何でもありの無責任集団が民主党政権である。新防衛大臣に、保守派の森本敏拓殖大学教授を選んだのは、自民党への抱きつき戦術である。野田佳彦首相には主義主張があるのだろうか、勉強不足で、この私も、森本論文を一つとして読んだことがない。テレビにコメンテーターとして出ていることは知っていたが、民主党政権の閣僚になるとは、露ぞ思わなかった。ただ、野田首相にとっては、森本が元自衛官であることから、自衛隊を引きつけておくための苦肉の策なのだろう。しかし、それは甘過ぎる。拓殖大学日本文化研究所発行の季刊「日本文化」がある。平成16年1月10日号に、竹本忠雄が「天空の捨て身」という一文を投稿している。B29に体当たりをした特攻機のことを書いたのである。「針よりも細く、ひとすじの光が青空を突き刺すと見るや、閃光が走り、B29の巨体が真っ二つに割れ、高空から、ゆっくりと、回転しながら落下してくる……」。少年の日に、その光景を目撃した竹本は「いまもなお、閃光は鮮やかである。一人の若い命が玉と散り、そのお陰で私は生き永らえている」と述懐していた。先の戦争では、おびただしい数の若者が身を捧げた。戦争とはそういうものであり、自衛隊もいざとなれば、同じことが求められるのだ。危機に際して、本当に森本が命令を下せるのだろうか。尖閣をめぐって、中共と日本は一触即発である。優柔不断は断じて許されないのだ。森本も貧乏くじを引いたものである。
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