ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

清酒に菊花弁と茶葉を混ぜた、本来の「お屠蘇」を堪能

2021-02-19 14:37:05 | 文化想造塾「煎茶」

今年の、中華系のお正月にあたる「春節」は2月12日から17日までの7日間。今日が最期の日になる。

中国では、日本同様に春節には「お屠蘇(おとそ)」を飲む習慣があるようだ。お屠蘇の習慣はもちろん中国から日本に伝わったものである。古代中国では、悪魔を退治するという意味から調合された薬草を酒に浸して飲んでいた。それが現在に伝えられ、日本でも邪気を払い、一年間の無病を祈り、心身ともに健康を願い飲む、お正月ならではの酒である。

煎茶の初稽古では、清酒が席にでることがある。言うならば「お屠蘇」である。

昔からお茶は薬草の一種とされている。そのお茶と清酒の組み合わせは何度か体験させていただいているが、この日はまた珍しい煎茶の飲み方を学んだ。

お酒の中に菊花弁が並々と浸っている(写真)。そのお酒を急須にとり炉にかけ温める。いわゆる温燗である。それをいただく。

一煎目は、お酒に菊花弁のまろやかさが馴染み美味しい。

二煎目は、同じように菊花弁が浸かるお酒を急須にとり炉にかけ、そこに煎茶葉を入れ少し温める。この組み合わせは、今までに賞味したことのないまろやかさが喉を覆う。

さらに三煎目が"妙味"。それは、湯のみに茶葉を直に入れ、それに菊花弁に浸かるお酒を少し沸かし注ぐ。これを口に含む、お酒の苦味、酸味に茶葉の甘味が絶妙な味を醸し出す。

一煎目から菊花弁と清酒そしてお茶の組み合わせである。

比類なき趣向であり、一茶庵ならではの愉しみ方を堪能させていただいた。

本来の「お屠蘇」をこのような煎茶席で味わえるとは思ってもみなかった。

 

今年も、元気で健康に過ごせるように、と。

新型コロナウィルスに打ち勝ち、日々通常を取り戻したいと、

今年は切に願を込めて―

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2月15日はお釈迦様の命日。横たわるお釈迦様の周りには!?

2021-02-17 15:45:31 | 歴史遺産「仏像」

2月15日。

満月の夜、クシナガラ郊外の沙羅双樹に横たわり

臨終迎えたお釈迦様の命日である。

お釈迦さんが亡くなったことを

「涅槃(ねはん)」という。

 

釈迦像を本尊とする寺院では涅槃図を掲げ、

お釈迦様の遺徳を偲ぶ法要

「涅槃会(ねはんえ)」が随所で行われている。

昨日、大阪府池田市にある佛日寺では、

コロナ禍の非常事態宣言発令による自粛で

三密をさけるため簡略化し開催された。

まず涅槃図を前に手を合わせ、

涅槃図に描かれている、

沙羅双樹に囲まれ横たわるお釈迦様と、

護法善神、菩薩、そして数多くの動物などとの

関りについて解説いただいた。

涅槃図は、お釈迦様と繋がりをもつ

すべての生きとし生ける人や動物が

お釈迦様に寄り添い悲しんでいる姿が描かれている。

そこにはそれぞれのお釈迦様とのストーリーが秘められているようだ。

佛日寺のこの涅槃図は、

平成30年に修復されたものである。

高さ3.8m、幅3.2mあり、

池田市にあるものでは最大級の大きさのものである。

江戸時代に佛日寺に寄贈された貴重な涅槃図。

左右には紺地に金泥で文字が書かれ、

他に類を見ない大変珍しいものである。

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ヨーロッパで武道人生の華がさく。 南部義尚を支えた弟子たち

2021-02-16 14:40:29 | 趣味

現在、武術、武道、柔道は世界のスポーツとして認知されている。

その中の空手道は日本で生まれ日本で育ち、海外に渡った。

多くの空手家が、世界にその流儀や技を伝え広めた。

その一人が南部義尚氏。半世紀以上前にフランスに新天地を求めた。

 

南部氏は年月を経て全世界南武道連盟の創設し、

ヨーロッパを中心に南武道王国を築いた。

その南部氏は昨年、弟子や南武道家たちに惜しまれながら、

77歳で天国に召され武道人生を終えた。

大学卒業と同時に渡仏し55年。

空手道の師範として指導、

後に自身が創造し立ち上げた「南武道」。

世界に多くのファンを持つ南武道をけん引してきた。

 

南武道の確固たる流儀を、

各国の弟子に伝え育ててきた。

その中でも、写真にあるように道主が

心より信頼していた、クロアチア共和国の

Leo Rafolt(レオ・ラフォルト)氏は

特別の存在だったようだ。

子弟の関係は見てのとおりであるが、

親が子を慈しみ、育てるような愛情をもって接してきた。

Leo氏は師匠の全てを受け継ぎ、

南武道の普及に人生をかけ、いまは南部道主に代わり

各国への指導普及に尽力している。

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柴門草舎絶風塵 世俗を絶って学問に勤しむ 

2021-02-15 11:35:46 | 文化想造塾「煎茶」

「柴門草舎絶風塵」。お軸に書かれているのは「尋龍井楊老」という句の一節。"さいもんそうじゃ ふうじんをたつ"と読む。

この"柴門"とは、どのような門なのか。柴というから枯れ木のこと。木を寄せ集めて造った簡易で粗末な門のことだろう。
その粗末な門の奥には、世俗を絶って学問に励むための舎がある。文人や隠棲者に相応しい清らかな栖(すみか)になる。
人との交流を出来るだけ避け、ただ学問に勤しむ様子をあらわした一節である。



そんな心情にぴったりの淹茶(えんちゃ/湯に浸した だし茶)を三煎まで淹れ、味の変化を楽しませてもらった。"素心"というシンプルな淹れ方である。
水柱のぬるま湯を急須に注ぎ、そこに煎茶を入れる。しばらく待つ、そして湯のみにつぎ分ける。煎茶のまろやかはあるものの渋みが強い。そして急須に二煎目のぬるま湯を注ぐ。この二煎目はさらに渋みが強くたつ。煎茶の醍醐味を堪能できる淹茶であった。

京都には柴門があってその奥に庵が設けられている場所は随所にある。こんな場所に身を置くのも乙なものである。

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銅の特性を生かして造る銅鍋は、叩いて硬くする。【逸品殿堂シリーズ記事追想】

2021-02-12 10:30:01 | 文化想造塾「逸品殿堂」

10年前に取材で訪れた「甲野製作所」。大阪平野区にある、手打ちの家庭用銅製品を製造する家内工場。昨年、コロナ感染が拡大する前に2回目のYoutube取材を申し込んだが、残念ながらコロナ騒動で実現しなかった。

10年後の現在、当時お話を聞いた3代目甲野通弘さんは87歳。電話で聞くと今も、4代目ご子息浩正さんをサポートしながら現役のようである。

古くから和菓子に使われる"餡子(あんこ)"を炊くのに欠かせない道具として銅版の鍋が使われている。いまも家内工業的な和菓子屋さんの奥には必ずといっていいほど大きな銅鍋がある。

銅鍋が使われる一番の理由は、あずき色が出ること。それとあずきのふっくら感が違う、ということ。和菓子屋さんにとって銅鍋は欠かせない道具である。
それと天ぷら屋さん、和食割烹などのプロの料理人の道具必須アイテムとして君臨している。卵焼きは銅鍋に限る、と言われてきた。さらに炊く料理は、水分をほどよく飛ばしながら食材に味をしみこませるのを得意としている。そのレパートリーは肉じゃがや魚の煮付け、煮豆といった和風のものから、ホトフ、カレー、シチューなどがある。さらにフレンチのソースづくりにも最適とされている。

これらの銅鍋を、昔ながらの手打ちで造り続けているのが甲野製作所である。手打ちとは、機械に頼らずに長年培われた技術と勘で仕上げていること。ここ甲野製作所は、3代目の甲野通弘さんと、跡継ぎで4代目になる息子さんの浩正さんのふたり。バブル時までは職人さんが何人かいたのだが、いまは親子二人三脚でがんばっている。

3代目の通弘は、銅鍋づくり60年の大ベテラン。作業は、とにかく叩く。銅版を金床に置いて金槌で叩いて叩いて、また叩く。

なんで叩くのか、というと、銅の分子が詰まり硬く頑丈になっていくから、という。銅鍋は、叩いた跡の槌目が特徴である。ここ甲野製作所のものにはどの部分にも槌目が入っている。だから頑丈なのである。出来上がりのものを手に持ったとき、手にズシリとくる。その存在感は鍋の王様の風格を感じさせる。

 

造る過程は、まず鍋の胴部分の製作、底板の接合、磨き、槌目入れ、柄の接合、スズの塗装といった行程に分かれている。そして銅を火にあぶり軟らかくして焼きいれをする。鍋を造るのには、一枚モノの銅版を押し込んで造るものだと思っていたが、胴回りと底板を接合している。接合部が見えないのは、ここでも叩いているからである。

すべてが手造り。手間をかけて造る。鍋の出来が料理を左右することまで頭に入れて造っている。生産性は低いが、職人の魂が入っている。時代遅れかも知れないが、本物である。たかが鍋、されど鍋。すばらしい逸品に出会った。

 

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