眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

キウイ

2011-12-14 00:25:52 | 短歌/折句/あいうえお作文
北風に旨味をましたいりこだし

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友達は悪くない

2011-12-14 00:03:03 | 幻視タウン
 手紙の上の郵便番号が勝手気ままに弾かれているし、部屋番号がありもしない階数のものに書き換えられているので、もう少しで手紙を受け取れないところだった。どうでもいい手紙ならばよかったけれど、組織からの大事な指令などだったら大変なことになってしまう。それを読まなかったために、大事な任務を遂行できずに、消されてしまうかもしれなかった。
「危ないところだったよ」
 ホワイトボードを持ち、角を曲がると大泉がいた。やはり、まだ振り切れてはいなかったのだ。さて、どうするべきか。ポイントがいつの間にか溜まっていて、それでテレビを買おうかと考えたけど、どこに置こうかと考えるとまだそれは少し早い買い物かとも思われた。部屋には、まだ玄関に扉がなかったし、当然鍵もなかった。壁と壁の狭い間を通っていくしかなかったから、むやみに食べすぎて太ることもできなかったというわけで。
 路地裏に逃げたところで大泉から逃れられるだろうか。僕は逆に人足の途絶えることのない交差点に着目した。その真ん中にむしろ活路を見出したのだ。公の場で、手を出してくるだろうか……。
「そう考えたというわけさ」
 友達は、黙って僕の話を聞いていた。

 地下街を抜ける途中で本屋に吸い込まれて、入り口のところでエモヤンに会った。携帯電話を耳に当てて、会話をしている。「みやげものはあれでいいかな? 例の奴でいいかな? ん? ああ。そう。そう、そう、例のあれだよ。粒あんでいい?」会話に夢中で僕に気づかない振りをしている。肩を叩くがまだやめない。「そう、そう、持てるよ。ちゃんと持って帰るから」僕はぽんぽんと繰り返して肩を叩く。「してない、してない」してないでしょう。彼は誰とも電話なんかしていないのだ。ようやく偽の遠距離通話をやめて、僕の存在を認めた。「今は名古屋にいるんだって? 今日は仕事で?」と言うと急に怪訝な顔をして、「とういうよりも……」と切り出した。その時、彼の胸には名札がぶら下げられていてそれは知らない人の名前だったし、よく見ると顔ももうエモヤンではなかった。
「おかしなことがあるもんだろ?」
 友達は、少しも笑わず、一瞬顔を曇らせたように見えた。

 間にボールの1つでもあったなら、何かを表現することができたけれど、突然大男と1対1にされてどうしていいかわからなかった。ただロープの間を行ったり来たりして、相手の様子を窺っていた。男が手を合わせようとした時は、ハイタッチをしてすぐにロープに逃れた。力比べでは勝ち目がない。問題なのは何も技がないことだった。技1つないリングの上で、僕はどんなプロレスを見せればいいというのか。「とても困った」凶器にも使えるコーヒーの空き缶を1つ手にとって、僕はそれを高く掲げた。男の頭に向かって、振り下ろすと見せかけて、ぎりぎりのところで止めてみせた。そうして、ロープの外まで持っていくと、郵便ポストの中に投げ入れた。思いの他、観客に受けず、いよいよ焦りが増してきた。柔道の投げの1つを思い出して、試してみるが、決まらない。
「全然駄目なんだよ」
 友達は何も答えず黙って僕の言葉を呑み込んでいた。

「お客様。ここは食事をする場所でございます」
 誰かが、僕の肩に触れていた。
 はっとしている隙に、男は何かを話し始めた。

 風は秋で、秋は遠い母を思い出させた。緑の丘の上に母は居て、僕と並んでキノコの山を食べていた。夏とは違う優しさを帯びた風が吹き抜ける度に、辺り一帯に甘い香りが立ち込めた。けれども、同時に風は時を切り刻み、少しずつ2人の時間を奪い取ってゆく。小気味良い音と共にキノコは欠け、急速に落ちていく太陽が2つの影を引き裂いた。何度目かの風が、ついに丘全体を黒く塗り終えて、冷たく、さよならを突きつけた。
 風は止み、じりじりとした太陽が表立つと突然の夏がやってくる。唇から、さよならの切れ端が見つかる。

「お客様。ここは食事をする場所でございます」
 言葉が、肩に触れて僕をどこかに連れ戻そうとしている。
「テーブルの上に友達を置いて空想に浸る場所ではございません」
 いつから僕はここにいたのだろう。いつから友達を置いていたのだろう。想像以上にそうしていたのもしれない。空想の中を流れる時間は、現実の時間とは違うのだから。
「虫の1秒は、人の1秒と違うって知ってますか?」
「お客様。ご理解いただけますでしょうか」
 自分のことはともかく、友達のことを言われて、動揺してしまった。友達は悪くない。友達は何もしていない。友達は、友達は、友達は……。

 木目を追っていると本屋の中にいた。「お母さん」少年は、みんなの場所だからという意識を持ってか、母の耳に顔を寄せて小さな声で疑問を投げかけていた。「これは?」長椅子に座りながら、母は母で自分の本を読んでおり、その世界の時の流れが寸断されることに少しの疎ましさを覚えながら、少年の持つ絵本の中から立ち上がる種々の疑問に答えていった。それは時に正しく、時に母の私情と空想を織り込んだ答えだった。少年は、その1つ1つを自分なりに呑み込んでは、再び自分の物語の中に戻っていった。
「ブックカバーはおかけしますか?」僕はそのままでと答える。「袋にはお入れますか?」僕はそのままでと答える。そのままで、そのままで、そのままで……。
 1階の入り口に近いところで、父が待っていた。それぞれ別の階の別の場所に旅立って、いつも最終的に合流することになっていたのだった。父は心もち肩を落とし、疲れているように見えた。
「あったか?」
 声が届くまで近づいたところで口を開いた。
「なかったよ」
 1日探し回った結果、何も見つからないということもあった。そうか、と父も残念そうに言った。

「お客様。ここは食事をする場所でございます」
 普通の言葉が、呑み込まれるまでに普通以上の時間がかかる。
 この世界に自分の居場所あるということはどれたけうれしいことだろう。この世界に自分の居場所がないと知ることはどれだけ受け入れ難いことだろう。世の中がすべて自分を受けて入れてくれるわけではない。
「友達を置いて空想に浸る場所ではございません」
 友達はただ黙って僕の話を聞いていただけだ。
 僕はテーブルの上の友達を折りたたんで、鞄の中に片付けた。
 友達がいなくなったので、僕は急にひとりになってしまった。

 自分の周りだけが静かな夜だった。
 今、僕の友達はずっと遠くにいる。
 自分の居場所を失って、誰かを傷つけずにはいられないほどに傷つきながら、彼らは今にも憎しみに変わり果ててしまいそうな悲しみをそっと自分の中に抱え込んでいる。 1つの居場所を失った瞬間、もっと広い世界に目を向けて、どこかに必ず信じられるものがあると信じて、冷たい夜の中に足を踏み出していく。遠く名前も知らない街の中で、癒えることのない傷を抱えながら、ひとり負けずに闘っている友達と、僕は今、痛みを分かち合っているのだ。
 テーブルの端にある緑のボタンを押せば、すぐに誰かがやってくるだろう。(来ないかもしれない)。テーブル中を、ドリアやパスタやサラダで埋め尽くすことだってできるかもしれない。ボタンを押せば……。
 手は、どこでもなく自分の胸に動いた。
 心の中で、友達に語りかけた。

(僕も一緒だよ)



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ヤーコン

2011-12-13 23:52:10 | 12月の列車
「ヤーコンを植えよう」
 バアバが次の計画を立てた。



 12月の列車はトンネルの中に入った。

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リトルガール

2011-12-13 01:16:59 | ショートピース
「少しお時間よろしいですか?」私の足を止めようと少女は道の前に立った。話は短くまとめてあるからと言って微笑みかける。私たちは微妙な距離を保ったまま向き合いながら歩いた。「ほんの少しならあるんじゃないの?」哀願するように少女は言う。「それだって、私の時間ですから」。#twnovel

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人魂

2011-12-12 21:42:08 | 忘れものがかり
夜気の降りかかる
階段の途中
昨日と一緒で点滅している
エコ

ガソリンスタンドの天井は
太陽の展示会のように煌びやかに
泣き虫たちを招こうとしている
「あれは人魂ですよ」
ほら
一斉に降りてくる
密閉されたカプセルの中から未練と
光芒を引きずって

わあわあ追ってくる

流れる電車に
救いを求めて手を伸ばす
それはただの電光
野菜と楽曲を切り売りするスーパー

7月荘の中から
出てくるのは冬の人々
間違っているので話しかけられない
父の背中からは子供が
台詞のように突き出している

「こんなところにへその緒を入れたのね」
女が言ったので
途中で歌うのをやめた
タッパーを抱えて立っていた
「やめるから誰も立ち止まらないのよ」

左折した車のあとから
馬が現れて
踏み潰されると身を引くと
それはトランクだった
馬のように力を持ったトランクが
蹄を鳴らして歩く
アーケード

「私が好きなのは、屋根と建物の境界にある隙間なの」

シャボン玉のように上がっていく



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マヨマニア

2011-12-12 21:00:46 | 短歌/折句/あいうえお作文
またきみは
汚れた服の
ままでねる
憎たらしくて
愛してしまう

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500マイル

2011-12-12 19:58:17 | 12月の列車
 歯を磨く。包帯を巻く。本を読む。眠る。目覚める。
 新しい家の壁は真っ白で、天井の電気の中には虫1つ住んでいなかった。緩やかな階段を下りると、タコはまだキッチンで片づけをしていた。
「ボリュームをちょっと上げて」
 僕は2つほど上げてもう1つ上げた。途中で楽器が加わって 曲が大きく盛り上がった。
 リモコンは袋に入れたままだった。タコがパンをあたためてくれた。僕はキッチンでペンを見つけ、広告の裏に白を見つけた。
「カナさんのところから500メートルのところ」
 チェックのパジャマのバアバが横でしゃべり始めた。
「遺跡から16世紀の盤が見つかったの」
 ボリュームを1つ下げる。
 小田さんの話とバアバの話を同時に聞いた。
「初めて松たか子をみた、最近」
 話は自由にどこへでも飛んだ。タコがしょうが湯を作ってくれた。



 トンネルが12月を呑み込んで月日を真っ黒に染めてしまった。けれども、時が経つにつれて列車が進んでいるのは柔らかい雲の中でもあることがわかった。僕は巾着袋に入れたから揚げを背中に背負って、光ある方向へ向けて歩いていた。「あたたかい」歩くたびに、から揚げが背を打ってあたたかかった。灰色の雲を切り裂くようにして自転車が入ってくる。「一番向こう側に行きたいの」父親は後ろに娘を乗せて、顔を見ることなく、答えた。「どこかでみんなあきらめないとな」
「どうしてさ」
 代わりに僕が答えようとすると、自転車は8月のホームを逆走していた。あの親子に何があろうと、あきらめること、あきらめないこと、選択の対象が何であっても、それはまた別のお話、僕には縁のない物語だった。戻らなければ……。闇雲に答えを追いかけると夏の中に捕らえられて戻れなくなってしまうかもしれない。11月のホームを通過する列車を追って、僕は雲をつなぎ合わせた。

「切符を拝見いたします」
 トンネルを抜けると帽子の中で車掌の声がした。僕はまだあたたかいから揚げを1つ差し出した。

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空が消えた日

2011-12-12 17:15:21 | ショートピース
一つの光が人を引き寄せた。一つの声が人を呼んで、一人また一人と人を集めるにつれて、光の方も一つまた一つと増えていくと、もはやそれは未確認飛行物体ではなくった。気がつくと途方もない数の円盤が、空を覆い尽くしていた。そして、目撃情報は途絶えた。空が消えてしまったのだ。#twnovel

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DHA

2011-12-12 02:10:37 | 何でもええやん
柳原可奈子も食べる魚かな

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グレイトホール

2011-12-12 01:49:07 | 12月の列車
「すごい建物ができた」
 とバアバは言った。
「1500人入る」
「文化ホール?」
「カルタ大会なら200畳も敷き詰める」
 バアバは質問には、答えずに次々と情報を小出しにしてくる。それらを組み合わせて、建物の輪郭を作るのは想像力。



「時間がないぞ」
 狭い通路の中をねずみたちが一列になって走りすぎていく。その後を猫が自信に満ちた足取りでついていく。
「ないところにこそ時間はあるぞ」
 猫は、急激に加速してはねずみの列を確認するために立ち止まる。
「切符を拝見いたします」
 各座席を回っているのは、イノシシの係の者だった。眠っている乗客にも、容赦ない突進を浴びせて職務を遂行している。
 ボールに乗った虎がゆっくりと入ってくるが、反対側から行進してくるのは象の一団だった。
「お先にどうぞ」
 象は片側に身を寄せて紳士的な態度で足踏みをしている。それでも虎はすれ違うことができず、ボールに乗ったままやはり足踏みをしていた。席を外した指揮者がオーケストラを停滞させているようだった。
「年が明けてしまうぞ!」
 12月の扉を突き破るような勢いで、象の背中を蹴って兎がなだれ込んできた。その時、天上から猫が落ちてきて、兎と鉢合わせになった。
「おまえは関係ない!」
 猫は、突き放された「!」を見つめたまま、固まっていた。

「切符を拝見いたします」
 ついに、イノシシが僕のところにもやってきた。けれども、その時、12月の列車はトンネルの中に突入したのだった。

 
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フリーハウス

2011-12-08 23:40:56 | ショートピース
女は長く束ねられていた髪を解くとその小さな輪を地面に置いて「この中が君の家だよ」と告げた。男は突然の贈り物に驚きながらも意気揚々と輪の中に体を滑り入れた。「小さいけれど一家の主だ!」そう言って歩き出すと家も一緒についてくるのでなお喜んだ。「俺は自由じゃないか!」 #twnovel

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寄り添う鞄

2011-12-08 22:46:26 | 忘れものがかり
雨音が欲しくて
窓を開けておいたから
自由に人が入ってきて
すぐにいっぱいになる

それを下ろせば一人は座れるのに
男はずっと横に鞄を置いている

裏口から
ジョンが突然上がり込んできて
父と追いかけた
すばしっこくてとても追いつかない
疲れ果てて座り込んだ
泥のついた足跡が幾筋もついた
子犬は小刻みに震えていた
もうあんたは と母が言った
秋の日

雨音が強くなって
乗客のおしゃべりも聞こえなくなった
男はまだ鞄を横に置いている
眼も耳も鼻も口も
あるように
男は鞄を撫でている


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イチゴ遊戯

2011-12-08 22:29:41 | 12月の列車
 側面に向かって金銀青を投げつける。空中ブランコの始まり、うまくキャッチできなかったものは床に落ちてどこかに転がってゆく。
(気にするな。今は母体の方が大事)
 青は一番小さくて硬い。誰かがそれを発見して、ユウが青の密集地帯を作った。
 適当な場所にイチゴを散りばめた。後からまた大量のイチゴ群が到着する。
「使い切ってください」
 とタコが指示すると、下地は隙間なく赤で埋め尽くされた。



「切符を拝見いたします」

 遠くで誰かの声がするが、僕はカウンターの前で何かを待っていたのだ。やがて、上空からプロペラの回転する音がして風が植木鉢や、メニューや、調味料を蹴散らした。新聞がパタパタとページをめくり、女はお気に入りの帽子を手で押さえていた。吊り下げられたロープから、アイスコーヒーが下りてくる。
「高いところから失礼します」
 高いけれど、澄んだ声はよく通る。一口飲むと更に深く眠りに落ち込んでいくようだった。眠り込んで12月が終わってしまうとしたら、とても残念なことだ。
「ありがとうございます」
 邪念のない女の声がする。まだ僕はこの世の中にいた。


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順延

2011-12-08 02:58:45 | ショートピース
迷い込んだ熊はみんなで探し出して、腕のいい友達が、熊のハートを射抜いて天国への旅立ちを手伝いました。迷い込んだ鹿は友達みんなで追い立てて、元いた山へと追い返しました。「鹿にはハートがなかったの?」おばあさんは笑って答えました。「天国行きのバスが満席だったんだよ」。#twnovel

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ハワイ

2011-12-08 02:17:59 | 短歌/折句/あいうえお作文
早いことWiMAXにいらっしゃい


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