眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

業務日誌「ヤモリ」

2020-10-23 00:38:00 | 幻日記
「さっき食堂の隅にヤモリが出ましてね」
「ヤモリ? それでどう対処しました?」
「……」
「まさかそのまま放置したのでは」
「ヤモリと言っても本当にヤモリかどうか。まるで動かなかったし、影のようでもあったし」
「いやいやいや」

チャカチャンチャンチャン♪

「いやずるいよ。ヤモリが出たのでしょう?」
「ヤモリに似ていたかも」
「言いましたよね、ヤモリが出たって。事実をねじ曲げるのはなしでしょう」
「事実というか主観ですから」

チャカチャンチャンチャン♪

「主観といういうのは信用が置けません。特に私の業務上のは」
「それで撃退もしなかった。見逃したのですね」

チャカチャンチャンチャン♪

「そうです。確信がなかったからです」
「確信ね」
「撃退するかわりと言っては何ですが」
「ん?」

チャカチャンチャンチャン♪

「ヤモリの似顔絵を描いてきました」
「暇か」
「これが私の見たヤモリです」
「これはわしじゃないか!」

チャカチャンチャンチャン♪

「まさかそんなことが」
「そろそろ森へ帰る時がきたようじゃ」
「店長、おつかれさまでした!」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あー、なんだ、そんな手か | トップ | ポプラの詩(ポエトリー・ポ... »

コメントを投稿