重量のない沈黙が、長く誤解の上に留まり続けていた。その時、私たちの脳裏には同時に同じ言葉が貼り付いていたはずだった。「この世界には上も下もない」だから先生はボタンを押せなかったし、ただ真っ直ぐ立ち尽くしていたのだ。私たちは2人して、4月の訪れだけを待ち続けた。 #twnovel
暗闇の黒のところに薄っすらと灰色を見つけて触ってみると何か枠のようなものが、「こんなところに窓が」私は風を打ち込む。すると窓が大きく開かれて、一気に景色が変わった。世界中の人が拾った風が一面に映し出されて、私は風を学ぶことができた。家の中で、私は旅人になった。 #twnovel
硝子の向こう側では、青白い光が激しく散っているのが見える。回転と共に演奏は狂おしいばかりの熱を帯びて、いよいよ香りが立ち上ってきた。壮大なオーケストラの演奏が終わると、静寂の扉を開けてついに主役が飛び出してくる。テーブルの上に載った豚さんは、今が食べ頃だ。 #twnovel
「そんな人はおりませんな」鑑定士は慎重に刀を抜き取ると一点の染みも見落とさぬ目で見つめた。人を切ったことがない者などいるものか。「おかしい」一点の曇りも見つけられず、首をひねった。「私はずっとひとりきりでした」侍は静かに口を開くと刀の表面にその眼光を合わせた。 #twnovel