草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

強大な権力を行使するマスメディアの問題点指摘した佐伯啓思!

2020年04月25日 | 思想家

世界的な傾向かもしれないが、ジャーナリズムの権威が失墜している。今回の武漢発新型コロナの報道でも、不安感を煽るだけである。佐伯啓思は『戦後民主主義の病理』で、デモクラシーにおいて強大な権力を行使するマスメディアの問題点を指摘した▼「世界についての情報、世界についての映像、世界についてのイメージを動かすことができるマスメディア」を抜きには、デモクラシーを語ることはできないからだ。誰もが知らない世界を切り取り、簡略化し、討論可能のような形に変形するのがジャーナリズムの仕事なのである。佐伯は「学者、ジャーナリストに限らずに、われわれの認識は、決して中立などありえず、結局、われわれは、常に自分が見たいように世界を見、あるいはそうでなくとも、大衆が望むように世界を見、切り取るものだからである」と書いている▼私たちは、マスメディアによって差し出された情報や事実を鵜呑みにするのではなく、それを疑ってかかる必要があるのだ。討論可能な形にするには、さまざまな分野での専門家や評論家の役割も大きいが、佐伯によればそれも弱体化しているというのだ。デモクラシーが機能するには、建設的な議論の場が不可欠である。右を左も、そうした知識層が育ってきていないのが我が国の不幸なのである。

コメント (2)
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