昨年末に阪急32番街のアーケードは多くの人で賑わいをみせていた。
すでに阪急うめだ本店のウィンドーは2024年の門出を祝し、京都嵯峨御流による正月ディスプレーで整えられていた。
七つのウィンドーには、それぞれのテーマに沿った御流の本隋である「天・人・地」をもとに「迎春花の想い」が形にされていた。日本の伝統文化の “めでたさ” をいけばなで表現したと書かれていた。
令和六年甲辰年が健やかな年になりますようにという想いを込めて挿花したと綴られていた。
初日の出に本年の幸せと順風漫歩を願う「来光」
歳徳の神を迎える松に梅を添えて鷁首龍尾船(げきしゅりゅうびせん)にいけている。水を渡る「龍」、風波に耐えてよく飛ぶ「鷁」の飾りを付けた船花器を合わせて表現
水は命の原点。水の源流である深山の風景「蓬莱」
水の源流を生み出す「深山の景」を表現。水=命は連続してつがっているという大切なことをいけばなで表現
甲辰歳 龍の勢いにあやかりたい「瑞祥」
運気上昇、富と幸福をもたらすといわれる龍の姿を、南方竹の根を金色に染めて表現
直ぐなる杉のすくすく生える異形の美を再発見する「須久須久(すくすく)」
杉は「スクスクと生える木」からつけられた名前。細く優美な容姿から庭園観賞用の台杉に、苔庭には「一両から万両」までの植物を配している
赤に繫栄と避邪(ひじや)の願いを託した「猩々(しょうじょう)」
能の猩々で用いられる赤い頭と酒に酔った猿のような赤づくめの衣装を、猩々緋の色に染めたヤシの花序、猩々木(ポインセチア)などの花材で表現
陰陽和合の調和美。しつらえの遊び心「日月(じつげつ)」
向かって右に花衣桁を「陽=日」、向かって左を「陰=月」と見て、陽側には勢いよく伸びる紅梅を、陰側にはくつろいだ飾り方で満月花器からしだれる白梅を生け陰陽和合による調和を表した
令和六年 御歌会始の御題「和」にちなんだ「わ」
置器の亀花器にいけているのは、嵯峨御流 生花の「内用」という花姿。天人地三才の枝の働きの変化に魅力があり、その姿があたかも「わ」の字の形をしている。
結び柳の丸く結んだ部分は「生命力の象徴」や「一陽来復」の太陽を表している。
リポート&写真/ 渡邉雄二
花解説/ ウィンドーに飾られた解説文を転用
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