この句の、望の月(満月のこと)が、これから次第に欠けてゆく(縮んでゆく)というだけの意味ならば、当たり前で面白くない。しかし、同時に他の何かも縮んで行くとしたら、想像が膨らむ。
例えば、人間は生まれた時から、既に死に向かって歩いている訳だが、せいぜい20才位までが成長期。それ以後は、ずーっと死ぬまで退化期であろう。皺は増えるし、身長は小さくなるし、体重だって、まあこれは人によるが、長生きする人の体重は、たいてい減ってゆく。
つまり、満月が欠けてゆくように、成長することなく体が縮んで行くのは、長寿の証拠なのである。だから、そういう自分を、堂々と謳歌したらいいのだ。
シモバシラ(霜)シソ科の多年草