戦後の日本の言論界を支配していた「空気」が変わろうとしている。山本七平が『「空気」の研究』で書いているように、日本人にとっては「何かの最終決定者は『人ではなく空気』」なのである。戦後の日本の平和は、憲法9条のおかげではなかった。日米安保条約や自衛隊の抑止力が働いていたからであり、理想と現実は違っていた。しかし、多くの言論人は論理的な議論を拒否し、「空気」を読んで発言してきたのである▼「空気」には逆らえないからである。「平和憲法」という命題が絶対化され、それを批判することは許されない、不思議な言論空間ができあがったのである。それに水を差したのがネットである。物事は単純に割り切れないことを、様々な情報から日本国民は判断するようになった。善悪の二つに分けて、解釈することの愚かさに、ようやく気付いたのである▼それでもまだ「空気」を一掃するにはいたっていない。朝日やNHKなどが必死にこだわるのは、「平和憲法」を持ち出すのが楽であるからだ。思考停止状態であれば、自分自身が混乱しなくてもすむ。「空気」のせいにして責任を放棄するのである。日本人は「空気」を抜きに語ることは難しい。それは勢いともいうべきもので、孤立することを恐れて、誰もが本音を口にするのをためらうのである。ようやく「空気」が変わりつつあるのは歓迎したい。「世の中はそういうものじゃない」とのバランス感覚が大事なのだから。
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