眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

カレーライス

2013-05-17 01:44:49 | 夢追い
 ラーメンにまつわる男女の話を聞いていると小腹が空いたような気がして電車を降りた。カウンター席には2、3人の客がいて、僕が腰掛けた目の前には2、3口のカレーライスが置いてあったので、遠慮なく口に運んだ。なかなかの辛味だと思っているとドアが開いて、手に煙草を握り締めた男が入ってきた。
「まだ食べていたのに!」
 自分が食べているのを今更返すわけにもいかず、僕は手を上げてマスターを呼んだ。
「この男にもう1杯のカレーを!」
 少しのトラブルはあったものの、しばらくして新しいカレーが運ばれてくると2人並んでカレーライスを食べた。どういうわけか、こちらの皿にもライスだけが付け加えられていて、とっくにカレーの方はなくなったというのに、細々と味気ない飯を口に運んだ。男は先に食べ終わり、満足そうに白い煙を吐き出すとそれはこちらも流れてきて、ライスの上を這う間に米粒の1つ1つに新しい力を加えてより強固なライスブロックを形成させた。胃袋に新鮮な空気を取り入れようと僕は煙に紛れながら店を出た。交差点の一角に煙草屋があり、同じ銘柄の煙草を買った。
「プレゼントかい?」
「カレーを食べてしまったんで」
「ごちそうさまを言うんだよ」
 店に戻るとカウンター席には2、3人の客がいて、男はもういなくなっていた。灰皿の中で、半分残った煙草がくすぶっている。
 席に近づくと爆発音がして米粒が飛んだ。
 筋肉質のライスの上では、忙しげにボンバーマンが活動を始めていた。

コメント
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