話すということは、他人の中に自分を探すことだった。普通に話していた。普通以上に言葉を選んだつもりだった。「その言い方は何だ」僕はそう言われて驚いた。もっと他に言い方はあったかもしれない。その瞬間、僕はもうあきらめてしまった。謝るということも怒ることもなく、話すという手段をあきらめてしまった。疲れてしまった。私はどうしてもという時に限って言葉を話すことに決めて多くの時を静かに過ごすことにしました。胸の内で自身とかわす言葉以外に外に出て行く言葉はほとんど消えてしまいました。俺はそんなの少しも気にしない。ほとんどのことは気にするに値しない。言葉が何。語尾が何。どうせみんな消えていく。持ち上げたものも、突き放したものも。風が吹けば紙屑みたいに消えていくものさ。俺はそんなものに心を割かない。俺は忙しい。俺の欲しいのは緑茶だ。そいつは簡単に手に入る? いや、そうとは限らない。むしろ、その逆だ。俺が望むがゆえに、そいつは逃げていく。悪意によって隠されてしまう。それが錯覚ならば単に偶然だろう。緑茶はポットに中にある。ちゃんと存在している。だが、そいつはトースターの向こうにある。トースターは二段重ねになっている。トースターの手前には、大きな炊飯器がある。緑茶を探すスタート地点は、その手前にある。俺は上手く見つけられるだろうか。君にしても同じことさ。私は大きな大きな炊飯器の底に無数の言葉を置いて、いつもいつも煮えたぎっていたのでした。ある時は大きな哀しみを、ある時は自分には解析できない怒りをため込みながら……。白いロケットの発射まで15分。そろそろだ。雑用に追われながら、僕は時々液晶を見た。15分。形の上では時間は止まることがある。あの時、僕の言葉は成長を止めてしまったのかもしれない。僕は連絡事項を抱え込んでいた。トラブルを解くためにはどうしても言葉が必要だ。15分。ブランクは繊細なニュアンスを奪っているかもしれない。短い言葉でも、大きな失敗を経験するかもしれない。2分。ため込んでいた時間が突然大きく触れた。飯はまだか。誰かが訴えている。何でも俺にきくな。少しは待て。何だって辛抱さ。
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