Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

初詣、3

2017-01-16 21:30:36 | 日記

  ここで、読者の皆さんが気付かれたように、異星人である2人に名前を付けたい。

女性の方はシル、彼女にはテレパシーがあって人の心を読む事ができた。同族間ならテレパシーで会話もできる。

種族の中で彼女の能力が際立って優れていたのは、異星種間の混血が進み、多種族のDNAを多く獲得していたからだった。

彼らはもちろん、地球近くの宇宙空間に宇宙船を配備していた。

その船の仲間はこのシルの能力を非常に高くかっていたので、何かしらこの星の地上での出来事に当たる時には、

事有る毎に彼女を引っ張り出してとても頼りにするのだった。

  さて、男性の方はミルという。人の発する光 、いわゆるオーラを見る事ができた。

その瞳も丁度海松色(みるいろ)をしていたので、場所によってカラーコンタクトで対処していたが、

本来の人のオーラを見る時には、やはりこのミル色の瞳で直に見なければならなかった。

ミルの見るオーラはその人の人となり、本質的な性質を見通すのに役立っていた。

彼に見える光は金銀から無色透明で輪郭は虹色の輝きから始まって真っ黒と、

其れなりにくすんだ色にも何回か出会った事がある。

目に見えて人の善悪が分かるので、はっきりとした悪人には最初から関わりあう事はしない。

が、特に必要な場合はそれも辞さずにしなければならない。

 と、2人の紹介が済んだところで、話を元のお札販売所の側に戻そう。

 

  ミルはもちろん、地上の人間の感情表現について調べに行ったのだが、

泣くと言う行為には2通りの感情表現があった。

悲しみか喜びか。?どちらだろうと思いながらシルの元に戻って来た。

その話をシルにしながら、2人で夢子を観察してみる。

 夢子は遂にあふれる涙を流れるままにして、時折沈んだ中にも微笑みを浮かべたり、

堪え切れないように含み笑いをしたり、キラキラ歓喜に瞳を輝かせたりしていた。

  夢子の中では様々な記憶が交錯していた。

嬉しくて楽しかった目くるめく日々、愚かにも失態をしてしまったバツの悪い時、

そんな悲喜交々の記憶が走馬灯のように脳裏に浮かんでは消えていく。

  夢子の顔にこのような様々な感情の波紋が浮かんでは消えていく間、

傍らの初子は以前のんびりとにこやかに上を見上げてぽかんと口など開けていた。

 「太陽っていいなぁ。ほんとに私は太陽が好き。」

太陽みたいな人っていいねぇ、初子は夢子に語り掛ける、

よく言うじゃない、君は僕の太陽だって、あれって分かる。

そんな事を臆することなく恥ずかしげもなく満面笑みで彼女が言うものだから、

夢子の方は遂に怒りが堪え切れなくなって来た。

 『人が傍で悲しんでいるのに、少しは空気を読んでよ。』

確かに今日、泣いたり悲しんだりしているのを初子に悟られないようにして来た自分だが、 

夢子だって自分の様子を彼女に気付いて慰めてもらいたいという願いはあった。

 そこで、ぐしぐしと涙を手で拭ってみる、一寸含み笑いをして確りと初子の顔を見てみた。

流石ににこやかな初子も、夢子の頬が濡れているのに気付いた。

あれっ、彼女は空を見上げてみる、空には急に雲が寄せ始めていたが、雨にはまだ間があるようだ。

それに確かに今まで雨は降って来なかった。雪だって、と、…風花のような細かい白いものがゆるりと風に舞い始めた。

 そうか、雪になるのね、初子は脱いで手に持っていた外套を羽織ると、

夢ちゃん、頬が雪で濡れているよ、目も赤いし、疲れているんじゃない、もう帰ろうか?

と夢子を案じた。

 『如何いう神経なんだか、本とにこの人、何だか…、変。』

夢子にすると、初子は何だか鈍感が過ぎて、浮世離れした人間にしか思えなかった。

 今までも、へぇ~えと、一般の人と彼女の間隔のずれを感じる事がままあったけれど、

それはそれで彼女の感覚に触れているのが面白可笑しく楽しかった。

しかし今日ここに至っては、悲しみから怒り、期待から肩透かしと、夢子の失望感は疲労感へと変った。

 もうこんな人と付き合うのは止めようかなと思い始めた彼女だが、

でも、失恋して直ぐだし、他に話す親しい友人も今はいないから。

そう思うと、

次の彼が出来てから彼女とサヨナラした方がいいな。と決断するのだった。

『初ちゃんだって、その内失恋でもすればいいんだわ。』

私その時には絶対相談になんか乗ってやらないから。

夢子は自分とは違ってもし初子が失恋したなら、彼女が周囲に盛んにその顛末、

自分の張り裂けるような悲しみを明け透けにアピールするタイプだろう事を知っていた。

 そんなの私知らないって言ってやろう。

フフフと笑いながら、その時の初子の顔を想像した夢子はにこやかに彼女を見た。

 あら、何だか元気がないと思っていたけど、夢ちゃん元気が出たんだ。良かったね。

この時、初子に嬉しそうににっこり笑ってそう言われると、夢子の意固地になった気持ちも緩んでしまう。

 一応、元気が無い事には気が付いていたんだわ。

夢子もやっぱり初子は友達だなと思い直した。

 「ねえ、夢ちゃん、今日何だか変だったけど、何かあったの?」

そう初子が言い出すので、

そうだ、ここって反応が遅いんだっけ、と、他の友達からも聞いていた初子の性格を思い出した。

 内心相談しようか如何しようかと思う夢子だが、元々初子に富士雄と交際している事を内緒にしてあったので、

今更その事を初子に言うと、また、何故友達の私に内緒にしていた、もっと早く相談してよと煩くなるに違いない。

その後、友情や本来の人の在り方ついてもとくとくと講釈されそうで、

そんな点でも初子の性格の気真面目で疎ましい事が今更ながらに思いやられた。

 此処は黙っていようと夢子は思った。

一寸横目で初子を見ながら、慰めて欲しい気持ちを引っ込めると夢子はううんと首を振って、

「何にもないよ。」

と密やかに答えるのだった。

 


初詣、2

2017-01-16 15:30:49 | 日記

 事実、外国人観光客の女性の方、栗色の長い髪の毛を毛糸の帽子からさらりと垂らしていた女性の方が、

連れの鳥打帽を被った男性より先に気が付いたのだった。

 『ねえ、あの後ろに腰かけている、2人の1人、おかしくない?』

そう連れの男性に彼女は聞いてみる。

『全然、そんな事無いよ。』

男性の方は全くそんな事には無頓着らしかった。

 それより、面白かったね。ああ、あの土地の氏神様というあの神様の事だね。

2人はハハハ、きゃっきゃと声を上げて、何が可笑しかったのか、如何にも小馬鹿にしたような笑いで口元を引き上げた。

こうやって見ていると、トランプのジョーカーのように唇の端が丸く巻き込まれた独特の笑い顔であった。

横顔だけであったが、この2人の男女の笑い顔が常の人とは違う事に、

今度は2人の後ろにいた夢子がその異常に気が付くのだった。

 夢子だけではなく初子も2人のこの独特な笑い、横顔を見ていたが、初子の方は2人は外人さんの事、

あんな笑顔をするんだな程度で見過ごすと、穏やかな正月の太陽、そのまるで真夏にも似た幾重もの光輪を見上げていた。

 『真夏の太陽みたい。』

そう思うと、初子は夢子に何年か前の夏、海で出会った夢子の初恋の人、富士雄さんの話を口にし始めるのだった。

 「夢ちゃん、富士雄さんの事覚えてる?」

初子のこの言葉に夢子は内心ぎょっとするのだが、表面は平静を装ってそうねぇと曖昧な返事を返した。

素敵な人だったね、今如何しているかしら。今此処で出逢えたら、夢ちゃん、こんなラッキーな事は無いでしょう?

即!付き合って下さいって言ったら、早速咲花姫様のご利益で、即OKかもよ。

 全く、何思う所の無い、初子にすれば夢子に良かれと思い、親友を喜ばせようと思って言った冗談の様な一言であったが、

今の夢子の胸を締め付けるには十分過ぎる一言であった。

初子の方は相変わらず晴天の空を見上げながらにこやかに日向ぼっこをしているので、

傍らの夢子が押し黙って、堪え切れずに溢れる涙を抑え切れないでいる様子に気付かない。

 『ねえ、やっぱりあの女の人変だよ。』

向かい側でそれとなく夢子の様子を窺っていた観光客らしい女性が連れの男性に囁く。

男性の方も

夢子の頬を伝う幾筋かの涙を見ると、漸く夢子の異変に気付いた。

 『確かに、あれは泣くというこの星独特の感情表現らしいんだ。』

と連れの女性に言うと、一寸戻って調べて来る、そう言ってお札販売所の表へと姿を消した。

 初子と夢子の位置からするとそうなるのだ。

 


初詣

2017-01-16 14:11:47 | 日記

 大体予想がついたような感じですが、新年なので「初詣」からです。

                    

 新年早々、「寒いといっても、猫の様に炬燵で丸くなっていないで新年の初詣に行こう。」

妙に明るい声で電話が掛かって来た。

 初子は驚いた。電話の主は彼女の高校時代の友人夢子である。

初子も夢子も共に押取りした性格なので、

初子は年が改まった途端にかかって来たこの電話の、

これ迄に似ぬ夢子の闊達な行動とその声の調子に少なからず驚かされた。

 『如何したのかしら?』内心初子はそう思いながら、いいよと快諾の返事を返した。

で、何処へ行く?初子は近くの神社2ヶ所の名前を挙げたのだが、

意外な事に夢子は、何時も2人が行っていたこれら2ヶ所の神社ではなく、別の場所の神社の名前を挙げた。

 咲花神社に行こう、行って縁結びのお願いをして来よう。

と言うのである。

ははぁん、初子も内心心時めかせてこの神社の名前を思い浮かべた。

「そうだね、私達、もうそんな年だもの。2人で行って良縁の縁結びをお願いして来ようね。」

うふふと2人の気持ちは瞬く間に一致して、早速その日の午後に出かける次第となった。

 「じゃあ、私が車を出して運転するから。」

この夢子の申し出に、初子は再度驚かされる事となった。

えっ!夢子が、大丈夫なの?私、夢子に車に乗せてもらうの初めてじゃなかったっけ?

と、初子がわざわざ問いかけなくても、2人共それは十分に分かっていた。

 実は夢子の内は電気店。

夢子は自宅の商用車である軽トラックの運転を、商売の手伝いでちょくちょくしていたのだが、

初子はそんな事には全然思いも寄らなかった。

寧ろサラリーマンの父を持つ、一般家庭の初子の方がよりペーパードライバーらしかった。

夢子にすると初子の運転の方が怖かった。

人間人も自分と同じだとついつい思いがちだが、実は案外人それぞれなのである。

2人は少々事を急ぎ過ぎているきらいがあったが、初子は夢子に音頭を取られて、

早々その日の午後今年の初詣に出かける事となった。

 新年早々といってもその日は元日ではなく2日目、それで午後になると参拝の人波はそれほど酷くなかった。

此処は初子や夢子の住んでいる町からそう遠くない、隣町に古くからある咲花神社だった。

この日のお天気は晴れたり曇ったり、冬といっても雪は無く、この土地では珍しく温暖な気候の年回りだった。

 「車を止めるのに駐車場で迷った以外は概ね良好な初詣になったね。」

そう夢子が言うので、初子もそうだねと相槌を打つ。

お天気も良いし、日差しが差すと暖かいから、あそこのベンチで少し休んで行こうか。

初子がそう言うと、夢子もそうだねと賛成した。

 神社は緩やかな山の上にあり、本殿までは麓から階段が続いていたので、

2人共頂上のお社で参拝する迄は勢い込んで一気に階段を上り切ったのだが、

いざ良縁を祈念して参拝が済んでしまうと、共にぱったりと気が抜けて、

上り階段の疲れが出ると同時に、年末年始の2年越しの疲労感も覚えるのだった。

 初子が指さしたベンチはそう新しい物ではなかったが、

古過ぎて朽ちるにはまだまだ相当掛かりそうな確りとした物だった。

それは木造りの長椅子型のベンチだった。木目そのままで背もたれや手すりは付いていなかった。

 2人は階段が続く参道から外れると、お札等を売る小屋の後ろ、日差しが当たるベンチに腰を下ろして寛ぎ始めた。

初子は冬用の厚手の外套を来ていたが、風もないこの日、こうやって日差しを浴びていると、

じっとして居てもぽかぽかして来て、その暑さで外套を脱いでしまった。

 暑いからジャケットを脱いじゃったわ。いいんじゃないの。

2人はウフフフと笑顔を交わした。

そんな風に何時もの2人らしく笑顔で会話しながら、初子は夢子が初子のくったくの無い笑顔から顔を背けて、

時折ふと寂しい表情を浮かべる事に全く気付いていなかった。

 若し夢子のそんな虚ろな表情に気付くものがいるとしたら、その時2人の腰かけたベンチの前、

3メートル程先にある、目の前のお札を販売する小屋の直ぐ横に設けられた朱色の布を掛けられた長椅子

その長椅子に丁度今腰かけた、2人連れの若い男女の外国人観光客だけだった事だろう。

 

 

 

 


今年の寒波

2017-01-16 12:09:42 | 日記

 今冬1番の寒波襲来という事で、本当に寒いです。

雪も積もって雪掻きしなければならないのですが、今年は何となく雪を搔くのに気が乗りません。

融雪剤、消雪剤という物を撒いてみました。効果はどのような物なのでしょうか。

 さて、前回のシリーズも一段落したので、写真を載せるとよいのですが、雪景色を撮る気が無いのと、

過去の写真で載せたい物が無いので、今年も新しく改まった1月の事、愈々私も文章創作でもしようかと考えています。

 「ポートレート」…戯曲

 「初詣」    …SF

の何方にしようかと迷っています。

 両方とも最近ふいっと頭に浮かんだ物なので、私自身も2つの作品が如何いった仕上がりになるのか全然分かりません。

未知との遭遇ですね。(笑い)

稚拙な出来かもしれませんが、書いてみますね。

 以上、予告でした。


梅干しです

2017-01-16 11:53:40 | 日記

 梅干しのお結びが1番好きです。

昔は祖母が、そして母が、自家製の梅干しを作っていました。

その梅干しで作ったお結びを持って、家族で海水浴に行くのが唯一の年中行事の楽しみでした。

家では昔、家族で1日お弁当を持って外出というとこの夏の海水浴ぐらいだったのです。

 そして、潮水を浴びた後の空腹に塩辛い梅干しのお結びなのですが、

この白米に赤く滲んだ所の塩加減が丁度良くて、今でも時々食べたくなります。

梅干しをかじっては白い白米の所を口に入れて、自身で塩加減を調節しながら食べる。

この口の中で混ざり合う梅とご飯の絶妙な旨味が、日本人の懐かしい味、おふくろの味、

ソウルフードという物なのでしょうね。

 私は時折、ラップの上にジャーのご飯、その真ん中に梅干しを載せ、丸く握ってお結びにします。

そしてお茶を用意して、お八よろしくパクつきます。これも結構至福の時なんですよね、私の。