秋蝉や男も使う化粧水 章子
眠らむと聴く新涼のアベマリア
鉄扉閉ずる大音響や無月なり 薪
カマキリと呼ばれし男の子横綱に
杉木立箱根全山ひえびえと 歩智
御婦人のバギーに小犬秋彼岸
月青し湯の街黒く鎮まりぬ 遊石
勝った子が負けた子つつく運動会
ひやひややいじめた娘来たクラス会 炎火
秋の夜孫とのオセロゲームかな
花芒野道に群れて風誘う 豊春
色づきし山間の田に老夫婦
糸瓜忌やたっぷりつける化粧水 洋子
虫時雨パエリャの香りたちこめし
軒なめて走る江の電鰯雲 稱子
畦道は風の抜け道曼珠沙華
縄跳びが叩く地球と鰯雲 雲水
ひやひやと野菜貯蔵の防空壕