「冬構」には、風除け、雪囲い、雪吊り、建物の北窓を塞ぐ、目貼り、障子張り、種取り、など冬に対する様々な備えを言う。
ところが、雪が降らない、強い北風もあまり吹かないような土地では、大した備えがいらないのだ。建物は高断熱の家、全部屋にエアコンや床暖房。職業がサラリーマンでマンション住まいなら、尚更である。
北国、雪国の人には申し訳ないが、この句の作者のような都会で生活する人たちが、日本の人口の半分以上いるのではないか。唯、それが豊かな暮らし、本物の暮らしなどとはとても言えない。それだけは確かだと思う。
何故ならそれは、電気・ガス・水道といったインフラが整備され、動いているからだ。ところが、万一大地震などでそれらの供給が止まれば、住宅は一変に無用の長物になる。都会人は、危険極まりない薄氷の上で暮らしている。