名人の手は重厚でとろみがかっていた。密かにあたためてあった新手に違いなかった。これはちょっとやそっとじゃ指せないぞ……。
「テレフォンお願いします」
私は記録係に(テレフォン)の権利を使うことを宣言した。10秒ほどで師匠につながった。
「師匠。あけましておめでとうございます」
挨拶もそこそこに早速本題に入る。これこれこうでこういう局面なんですけど、ちょっと難しくて……。
「1時間で答えてもらえますか」
そして、師匠は長考に入った。時折微かなため息が聞こえる。うーん……。やはりここは中盤の難所に違いない。
私は師匠を信じて目を閉じた。
残る権利は、(助っ人)のみである。
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