ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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毎年、池田で「社会人落語日本一決定戦」を開催。落語で元気になる町

2022-01-20 14:00:13 | 伝統芸能

年に一度、社会人落語日本一決定戦が大阪 池田市で開催されている。2019年は新型コロナ騒動で中止だったが、第13回目となる昨年は、12月11日、12日に予選会と決勝戦が行われた。

北海道から沖縄、そして海外からも計256通、年齢は20代から80代の幅広い年代層から応募が寄せられた。その中から事前審査を通過した154名が前日、市内6会場に分かれ予選会に臨み、10名が決勝戦への切符を勝ち取った。その翌日、最終決戦で第十三代目名人の座をかけた熱線が繰り広げられた。

 

 

決勝戦は審査委員長に上方落語協会会長で大会の統括責任者である桂文枝氏をはじめ、審査委員には桂小文枝氏、イラストレーターの成瀬國晴氏、よせっぴ編集者の日高美恵氏の4人の厳しい審査が行われ、その結果、みごと名人の座を獲得したのが麹屋と太郎氏(東京)。準優勝が金木亭犀斗氏(福岡)、3位に天神亭珠緒氏(兵庫)が入った。

この社会人落語日本一決定戦は、平成21年、池田市制70周年事業として誕生した。社会人らしい落語をテーマに多種多様な職業の、幅広い年齢の老若男女が池田に集い熱演を繰り広げる、池田市あげてのイベントになっている。

池田市は、落語と縁の深い町として知られている。上方の古典落語の演目に「池田の猪買い」「池田の牛ほめ」「鬼の面」など落語の舞台にもなっている。筆者が好きだった故桂枝雀さんの落語にもよくこの3演目が登場していた。

また、初代・二代目桂春團治の碑が市内の寺に建立されていることや、桂文枝氏が池田市在住ということなどの所縁で落語と池田市が繋がり日本初の「池田落語みゅーじあむ」が平成19年にオープン。池田市は上方落語資料展示館として、上方落語のDVDやCD、図書などが展示され “落語のまち、笑いのまち、元気なまち” を目指している。

 

 

リポート&写真/ 渡邉雄二 写真は昨年のパンフレットを複写掲載

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尾道・文化紀行ブログも覗いてみてください。

https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/

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笑福亭鶴瓶の本当の顔が見える 【大西二士男氏が写した「笑福亭鶴瓶」】

2021-10-29 14:32:59 | 伝統芸能

NHK総合の番組「鶴瓶の家族に乾杯」の大ファンである。

四半世紀を超える長寿番組で、鶴瓶さんとゲストの旅紀行・バラエティ番組として中高齢者の熱いファンに支えられ、

20年以上もずっと視聴率15%前後の高視聴率を維持するオバケ番組。

その高視聴率をたたき出している理由の一つが鶴瓶さんとその地の人たちとの喋くりのおもしろさ。

その人間味あふれる光景が視聴者の心を捉えている。

 

私もこの番組を見始めて鶴瓶さんのファンになった。

彼の本業はご存じのとおり落語家さん。若手の頃はちょっとユニークな芸人さんとして活躍し、

ときたま世間を騒がす言動もあった。そんな鶴瓶さんが本業の落語に力を入れ始め、

最初の全国ツアーの最終日の大阪公演を観に行った。

鶴瓶さんの熱演もさることながら通常の落語会では見られない舞台演出や構成がすごかったのを覚えている。

 

以前、仕事の関係先で遠目で鶴瓶さんを何度か見たことはあるが、

その時から鶴瓶さんの人間味あふれる人柄を耳にしていた。

あるイベントの収録で使った旅館の女将さんは、

ただ場所をお貸ししただけのご縁にも関わらず鶴瓶さんは近くに来たのでと電話かメールをいただきます、という。

とくに仕事関係者でない人たちへの配慮は欠かさないようだ。

 

 

そんな鶴瓶さんを被写体に撮り続けている写真家大西二士男さんの

「笑福亭鶴瓶17年間の観察記 "ウラとオモテと本当の顔" 」という写真展を先日見に行ってきた。

落語家笑福亭鶴瓶の十色の表情が見える写真を堪能させていただいた。

大西さんは「被写体は一人だけど撮るたびに、それぞれのストーリーがレンズを通し見えてきます」という。

「ほんとウラもオモテもない人です」

「とにかく人が好きな人です」

「縁を大事にする人です」

「常に本気な人ですね」

 

身近にいる人が言う言葉と、テレビを通して見る鶴瓶さんが変わらない。これが笑福亭鶴瓶の姿なのだろう。

 

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稀な落語家「笑福亭鶴瓶」の、人を魅了する力

2021-07-21 16:50:43 | 伝統芸能

一昨日、久しぶりに大阪梅田の紀伊国屋に行った。

入口を入り目に留まったのが落語家 笑福亭銀瓶さんのポスター。

見ると「師弟」という書籍のPR。ご存じの方も多いと思うが、

笑福亭銀瓶さんの師匠といえば、あの「笑福亭鶴瓶」さん。

ポスターの前には少しながら平積みされていたので、ペラペラと捲ってみた。

 “笑福亭鶴瓶からもらった言葉”、という副題がついていた。

鶴瓶さんあっての銀瓶さん、そして他のお弟子さんも、そうである。

それだけ鶴瓶さんの存在感が大きすぎる。師匠を越えての一人前というレッテルが張られている。

銀瓶さんはその先陣を切って、師匠を踏み台に必死に頑張っている。

師匠を越える日もそう遠くないような気もするが、さて。

 

 

その笑福亭鶴瓶さんの落語を14年前に大阪松竹座で聴いたことがある。

その時が、後にも先にも一回きり。その時の感想を書いた記事があるので、引っ張り出して転載した。

 

 

昨夜は大阪・松竹座に「鶴瓶のらくだ」を聞きに行ってきた。

いや観に行ってきた、と言ったほうがいいかも知れない。                      

笑いぱなしの2時間半。観衆をひきつけ、笑いの渦に巻き込む才知はやはり並外れている。

彼の話から想像するに生まれつきの天性のような気がする。

天才の粋である。子供時代、高校時代、落語家の道を志し弟子入りした頃の話しを聞いているとまさにそう思う。

 

ご存知の通り、鶴瓶さんは落語家。六代目・笑福亭松鶴さんに弟子入りして35年に、と言っていた。

弟子入りして一度も稽古をしてもらったことがない、と笑いながら嘆いていた。                                 

その代わりテレビではタレントとして大活躍。誰もが知る全国の人気者。

その彼が本格的に落語を始めたのが5年前から、と言って笑いをとった。

そのときから今回のような企画落語会「鶴瓶のらくだ」を練っていたという。

福岡の嘉穂劇場を皮切りに8ヵ所21公演を見事やってのけた。

東京は歌舞伎座で、最終公演は彼の生まれ育った大阪の地の「松竹座」を選んだ。

落語会、また落語独演会などで歌舞伎座や松竹座で公演できるのは彼くらいだろう。

それもすべての公演が超満員になるほどの大盛況ぶりであった。

 

 

その最終公演の初日を観た。納得の演出が施されている。

さすがテレビという媒体で鍛え抜かれた技と企画力に感心。

落語会ではあり得ない価格8500円に文句言う人は誰一人としていないだろう、

と思うほど見事なものだった。テレビの延長線上にある演出だけど、

テレビでは出せない “生” 舞台を披ろう。存分に人間「鶴瓶」を見せてくれた。

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時代劇は、刀に次ぐ「草鞋」が重要。小道具を重んじる巨匠 中島貞夫監督

2021-07-11 15:11:44 | 伝統芸能

最近、漫画やアニメーション、ゲームなど新しい時代の時代劇が映画化され、若い人たちにも人気を博している。

時代劇の復活として、年齢を問わず時代劇ファンは嬉しい。

しかしながら、昭和に馴染んだ世代の者(私)には、いまの時代劇には少々馴染めないのも事実。

馴染めない一番の理由は、やはり「時代背景」にある。いまの時代劇は、時代背景はさほど重要ではない。

見せる観点が違うからだ。やはり、時代感覚の違いだろう。

いまの製作観点は、時代劇文化を生かしつつも、

いまの「テクノロジー」をフルに活用したエンタテイメント性が何よりも重要なファクターである。

 

 

我々の世代では、時代劇を観ることが嬉しくてたまらなかった記憶がある。

そんな昭和世代が、ドキドキして時代劇を観る機会がほとんどなくなった。

そんな中、ドキドキする場面に立ち会うことがあった。

その年の「京都国際映画祭」のヒヤリングで、時代劇の巨匠である「中島貞夫監督」の話を聞く機会があった。

お会いするのは当然初めてである。時代劇、やくざ映画ファンとして中島作品観賞は欠かせない、

という時代を過ごした。その巨匠が20年ぶりにメガホンをとるという。

それに関してはまたの機会に紹介するとして、監督の熱い時代劇噺を聞かせていただいた。

 

 

中島監督が時代劇をつくるとき、とくに気にすることが「小道具」だという。

時代劇では小道具の代表が「刀」であるのは言うまでもない。刀の製作には監督の目が光る。

そしてもう一つが「草鞋(わらじ)」。これにはびっくり。

草鞋は、その時代の履物で、侍や武士にとっては、いまの時代で言うならアスリートのシューズのようにモノ。

旅に出る、闘いで走り回る場合の動きの時もすべて草鞋である。

時代劇等で使用する場合、当時の草鞋をできるだけ忠実に再現する必要があり、

しかも動きの激しい立ち回りでは昔のままでは当然履物として機能しない。

そこに小道具をつくる人たちの知恵と工夫がある。

いいモノができれば、これが、時代劇をつくるものにとっての喜びにつながり、隠れた資産になっていくようだ。

だから、小道具ながら草鞋への製作には特に注力するという。たかが草鞋 されど草鞋である。

見えないところへのこだわりがモノづくりの「価値」をさらに高めていくように、

一流の監督の “一流たる所以” なのだろう。

 

 

※この記事は2017年7月「心と体のなごみブログ」に掲載したものを加筆し転載

リポート & 写真 / 渡邉雄二 トップ写真 / 中島貞夫監督作品画像を借用 ('19年20年ぶりのメガホンで、高良健吾主演の「多十郎殉愛記」)

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霜乃会、新感覚の古典芸能エンターテイメント!

2020-10-03 16:06:35 | 伝統芸能

昨日、久しぶりに人の集まるところにお邪魔した。

先日来、能楽師 林本大氏をYouTube「アスライトチャンネル」で紹介するための取材を行っている。その時に、林本氏から日本の伝統芸能の若手演者のグループ「霜乃会(そうのかい)」の年一回の講演の案内をいただいた。

その講演を昨日、大阪梅田のHEP HALLに観に行ってきた。霜乃会は「和の魅力、個の魅力が織りなす新感覚エンターテイメント」というキャッチフレーズで活動を行っている。

伝統芸能を伝承していくために、異なる分野の若手演者が集まり、古典芸能の魅力を新しい感覚で伝えている。

霜乃会は、講談の旭堂南龍氏をはじめ、能楽の林本大氏・今井哲朗氏(共にシテ方)、浪曲の京山幸太氏、文楽浄瑠璃の竹本碩太夫氏(文楽大夫)、鶴澤燕二郎氏(文楽三味線方)、落語の桂紋四郎、そして茶道の松井宗豊氏の面々。

個性豊かなそれぞれの演者の技能を一堂に観ることができるのは、まさにエンターテイメントである。演じる側もそれぞれの刺激を享受し、そして観る側の興味がそれによってさらに増幅されていくような感覚になった。

日本の伝統芸能をけん引していく団体として霜乃会の役割は大きい。また、それぞれがそれぞれの分野で日本を代表する古典芸能の伝承者として活躍していただきたいものである。

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