草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

政治家はいつの世も国民を説得する努力を怠ってはならない!

2020年04月22日 | 感染症

いくら政府が国民に協力を求めても、一筋縄にいかないのは、今も昔も変わらない。武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、人との接触を減らせといくら宣伝しても、それぞれ生活があるわけで、まずはその辺を調整すべきなのである▼谷沢永一が『大国日本の「正体」』で大岡越前守の苦労話を取り上げている。大岡越前は、江戸を火事から守るために、板葺きから瓦葺きにしたいと考えた。そこで「江戸の町は火事が多い。それを不燃性にするためには瓦屋根にすべきである。ようてさよう心得よ」とのお触れを出した。しかし、それだけでは誰も振り向かない▼大岡越前が偉いのは、町人代表を奉行所に呼び出して説得を試みたことだ。簡単には納得してくれない。「瓦葺きにすると柱を太くしなければならない。その分だけ建築費が嵩む、だからいやだ」と駄々をこねる。それでも懲りずに、何回も呼び出して膝詰め談判をした。地域を限定するとか、片面だけにするという妥協案を示して、ようやくそれを実現させたのである▼安倍首相が出した緊急事態宣言がもう一つパッとしないのは、現代の大岡越前がいないからなのである。もともと国民は強情であり、いくら正しいことであっても、経済的条件で折り合いを付ける努力を怠っては先に進まない。落としどころを見つけられない政治では、国民にそっぽを向かれてしまうのである。

コメント (1)
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