眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ショートコント

2019-07-17 06:24:03 | 【創作note】
短い詩しか書けなくなった
何かを思いついた瞬間
急速に興味が萎んでいく
 
「もういいかな」
と思ってしまう
 
はい 次次
次に行こうよ
形を成す前に
心は次のところへ行ってしまう
 
(心ここにあらず)
 
もう僕はここにいません
 
 
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トゥー・ホット

2019-07-17 06:10:24 | ワニがドーナッツ!
「出来立てのと作り置きのとありますが」
「僕は作り置きでいいや」
「同じで」
「俺も」
「出来立てで」
「じゃあ、作り置き3つとお兄ちゃんは出来立てね」
「おー」
 
「はい。お待たせ」
「おっ。きた」
「流石に早い」
「いいね!」
「旨い!」
「やっぱりこれだ」
「置いた分だけなお旨い」
「時間という名の調味料」
「うまい」
「おー」
「言うことなし」
「ごち」
「ごちごち」
「なにお前のまだ?」
 
「先行くよ」
「お先」
「熱々楽しんで」
「じゃあ」
「…………」
 
「お待たせ。ごめん兄ちゃん。今日の旨ないわ。作り置きのとちゃうねん。あっちは普通に旨いねんけど。今やったの新しい人やねん。味わかってへん。覚え立てやねん。ほんまごめんやで」
「いえいえ」
「熱いから気つけてや。熱々は熱々やねん。これ熱いだけや」
「うっ。あちっ」
「ほらみぃ」
 
ワニがドーナッツ!!!
 
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スープ・ハウス

2019-07-16 22:32:41 | ワニがドーナッツ!
間取りはそこそこ
わかめスープ付に
飛びついて契約した
 
ワニがドーナッツ!
 
わかめスープは体にやさしい
毎日飲んでもわかめスープはなくならない
だってついてるんだから
 
ワニがドーナッツ!
 
毎日毎日毎日
しあわせなわかめスープが
体も心もあたたかくしてくれて
 
毎日毎日毎日……
 
ずっと好きだと思っていたのに
 
なんかね
今日は
「トムヤムクンが飲みたい」
 
ワニがドーナッツ!!
 
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からくり調味料

2019-07-15 10:23:31 | ワニがドーナッツ!
だんだんと増えた調味料が
小さなテーブルの大部分を占めていた
 
薄っぺらい日常の中に
ささやかな刺激を求める内に
少しずつ少しずつ
 
本当は君がいれば
君一人がいてくれた方が
よほどスパイシーなのに
 
無秩序に置かれた調味料を
ぼんやりと眺めていた
 
調味料じゃない! おおおお
 
お前は?
 
ワニがドーナッツ!!
 
一匹のネズミが直立して
調味料になりすましている
 
合わさった小さな手が
微かに震えているのが見えた
 
「何を祈っているの?」
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贅沢はいらない!

2019-07-14 21:16:35 | ワニがドーナッツ!
今日は贅沢みそ汁ですよ
わーい!
贅沢な具だくさんみそ汁ですよ
わーい! わーい!
人参にジャガ芋に
わーい! わーい!
玉葱にお豆腐に
わーい! わーい!
人参に牛肉に人参に
 
人参もうええわ!
 
人参人参人参人参
ワニがドーナッツ!
 
牛肉玉葱人参
もうええわ
人参人参人参人参
人参もうええわ
人参人参人参人参
 
ワニがドーナッツ!!
 
玉葱人参ジャガ芋
芋芋芋芋芋芋芋芋芋
肉肉肉肉肉肉肉肉肉
もうええわ
汁がなくなるわ
 
!ワーニがドーナッツ!
 
芋芋芋芋芋芋芋芋芋
肉肉肉肉肉肉肉肉肉
 
もうええわ
肉じゃがやん
 
人参人参人参人参
芋芋芋芋芋芋芋芋芋
糸こんにゃく
 
肉じゃがやん
 
 
玉葱人参ジャガ芋
芋芋芋芋芋芋芋芋芋
肉肉肉肉肉肉肉肉肉
人参人参人参人参人参
人参人参人参人参人参
人参人参人参人参人参人参
人参人参人参人参人参人参人参
人参人参
 
ワッワッワニワニワニ
ワニがドーナッツ!!!
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ハンター

2019-07-13 20:58:56 | ワニがドーナッツ!
「思いつきで立ち上げた会社が大当たりしてね」
「そうだったんですか」
「年商3000円だ」
「3000円。へー」
「目標設定がマイナスだったから、これでも大当たりさ」
 
「ベンチャーですか」
「これからの会社なんだが、人手不足でね」
「そうですか」
 
「即戦力を探しているところだ」
「なるほど」
 
「それで人の良さげな君を見つけた」
「そうだったんですね」
 
「どう? 最初はただ働きだけど……」
「ただ?」
「ああそうだ。向こう3年は完全にただだ?」
「完全に……」
 
「私は君の人の良さを高く買っている」
「そうなんですね」
 
「だから、あえてただで使いたいと思う!」
「ただはちょっとなあ……」
「何か不安かね?」
「流石になあ……」
 
「ただほど高いものはないって言うだろ」
 
ワニがドーナッツ!!!
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おやすみの歌~毎日じゃなくていい

2019-07-12 04:58:24 | 【創作note】
毎日欠かすことなく
かけなくていい
少し気持ちをゆるめて
落ち着いて
天井を泳ぐ金魚を
眺めてみるのもいい
 
かけない時が
あなたの芯を強くする
 
一日も忘れず
かけなくていい
少し歩みをゆるめて
ぶらぶらと
すれ違う犬の数を
数えてみるのもいい
 
かけない時が
あなたの心のたくわえになる
 
今日は「note」を置いて
 
ゆっくり休め
 
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シナプス

2019-07-12 04:13:09 | 忘れものがかり
「そこを通らせてください」
あなたは穏やかに言った
 
 通りたいの?
 そのために
 自分は何ができるだろう
 
(そこをどけ!)
もしもそう言われていたら
僕は動けなかっただろう
 
誰かの希望のために
自分の選べる答えを
導き出す
    0.5秒
 
あなたは
楽しい想像の時間をくれた
 
「どうぞ」
 
僕は自ら一歩動くことで
あなたの道をひらいた
 
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メロンパン

2019-07-12 03:37:14 | リトル・メルヘン
素敵なカフェで素敵な詩が生まれるなら
僕はもう言葉なんて探さずに
ただ素敵なカフェだけ探して
歩いて行くことにしよう
 
ああ こんなところに
素敵なカフェがあったんだ
 
前を通るまでは気がつかなかったけど
地図にも口コミサイトにもまだ
載っていないけど
ああ こんなところにあったんだ
 
いらっしゃいませ
お好きな席へどうぞ
 
「ここはメロンパンが特におすすめなの」
 
確かにそうだった
横断歩道を渡ってくる前から
何かいい匂いがずっと漂っていたものだ
 
そうして僕はいまここにいる
 
「コーヒーをください」
 
テーブルの上にpomeraを開いて
 
僕は「メロンパン」と打ち込んだ
 
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改行ミッシング

2019-07-11 10:45:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
改行の加速の中に見逃した一千通の少数意見
(折句「鏡石」短歌)
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ぼくもアスリート!

2019-07-11 03:41:54 | ワニがドーナッツ!
「趣味は?」
「スポーツをたまにしますよ」
「野球とか?」
「色々やってますよ」
「サッカーとか?」
「チームスポーツじゃないんで」
「ああ。ゴルフですか?」
「読書です」
 
!!ワニがドーナッツ!!
 
「速読ですか?」
「たまに作文も」
「インドアスポーツですね」
「いえいえ。どこでもできますよ」
 
「外出先で?」
「どこでもできるんで」
「公園とか?」
「どこにでも歩いて行きますから」
 
「ああ。ウォーキングですね」
「はい。歩きながらだとよく浮かぶんです」
「いいアイデアが閃くんですね」
「空だって飛べちゃえますよ」
「オー! ファンタジー!」
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チャララララ

2019-07-10 19:07:16 | リトル・メルヘン
あのメロディーが聞こえてくると
みんなたまらず飛び出してくる
チャララララ
 
宿題も家事も放り投げて
絵を描く者は筆を置いて
争う者は拳を置いて
五段も七段も指し手を止めて
「一旦封じます」
 
チャララララ
対局室からアトリエから
地下街から屋上から
オフィスからビルの中から
トンネルから山の上から
町の外からまでも
 
チャララララ
 
吸い寄せられた人々に取り囲まれて
車は動きを止めた
降りてきた大統領が
みんなの注文に応える
 
チャララララ
 
チャンポン!
 
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踏切の向こう側

2019-07-09 00:51:45 | リトル・メルヘン
 生きていく上では忘れてはいけないことがいくつもある。
 挨拶をすること。まあ、いいや。後で返そう。呑気に構えている内にどんどん人々が去って行く。気がついた時には自分だけになっている。
 さよなら。言える時に言っておかないと後からでは言えなくなる。忘れないように……。そう心がけていても、やっぱり忘れてしまうことがある。
 
 鍵をかける。これは基本的なことだ。
 家を出る時には、他にも忘れてはいけない基本的なことがいくつもある。
 テレビを消すこと。
 誰もいない部屋の中で誰かがだらだらと話をしていたら、それはテレビがついているのだ。何となくつけたテレビを消し忘れてはいけない。
 洗濯機の中は空っぽか。
 回転を終えた時に洗濯機の仕事は終わる。その後は人間のすべきことだ。
 人間の仕事は人間がする。それは基本的なことだ。
 真冬にシャツ一枚で呑気に過ごしている時は、部屋のエアコンが働いていることだろう。静けさに気を緩めてスイッチを切るのを忘れてはいけない。
 オーブントースターの中は大丈夫か。
 久しぶりに扉を開けてみたらいつかのトーストが固まった姿で見つかった記憶が脳裏をかすめた。ついに交代のカードが切られることなくベンチを温め続けた選手の気持ちが、トーストにはわかるだろう。そのようなことがあってはいけない。
 私はコートを羽織り家を出た。
 鍵をかける。
 ちゃんとかけたか確かめる途中で鍵が回り開いてしまう。
 そして、もう一度鍵をかけ直す。鍵は完全にかけられた。
 
(何かを忘れているような気がする)
 そのような幻想も、忘れなければいけないものの一つに数えられる。
 
 夢をみること。それは生きていく上でとても重要なこと。
 現在がどれほど困難に満ちた状態に置かれていたとしても、夢という現在の向こう側、あるいは現実とは切り離された全く別の次元を持っているということは、どれだけ心強いことだろう。今が闇に沈んでも、夢では輝くこともできる。
 夢の中では故郷の空中都市がテレビのニュースで取り上げられている。今では雲より高く突き抜けて何を目指しているかは窺えないけれど、しばらく帰っていない間に驚くことになっている。もう亡くなった人が一緒にいて意見を求めたりする。生きている人も出てくるので、実際には誰が今どうなっているのか、目覚めた後で混乱もある。
 残り夢の中の住人たちは、日常の誰よりもずっと近くに感じる。
 
 いくつもの基本によって、今の自分は生かされている。
 
 
 路上に出て見知らぬ人々とすれ違いながら、私は鍵をかけてきたことを思い出しては気持ちを強く持つ。
 赤い点滅、遮断機がゆっくりと下りる。
 急ぐ者は誰一人いない。
 ジャリジャリと鍵はポケットの奥で存在を示した。
 大丈夫。何も心配ない。
 長い列車が通り過ぎる。
 乗客は皆、手の中の切符に目を落とし安心していた。
 遮断機が音もなく上がる。踏切の向こうにハルが待っていた。
 
「遅かったね」
 犬はあきれるような目で私を見上げた。
 おもむろに立ち上がると身を振って待ちくたびれた埃を落とした。
「さあ行こうか」
 
 
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必要とされる「ほっこり」

2019-07-09 00:42:43 | 【創作note】
書いていくことは体に悪い
俯いたり
かたまったり
肩が凝る
 
「なんでこんなことやってんだろう?」
そう思う人もいるかもしれないが
(何のことはない)
生きていくことはだいたい体に悪いのだ
 
そこをなんとかケアするために
マッサージ屋さんとか花屋さんとか
クレープ屋さんとかうどん屋さんとか
バーとかグーとか
美術館とか水族館とか
公民館とか体育館とか
コラムとかポエムとか
(それぞれの)「癒し空間」がある
 
みんな助け合いだった
「ほっこりするもの」
が人々に喜ばれるのだ
 
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生きた教え

2019-07-09 00:00:07 | 短い話、短い歌
 コントロールされることに疲れてしまった。いつの間にか立場が逆転していた。気づいた時には遅かった。遅かったとあきらめるようにコントロールされていたのだ。自分がリモコンを手にしていた頃に、本当は気がつくべきだった。けれども、私たちにはそれができなかった。心地よかった。心地よいと思う方へ流されてしまった。ずっと以前から、心地よいと思う方に向かうようにコントロールされていたのかもしれない。私たちはそういう生き物だった。もう新しいことは何も思いつかない。その必要もなくなったのだ。ただ疲れを感じた。私はインターネットからログアウトした。土を手にしたくなった。
 
 
AIの渡世を降りた親しみは熊が説く盆栽の切り口
 
(折句「江戸仕草」短歌)
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