今の民進党が必死になって安倍内閣を倒そうとしているのは、民主主義の名のもとに民主主義を打倒しようとしているのである。反権力という言葉でもって、自らを正当化しているが、それはあまりにも欺瞞に満ちている。少数派にとどまっていれば問題ではないが、大きな流れになれば、民主主義は重大な危機に直面するのである▼カール・シュミットの『現代議会主義の精神史的状況』(樋口陽一訳)は予言の書ともいわれる。1923年に世に出たこの書は、民主主義が一歩誤れば、奈落の底に転落することを教えてくれているからだ。「少数者は国民の真の意思をもちうるし、国民も誤ることがありうるという、国民意思の理論のきわめて古くからの逆説は、今なお解決されていない」からだ▼日本でも2009年に民主党政権が誕生したのは「宣伝と世論操作の技術」によってであった。あの時はマスコミのほとんどが、民主党を応援したのである。そこで私たちは貴重な経験をした。「急進的民主主義者が、自分たちの民主主義的急進主義を、自分の国民意思の真の代表者として他の者から区別するための選別基準とみなし、そこから非民主主義的な排他性が生じた」のではなかったか▼あの時の民主党政権は小沢一郎に権限を集中し、マスコミの言論にも介入したのではなかったか。二度と同じ過ちを繰り返してはならない。反権力という言葉に騙されてはならないのである。
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