眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

F47

2021-09-02 04:27:00 | 将棋の時間
「今は?」
「47%です」
 AI記録係が答える。鼻差か……。
 指しはじめから評価を下げられている。
 飛車を振ったというだけでこれだ。真っ直ぐに敵陣を目指さず、1手使い自陣を移動したという指し回しがお気に召さないか。 
 しかし、私は遠回りすることが好きなのだ。
 敵は急戦の姿勢はみせず着々と囲いの完成を目指す。穴熊だ。完成すれば手のつけられない堅さとなる。こちらも黙ってはいられない。一目散に穴熊囲いを目指す。堅さには堅さで対抗する。古くからの教えである。
 駒はぶつからないまま待望の昼食タイムが近づいてきた。お互い全く同じような陣形だけに、形勢はほぼ互角と思われる。

「今は?」
「43%です」
 AI記録係が冷たく答える。
 何も悪手を指した覚えはないが、最新テクノロジーを通してみれば、僅かに形勢は悪化したということか。
「昼休に入れてください」
 10分前に私は次の手を持ち越した。これ以上悪くしてはメシがまずくなってしまう。きっと午後は流れが変わる。
 きつねうどんに七味唐辛子をこれでもかと注ぎ入れた。暑い夏が更に暑くなったように体が燃えてくる。

「ふらなきゃやってられない」
 うどんも四間飛車も、好きなものは譲れないのだ。

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おにぎりとメルヘン

2021-09-02 00:49:00 | いずれ日記
 おにぎりを食べた。
 おにぎりは見た目にも愛嬌があり1つ手に持っていると様々な物と交換を持ちかけられることもある。一度手から滑り落ちればコロコロと転がりはじめて、持ち主を失ったおにぎりを求めて他の動物たちが寄ってくるが、実際にそれに触れることのできるものは希であって、運動をやめることのないおにぎりは街をまたぎいつしか見知らぬ森までも行くようなこととなり、そこで自分のおにぎりであることを主張すると妖精のようなものに邪魔をされたり、いくつかの答えのない問題を出されたり、おにぎりを与える見返りに無理難題を与えられたりするお話は多くの国に存在し、人々の口元を緩ませたり、また箸休めとなっているとうことは事実だ。
 いずれにしろ、おにぎりを包み込むためには別に海苔が必要となり、それには味付け海苔や焼き海苔などの種類があるが、どれを選択するかはそれぞれの好みによって自ずと決まってくるものと思う。

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