私が働いている中華のバッフェに来た老婦人との話を
続けています。
”コンボが安い” と
婦人の好みも無視し
強く自分の意見を伝えるお節介な私に
ずっと 微笑みを絶やさず
静かに 聞いていてくれた老婦人が
自分が注文した中華料理の入った箱を見ながら
” 私って 変わってるのよ。” と
話を始めた。
何かと思ったら
”最初に春巻きを食べるの、、。” と
ゆっくりと やわらかい声で言われる、、。
(アピタイザーの春巻きを最初に食べるのは
当たり前の事だけど、、、) と
心で思いながら
首を縦に振り
黙って老婦人の話を聞いた、、。
”そしてね 次に 料理を食べるの” と
微笑みを崩す事もなく
同じスピードでゆっくりと話される。
ごく普通の料理の食べ方をしている話に
返す言葉もなかった私だったが
話を聞きながら
小さな丸いテーブルで
ゆーーーっくりと一人で食事をされている婦人の姿が
目の前に広がり
一人で食事をする時に
つい がっついてしまう自分の姿と
重なりもした。
少し 合間を置き
婦人が話を続けられた、、。
”それからね ティーを飲むの” と、、、、。
ティーーーーーに
異常に反応した私は
まるで ネジを巻かれたおもちゃが
急に動き出すかのように
速い口調で お茶について話し始めた。
お茶を飲み身体を温める事は
特に私たちの様な女性にはいい事である、、、とか
先日
日本からユズの
風味がするお茶を頂いたこと、、とか
まくし立てるように 話す私を
同じ微笑みで じっと見つめ
老婦人が また ゆっくりと
話し始める
”貴方は 00通りにある お茶屋さんに
行かれた事がおあり?
とても沢山のお茶が置かれていて
全て Loose Tea だから ベターなのよね、。” と、、。
ん?
(ティーバッグより ルーズティーの方がベターって
何がベターなんだろう?) と
疑問を持ちながらも
自分がそれを知らない事を
老婦人に気づかれないよう
知ったかぶりをするような態度をとった自分がいた。
私はこれを 時々、、、
( いや、、頻繁、、かも)、、、、する。 (今年の反省その1)
知ったかぶりをしたこともあり
そこから 話が続かず
私たちの会話は終わり
婦人は 同じ微笑みをして
商品が並ぶ方に去って行かれた。
婦人が去って行かれてから
一体 彼女のあの品の良さは
どこから来ているのだろう、、、と
ハタと考え込んだ、、。
婦人の顔を思いだそうとすると
何事もジャッジしない
やさしさに満ちた 純粋な瞳と
そこから放つ やわらかい黄色い光が
目の前に広がる。
あのしわくちゃの肌も
乱れた髪の毛も
安っぽいコートも
何の意味も持たなくなっていた。
あさましさのない
穏やかで自分に素直な心、、、
そんなものが
婦人に
品を与えているんだろう、、な、、。