いくら自民党に不満があっても、今の野党に投票する気にはならない。大方の日本国民はそう思い始めているのではないか。平成24年の衆議院選以降、安倍自民党は国政選挙で4回も勝利を収めてきた。いくら自民党が政権の座に長くあったとはいえ、普通であれば、一回くらいは取りこぼしがあるものだ。今回の参議院選挙で憲法改正が選挙の争点となっているのは、参議院で3分の2を獲得できる可能性がまだ残っているからだ▼政治学者の丸山真男は『歴史意識の「古層」』において「つぎつぎになりゆくいきほひ」という日本人の特徴を指摘した。倫理とか思惑とかが通用しない「いきほひ」を問題にしたのである。丸山とて「支配的な旋律」としては、日本にもたらされた大陸渡来の儒・仏・老荘などや、維新以降の西洋世界からの輸入思想であったことを認めている。しかし、日本人の古層の歴史意識が「ときには、ほとんどわれわれの意識をこえて、旋律全体のひびきを『日本的』に変容させてしまうのである」との見方を示したのだ▼20代の自民党支持率は7割に達しているのに対して、不支持が多いのは60代だといわれる。「いきほひ」を代弁するのは若者であり、それに抗するのは高齢者という図式は、いつの時代にもあてはまる。「いきほひ」は自民党に味方しているわけだから、これからラストスパートをかければ、大きな流れができるのではないだろうか。
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