社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

7月14日(水)

2010年07月15日 23時41分54秒 | 2010年

  4時半起床。朝食にお茶漬けをかきこみ、シャワーを浴びてから家を出る。今日は、直行で厚木にある工業団地の組合へ行き、そこから観光バスに乗って山梨県へ太陽光発電システムの視察へ行くのだ。その工業団地は数年前から積極的に環境問題に取り組んでおり、今回はその取り組みの一環として、太陽光発電が工業団地へも導入可能なものなのかどうか、とりあえずは実物を見てみようということである。

  新宿から小田急線に乗り換え、7時過ぎに本厚木駅で先輩と待ち合わせ。その後、観光バス内で組合の事務局員さんや組合員さんと合流し、総勢17名で山梨へ向けて出発する。朝が早かったので車内で眠ろうと思っていたのだが、添乗員さんが本当によく喋る方で、結局現地に着くまで一睡も出来なかった。しかし、ただ喋るだけでなく、そこはプロだけあって面白かったり勉強になったりする話が多かったので、むしろ良かったかもしれない。

  まずは、山梨県北杜市にある太陽光発電の研究施設を見学。ここで行われている研究は、正式には「大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」といい、北杜市とNTTファシリティーズが独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構から委託を受けて行っている。とにかく色々と長ったらしい名前が並んでいるが、私が理解した範囲で説明すると、要するに各種の太陽電池(9カ国27種類)を集めてそれぞれの特性や能力を比較・評価すると同時に、その設置や送電の方法などといった実際の運用方法について研究している施設である。

  実際に見学をしてみて最初に驚いたのは、一言に太陽電池といっても、使用材料や製造方法によって数多くの種類があり、それぞれによって太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する効率や、気温や光の波長の違いによる出力特性(基本的には、どんなに日光が強くても、あまりに暑いと逆に出力が落ちるらしい)などが異なるということだ。また、太陽電池を設置するというは大変な作業のように思えるが、ここで開発された杭工法架台を使うことによって随分手軽に設置できるということも印象に残った。他にもまだまだ技術的な小難しい話をたくさん伺ったのだが、なんせ私自身がきちんと理解出来ていないので、当然説明なんて出来ません。興味のある方は、是非見学に行ってみてください。ちなみに、北杜市もしくはNTTファシリティーズから申し込めば、誰でも無料で見学させてもらえるそうです。また、写真は省略しましたが、変電器や遮断機(どでかいブレーカー)も見せてもらえます。


様々な角度で設置して、それぞれの効率を調べている。


裏を見ると、案外簡単な設置方法だということがわかる。


太陽の動きに合わせて角度を変えるという代物も。


カネカのアムルファスシリコン製


三洋電機の単結晶シリコン製


キューセルズ(ドイツ)の多結晶シリコン製


富士電機のアムルファスシリコン製
(よく見ると、紙のように薄い)


BPソーラー(イギリス・インド)の多結晶シリコン製


イソフォトン(スペイン)の単結晶シリコン製
(中心部分に会社のロゴが入っている)


このように、かなり自由に見て回れます。

  昼食は、七賢酒造で「鮭の麹づけ定食」を食べる。さすが酒蔵だけあって、これがめちゃくちゃおいしい。他にも、かつて明治天皇が宿泊したといわれている部屋(行在所)を見学させてもらったり、「阮籍」という日本酒の試飲をさせて頂いたりもした。ちなみにこの日本酒は、飲みやすくて美味しい。下戸の私がそう感じるのだから、相当だと思う。ただ、日本酒だから当然なのだが、相当強い。おかげで、次の視察場所までの移動は先輩と一緒に完全に爆睡した。


ここが、実際に明治天皇が泊まった部屋らしい。

  午後の視察は、八王子にあるレモンガスの省エネハウス「レモンタウン」。ここは、実際に燃料電池や太陽光発電を使ったコミュニティ施設で、それぞれの仕組みや費用対効果をわかりやすく解説してもらえると同時に、それらのエネルギーを使っている足湯に入れたり、電気自動車に乗ったりも出来る。先ほどの研究施設が企業向けだとしたら、こちらの施設は家庭向けといえるだろう。実は燃料電池の仕組みを知らなかった私にとっては、非常に勉強になる施設だった。


燃料電池「エネファーム」


中を開けるとこんな感じになっている。

  全ての視察を終え、17時半過ぎに本厚木駅に戻ってくる。時間的にそのまま直帰することになったので、先に組合の方や先輩を見送ってから、せっかくなので新宿までロマンスカーで帰ることにする。直近の17:55発さがみ88号に乗ったら、なんと小田急現役最古の車両(LSE7000系)だった。普通の人にとっては古くて設備も悪いハズレ車両だが、そう遠くない将来に「引退」の2文字が控えている車両に乗るのは、鉄道オタクにとっては貴重な体験だ。 約50分の乗車時間は、あっという間に過ぎてしまった。


遠くにこの車両が見えた瞬間のワクワク感、鉄っちゃんならわかってくれるはず。


やはり、車内も歴史を感じさせる。


新宿駅到着後、すぐに通勤用特急「ホームウェイ」として箱根湯元へ向かう。

  19時半前に帰宅。今日はもっと遅くなると思っていたが、直帰だったのでむしろいつもより少し早いぐらいだ。今日の遠足…じゃなくて視察は、本当に楽しかった。これがいわゆる「大人の社会科見学」というやつなのだろう。