以前入手したけどもぶろぐで紹介することができていなかったものが何種かいる。この魚はそのうちの一種であるヨコシマクロダイ。名前に「クロダイ」とついているのだが、タイ科ではなく、フエフキダイ科の魚になる。ただしフエフキダイ科の一部の種は従来はタイ科に含まれていたことがあるらしい。おそらく熱帯域ではヨコシマクロダイは、九州以北の民がクロダイを愛するほどに愛されてきた魚なのかもしれない。
ちなみに本種はハマフエフキやキツネフエフキなどの含まれるフエフキダイ亜科ではなく、メイチダイ亜科に含まれる。ほかのメンバーはメイチダイ属の各種、ノコギリダイ、コケノコギリ、そして本種の含まれるヨコシマクロダイ属のみであるが、このヨコシマクロダイ属には2種が知られる。本種は各鰭が明瞭に赤くないことや唇が黄色であることからよくにたMonotaxis heterodon(レッドフィンエンペラー)と見分けられるようである。この種はその名の通り各鰭が赤く唇は黄色くないのが特徴のようだ。このレッドフィンエンペラーには最近種標準和名がつき、「カグツチヨコシマクロダイ」という。カグツチは火の神であり、鰭が赤くなるのこの名前がついたようだが、鹿児島のものはこういう難しい標準和名が好きなようだ。風流でよいが、なかなか見分け方がわかりにくいかもしれない。「レッドフィンエンペラー」なら「ああ、鰭が赤いんだな」と思わせてくれる。この種の成魚の画像は残念ながらない。
ヨコシマクロダイは琉球列島や小笠原諸島のサンゴ礁域に生息している。海外では紅海・南東アフリカから中央太平洋の熱帯域に見られる。とくにハワイ諸島においては本種が唯一の在来フエフキダイ科魚類かもしれない。幼魚は九州以北の太平洋岸でも見られるが、ほとんど越冬できない。しかし飼育すると小魚や甲殻類は食べられてしまう可能性があるので注意が必要。
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