眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

昨日へ届け

2019-10-26 13:28:00 | 忘れものがかり
イヤリングをさがして
彼女は来た道を戻る

薄暗い夜道の中でさがすには
それはあまりに小さすぎ
手がかりがなさすぎる
余計なゴミが多すぎる
道が広すぎる

ひっきりなしにサイレンの音が
鳴り響いている
街の治安は悪すぎる

また明るくなってから
と一旦そう考えたけれど

来た道をずっと戻れば
明るかった頃まで戻れるのでは……
そのような着想をはじめて抱き

想いながら歩く内に日付をまたいだ

月夜から夕暮れへと遡り
やがて白昼の自分を見つけ
はっとした

「絶対にそれを落とさないで」
すれ違いざまにメモを手渡し

急ぎ足で今日に戻る


ちゃんと伝わっただろうか……


彼女は恐る恐る硝子戸に向かう


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 短歌のゴールデンタイム | トップ | セルフ・ジャッジ(読まなき... »

コメントを投稿