄い紅色をしている。生息水深が似ているチカメキントキとは腹鰭が特大にならないことなどで見分けられる。

ウスベニキントキはインドー西太平洋に分布している。わが国では日向灘の深海に見られる程度でなかなか手に入らないが、今回は入手できたので塩焼きで食したがかなり美味であった。例によって頭部はなし。今回ウスベニキントキを入手できたので、日本産キントキダイ属全種を実際に見たことになる。キントキダイ科というくくりではもう1種、ミナミクルマダイをまだ見たことがない。クルマダイに似ているが背鰭・臀鰭・尾鰭縁辺が明らかに黒いのが特徴で、クルマダイと見分けることができる。

今回のウスベニキントキは「深海魚ハンター」さんより。ありがとうございます。

 

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