日本の左派が支持されないのは、アベノミクスを蛇蝎の如く嫌っているからである。安倍総理の目玉政策ということで槍玉に挙げているのだろうが、雇用が改善し、株価が上がり、企業の実績がよくなっている事実から、誰も目を背けるべきではないだろう▼野口旭が8月1日付配信のニューズウィーク日本版に「世界が反緊縮を必要とする理由」を掲載している。そこで話題にしているのは、今年4月に出版された『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう―レフト3.0の政治経済学』(ブレイディみかこ・松尾匡・北田暁大、亜紀書房)である。左派に属する側から「金融プラス拡張財政」というアベノミクスを肯定しており、一読に値する▼その本を受けて野口は、左右のイデオロギー以上に、今大きな争点として浮上しているのは「緊縮vs反緊縮」であり、世界では左派こそが「反緊縮」であることに注目する。国民の暮らしを考えればそれが正しいのである。その背景として野口は、中共など新興国での「国内需要に対する供給の過剰」にともなって「供給側の制約が世界的に緩くなってくれば、世界需要がよほど拡大しない限り、供給の天井には達しない」と指摘している▼いくら財政拡張や金融緩和を行っても、景気過熱やインフレは起こりにくくなっている。「緊縮」では経済は需要不足による停滞に陥ってしまう。庶民を大事にずる左派であればあるほど「反緊縮を」主張すべきなのである。
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