薬膳料理をひと言で語るのは筆舌に尽くしがたい。
筆者が知る限り、また補足できる情報を加味して言うならば、
薬膳とは中医学理論(中国伝統医学)にもとづいて考案された、
食材と中薬(生薬)と組合せた料理。栄養、効果、色、香り、味、形など、
すべてのバランスが揃った食養生の方法ということになろう。
食養生とは、病気の予防と治療、健康保持、体質改善などを目的としており、
その人の体質や体調に応じて栄養を考え調整することである。
薬膳料理は「この料理が効果的」といった万人受けするものという考え方ではなく、
季節や食べる人の体調に合わせて作られる。
冷え症が気になる人に体の熱を逃がす効果のある薬膳料理を組み合わせると、
保温に必要な熱まで奪ってしまう可能性があるので体質に合っているとは言えない。
同じ料理でも体質によって合う・合わないがあり、それを見極めて料理を作ることが大切だといわれている。
また季節に合わせた旬の食材を使うことで、気候に合った食材のパワーを体内に取り入れられるとも大事。
そして冬の時期の旬の食材には体の中から温まる効果があるものが多く、
春にかけてはさまざまな刺激から体を守ってくれる免疫力の高まる食材や苦みのある食材が多くなる。
体質や季節に合わせて料理を行うことも、健康を食でサポートする「薬膳料理」の考え方である。
薬膳は食べておいしさを楽しむだけの料理ではない。エネルギーを摂取するための食事とまた少し違いう。
冷えや食欲不振など、その人がもつ体質自体を改善へ導くための食事が薬膳料理ということである。
薬膳は生薬を使わなくても、体質に合った身近な食材を使うことで症状の緩和を目指すことができる。
日頃、料理するたびにこんなことを考えると、楽しい料理も好きな料理もそうでなくなってしまう恐れがある。
やはり、日頃の生活のなかで作りやすいものでなければ続かない。
それで、今回暮らしの中で作れる薬膳料理の講習会を行った。
講師は、滋賀県大津市の「薬膳館」の館長さんである横田佳子さん。
横田先生はもちろん
お料理の専門家であるが、 薬膳には欠かせない生薬の先生でもあり、 中国健康法の専門家である。
まず、五行説の話から始まり、上記記載の薬膳についての話を聞き、
自然と食物のかかわりの大事さを改めて認識し、料理実習に入った。
メニューは下記のとおり
■黒い肉まん
材料は、白菜・黒きくらげ・干しエビ・干し椎茸・白ねぎ・豚ミンチ・生ピーナツ
・葛根(かっこん)・小麦粉・ベーキングパウダー・黒粒胡麻・黒すり胡麻・水
■黒米とたいそう(なつめ)のお粥
材料は、白米・黒米・黒餅粟・なつめ・黒砂糖
■芹菜と銀耳のサラダ 材料は、芹菜・林檎・銀耳(きくらげ)・白ねぎ・塩・酢・サラダ油
の3種類です。
この季節は身体に良いとされる「黒」の料理ということである。
薬膳料理は体質に合わせて、使用する食材・調理方法を選ぶ。
たとえば手足の冷えが気になっている人には、体を温める効果が優れている生姜。
そして胃腸を温める効果のあるレンコン、鮭、大根などを組み合わせるのも良いとされている。
体調にあわせ、どんな食物が効果的なのかをまず知っておくことが肝心のようである。
機会があれば是非勉強されることをお勧めする。
※この記事は、2005年11月の「心と体のなごみブログ」に掲載した内容をリライトし転載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます