マイクの前に2人が立った後で
僕は姉を下がらせた
連日姉が
同じ話をすることが
どうしても耐えられなかったのだ
姉から預かった原稿を伏せて
今夜だけは
自分の話をしたいと皆に訴えた
誰が兄を知っているのか?
虚空をみつめながら
僕は皆に問いかけた
職場のことなどには
全く触れずに
押入れの奥にあった漫画のこと
好き勝手に
兄と僕のことばかりを話した
感情が込み上げてきて
あふれそうになると上を向いて
声を張るように努めた
これが挨拶?
不満を抱いた人もいただろう
感動した
聞けてよかったと
言ってくれた人もいた
ほとんど破れかぶれだった
勇気を振り絞って
よかったと思う
連日 話したのは結局は僕だった
人前であんなに話すなんて
大人になってからは初めてかもしれない
頭の中を回っていた言葉は
紙に書かずに
直接声に出すこともできたのだ
書くことと話すことは
そう変わらないのかもしれない
「あなたは隠していたのね」
姉が言ったことを ずっと考えている
僕のことを 誰が知っているのだろう
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