延暦寺の大講堂の中に数多くの尊者の肖像画が掛けられてあった。その中でひときわ目に映ったのが、他の尊者とはかなり違和感のある「舎利弗尊者(シャーリープトラそんじゃ)」。般若心経等の経典に名がよく登場する「舎利子」である。釈尊の十大弟子のひとりで、釈尊が厚く信頼していた弟子だったと記載されている。
ここに並ぶ肖像画の尊者は比叡山で学んだ、それぞれの宗派を創建した尊者の中でも舎利子の存在感がきわだっていた。当然、インド人だから顔の彫りの深さや法衣が違って当たり前であるが、こういう肖像画が掲げられているのも延暦寺ならではなのかもしれない。