神が宿るところ

古社寺、磐座、不思議・パワースポット、古代史など極私的な興味の対象を見に行く

びく石

2011-12-31 19:23:28 | 名石・奇岩・怪岩
びく石(びくいし)。
場所:静岡県藤枝市瀬戸ノ谷。
「びく石」は、茶摘に使われるビク(茶籠)に似た形をした巨岩で、「石谷山(いしたにやま)」(標高526m)山頂付近にある。また、「石谷山」の通称も「びく石」という。県道32号線(藤枝黒俣線)で瀬戸川を遡っていくと案内板があり、狭い道路ながら山頂まで自動車で登ることができる。3~4台分だが、駐車場もある。しかし、ファミリーに好適なハイキングコースとして、旧岡部町側から徒歩で登る人が多いようだ。この場合、「道の駅 玉露の里」(場所:静岡県藤枝市岡部町新舟1214ー3。県道209号線(静岡朝比奈藤枝線)沿いで、広い駐車場がある。)が絶好の基地となる。旧岡部町側から登ると、途中にも「笹川八十八石」という奇岩を見ることができる。
さて、巨岩としての「びく石」ではなく、「石谷山」の山頂にある巨岩(写真4)は、三角錐のような岩を真ん中にして両脇にも少し低い岩がある形に見える。これはいわゆる「三尊形式」で、磐座によくある形である。駿河国には磐座らしい磐座がほとんどない中で、たしかにそれらしい形ではある。ただ、山頂にも山麓にも、神社にしろ寺院にしろ、宗教色が殆どみられず、磐座として祀られていたわけではないようである。


「ハローナビしずおか」のHPから(びく石コース)

「玉露の里」のHP


写真1:「びく石」山頂付近にある案内板。わかりやすく、図もきれいで秀逸。


写真2:「びく石山頂」の案内板。この場合の「びく石」は「石谷山」のことだろう。


写真3:山頂付近は大きな石が多数露出している。


写真4:最も高い場所にある巨岩。写真1の案内板では、ここは「海抜527m」となっている。


写真5:「びく石」。山頂から少し下がったところにある。
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足柄万葉公園

2011-12-02 23:59:25 | その他
足柄万葉公園(あしがらまんようこうえん)。
場所:神奈川県南足柄市矢倉沢。静岡県道・神奈川県道78号線(御殿場大井線)沿い、足柄峠から神奈川県側に約400m下ったところ。駐車場あり。
万葉集に「足柄」を詠った歌が17首あるという。そのうちの7首を石碑にして、それらを巡る散策路を整備した公園が「足柄万葉公園」で、足柄平野や相模湾を見下ろす景色がよく、隠れた夜景スポットともなっている。
万葉歌碑は、例えば、写真2:「安思我良乃 美佐可加思古美 久毛利欲能 阿我志多婆倍乎 許知弖都流可毛」。「足柄の 御坂畏み 曇り夜の 我が下延(したばえ)を 言出(こちで)つるかも」、意味は「足柄峠の神が恐ろしく、(峠を越えるときに)心の奥に秘めていた恋人の名を告げてしまった。(言ってはいけなかったのに。)」。作者不詳。
写真3は、「足柄の 御坂に立して 袖振らば 家なる妹は さやに見もかも」、意味は「足柄峠に立って袖を振ったら、家に残してきた妻ははっきりと見るだろうか。」。こちらは作者名が判っていて、埼玉郡の防人、藤原部等母麿(ふじわらのともまろ)。埼玉郡は現在の埼玉県東部とされており、そこから防人として都方面に向う途中の足柄峠で詠んだものとされる。
歌のことは全くの門外漢なので、これ以上のことは書かないが、写真2の歌では、当時「恋人の名を口に出す」ことはタブーだったとか、写真3の「袖を振る」というのは「魂を招く」ことを意味した(足柄峠から袖を振っても見えるはずはないので、テレパシーの類いだろう。)とか、研究すれば面白いことがいろいろあるようだ。
ここで、この2首について注意すべきことは2つ。1つは、どちらも足柄峠を「足柄の御坂」と敬称をつけていることで、元々、坂は「境」で、境界には神が宿っていた。まして、足柄峠は国境の坂である。敬意をもって当然だっただろう。2つ目は、そういう神が宿る場所だからこそ、タブーを破ったり、遠く離れた妻に念を送ったりという神秘的なことを行ったということである。


南足柄市のHPから(足柄万葉公園)

「南足柄の散歩道」のHPから(足柄峠と万葉公園)


写真1:「足柄万葉公園」入口付近の「かながわの景勝50選 足柄峠」の碑


写真2:万葉歌碑の1つ。この碑だけが万葉仮名による。


写真3:同上
コメント (3)
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