Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

交際(ミルと初子の場合)、6

2017-01-23 19:09:24 | 日記

 他にも元教授は色々アドバイスしてくれた。

そして、交際を申し込む前に一度自分が相手の女性の父親役になってあげるから、

申し込みのシュミレーションをしてみたらいいよと申し出てくれた。

 これはミルにとっては願ったり叶ったりの申し出であった。

地球人の親の年代よりはやや古い人であったが、元教授は男親という者には違いない、

ミルの申し出に対しての彼の感想などぜひ参考にしたいと思うのだった。

 ミルは早速宇宙に帰ると元教授の選んでくれた本を読んでみた。

女性に交際を申し込むには、やはり先ずその父親を陥落するのが一番手っ取り早いべしとあった。

ミルが図書館で参考にしていた他の本にも、同じ様な事が出ていたので、これは一般的にそうらしいと彼は判断した。

元教授が父親役をと言ってくれたのには、そういった理由もあるのだと思う。

 次に、初子への交際の申し出の言葉を考えなければならない。

チルも初子の父親に様々にアプローチしていてくれたので、

まず、最初にミル自信が父親に挨拶する言葉を考える事にした。

本のその項目を調べてみる。

 男子たる者その交際相手の父親、及びその婦女子には勇猛果敢、誠実を以て常に正直に事に当たるべし。

とあった。

勇猛果敢は普段毎日の鍛錬でしているミルの事、造作ないなと思うが、

誠実と正直ではどうしたらよいかと考えてしまう。

本当に正直に話してよい物かどうか。

地球人との交際の調査研究の為にお嬢さんとの交際をお願いしたいのですが。

これでよいだろうか?何だか断られそうな気がした。

 さて、自己紹介の例なども書いてある。

私は○○軍の○○階級の誰それです。出身は○○県です。将来は○○艦長などを希望しております。

ふぅ~ん、とミルは思う。

自分の理想とする自己紹介と大差ない。これはこのままでよいなと地球の本にいたく感心する。

 後はどんな時、どんな場所から、今の学生が女性に交際を申し込むかをリサーチしてみた。

結果、学生同士の交流会、飲み会など、おふざけの場などでどさくさに紛れ、

お目当ての女性宅に電話している事が多かった。

こういう場面からだと、失敗した場合でも後の所作に困らないと本にもあった。

 早速ミルは飲み屋街をうろついて、学生の溜まり場で様々に必要例を採取した。

雑音、話声、歓声、ヤジ、等々、上手く電話のバックの音声も合成できた。

全て準備が整ったところでミルは宇宙船の自室に籠り、申し込みのセリフ練習を繰り返し行ってみる。

これでよい、自分ながら行けそうな気がした。うん、これはきっとうまく行くに違いないと思う。

明日は図書館で、何時もの親切な年配の地球人にシュミレーションしてもらおうと考えると、

ミルはうきうきとして、早々に寝床へと潜り込むのだった。


交際(ミルと初子の場合)、5

2017-01-23 14:18:53 | 日記

 ミルは図書館で元教授と知り合ってから、あれこれと話すようになった。

そんなある日、元教授はミルがある女性に交際を申し込めないでいる事を知る。

「ほぉう、そんな女性が?」

君にそんな物思いの女性がいるとはね、教授は意味ありげな目つきで頬を染めるミルの顔に見入った。

ふうんという感じで、彼はある本を索引で調べると、その本はまだ図書館に残っていた。

早速司書の係の人に書庫から出して来てもらうと、その本をミルに手渡した。

 「これこれ、これは良い本だよ、やはりいい本は残るんだね。」

そう言うと、自分が若かりし頃この本の教えの通りに行って、今は亡き細君と見事に交際出来た事、

細君の反応が全く本の例にあった通りの反応で、その後2人はめでたく結婚まで漕ぎ着けた、

という事を話すのであった。

 『結婚』という言葉にミルの方は抵抗があったが、

交際だけでよいと言うミルに対して、人生の先達は言ったものだ。

男女交際の目標は結婚なのだから、何でも目標は高く持たなければいけない。

交際は結婚までのプロセスだから、目標を結婚迄と高く持って、その後に交際を申し込むくらいじゃないと、

心にこうと決めた女性とは付き合えないよ、と。

 なるほど、とミルも思った。

今まで交際を申し込む事を目標にして来たミルだけに、目標設定が低過ぎたのだと思う。

それで交際まで行くのがなかなか捗らないのだと理解した。

 目標設定は高くである。

初子との結婚を目標に交際を申し込むのだと決意した。


交際(ミルと初子の場合)、4

2017-01-23 11:38:29 | 日記

 特殊任務を立派に果たし、輝く最高級士官となって、故郷に錦を飾るのだ。

この様に青雲の志を抱いたミル。

地球のこの地域ではもう死後になってしまったこの様な言葉を思い浮かべて、

ミルは今日もまた元気にここ地上にある図書館へと降りて来た。

就職して社会人になってしまったチルの設定とは違い、学習好きのミルはまだ大学に通う学生設定だった。

この地のかなり優秀な大学、その大学院へと進んだ事になっている。

 「やあ、こんにちは。」

「こんにちは、今日も良いお天気ですね。」

ミルと顔馴染みになった地球人の年配の男性がミルと挨拶を交わす。

この男性は何でも首都の或る大学で教授から名誉教授になり、

その後退官して自分の故郷である、ミルの大学のある土地へと戻って来たのだそうだ。

 故郷でのんびり細君と暮らそうと思っていたんだが…。

彼の話では故郷に戻って程無く連れ合いに先立たれたそうであった。

それは聞くも気の毒な話で、彼女は買い物に出て慣れない道で交通事故に遭い、

そのまま家に帰らぬ人になってしまったのだそうだった。

 「妻は星になった。」

1人取り残された夫がそういう物だから、一瞬ミルはこの星の住人は死ぬと星になるのだと真顔で思ったものだ。

この星には如何いった物質分解合成装置があり、人はどのような星に成り変るのだろうと想像した。

それは1個の個体で成り立つのか、何百何千何兆…個が合成されて、等ミルが考えていたら、

そのミルの黙として空を見つめる顔付に、事の次第を察した年配の地球人が言った。

 「西洋の言葉だよ。人が亡くなると星になるという、例えだよ、知らなかった?」

男性は折々、最近の若者の言葉の知らなさをミルに嘆いていたが、この時にもミルの顔つきからそう判断したらしい。

ミルの傍らで溜息を吐きながら、彼はこの言葉も死語になったかと呟いた。

 「それで、君は何処の国から来たの?」

老齢の男性にすると、ミルは近隣の外国から来た留学生なのだろうと言う見解であった。

それなら今後のライフワークに面倒を見てやろうかなと、

図書館の本の紹介や、もう死語になってしまった古語に当たる言葉等を親切にミルに解説してくれるのだった。


交際(ミルと初子の場合)、3

2017-01-23 09:46:02 | 日記

 摩訶不思議な交際が始まったミルと初子である。

出だしがこうであったから、その後も不思議な交際が続いた。

鷹夫は学生時代から遠隔地にいたので、初子は彼が休みで故郷に帰って来た時のみ彼に会うのである。

それ以外の時には電話するのだが、この電話も不思議な物だった。

 2人が交際を初めて程無く、ある日初子が出先から帰って来ると、

電話の傍に座っていた父が立ち上がりがてら、

「ここに電話番号が書いてあるから、好きな時に電話するといいぞ。」

と言った。

 当然家に入って来て直ぐの初子には、電話の前にある紙、その紙に書かれた番号が何の電話番号か分からない。

父のこの調子で普通の人は分かるのだろうか?

少なくともこの時の初子にはそれだけでは分からなかった。

だから直ぐ奥に行く父に何の電話かと尋ねたが、

父の方はほらそれだよと言うだけで、そのまま奥に消えてしまった。

彼女が思うに父は何か急ぎの用があったらしい。

 実は当時初子の父は失業中だった。逆に彼女の母の方はパート勤めという事もあり、

母が日中勤務に出て父が家で留守番するという、当時としては主夫の走りをしていた。

 電話番号は鷹夫の連絡先の物であり、直前にあった電話は彼の家の誰かであったらしい。

父の言葉を考える時、鷹夫の電話は今迄に2回。

それ以前は2人のお膳立てをすべく、彼の家の誰かが父に連絡をして来ていたと推察するべきだろう。

 事実、それは自称彼の祖父である、富士雄ことチルであった。

ミルの交際報告が遅々として進まないのに業を煮やした上官の彼が、

変声機でそれらしい年寄りの声を作って迄初子の父と会話をし、

鷹夫ことミルと初子の交際のお膳立てをしたのである。

 だからこそ、特殊任務が急展開した事で、急きょミルは日常の勤務後にそのリポートをまとめる事になった。

まとめる為に彼は2日程を費やした。

そしてリポート提出の前に、再度彼女にあのような確認の電話をしたのだった。

 無事交際成立のリポート課題を終えたミルは、特殊任務の1ステップの達成感で気持ちが明るくなった。

今後は彼女との交際について、上官のチルのような失敗を起こさぬように気を付けながら、

折に触れて彼女との交際結果をリポートにして提出すればよいだけである。

 ミルの心は1年越しの彼女へのアプローチの成功と、今後の任務遂行への期待で、

初子の住む今の地球の地域の気候、初秋の青空の様に隅々まで澄み渡ると、高く明るく膨らんで行った。


気になるものです

2017-01-23 09:01:10 | 日記

 厄年はやはり気になりました。

何故なら、よく、「気を付けていても何かしら厄年には起こる」と聞いていたからです。

それで、気休めでもよいので、私もある年に1度厄払いに行きました。

 実は25歳(男性の厄年)の時に怪我をしてしまい、結構その怪我が長引きました。

男性の厄年でさえこうだったと気になり、

本来の33歳の女性の厄年には確り厄払いに出かける事にしていました。

 ところがこの年代、子育ての真っ最中、正月も気が付けば15日過ぎ、

それでもまだ神社はやっているだろうからと、近所の神社に行ってみると、

社務所は閉まり人気がありません。

どうしようもなく、がっかりして帰って来ました。

恐る恐る、今年は何があるのだろうかと思っていたところ、

…、何も、何もありませんでした。健康上も全く問題なしでした。

 こうなると、25歳の時の男性の厄年でさえああであったのにという私の考えは消え去り、

思いだしてみても女性の厄年、19歳の時には何もなかった、と思うと、

迷信ですね。今から思っても迷信ですね。厄年には何もなかったですから。

行きません。