眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ドロップ・アウト

2019-07-08 07:30:07 | ワニがドーナッツ!
ラインを抜けてメールをチェック
ノートをはじめ各SNSをまわる
妙に突き刺さるような視線を感じる
イヤホンを外すと車内放送のアナウンス
 
「ただいま運転を見合わせております」
何かあった?
「先頭車両にご乗車の……」
ん?
「麦わらの帽子に青Tシャツの男性」
むむ?
 
「速やかにスマートフォーンから手を離してください」
該当者は他にいない
怒られていたのは僕だった
 
ワニがドーナッツ!
 
今さら手放すような真似ができるもんか
(つながっていなければ消えてしまう)
 
世間の目なんかよりも大事なのは
手の中にある温もりと赤い知らせ
僕はスマホを持ったまま飛び出した
すぐにドアが閉まる
降り立ったホームから列車を振り返った
 
『優生電車』
 
やっぱり乗り間違えていた
優生電車で俯くことは許されない
 
「うっかりしたよ」
 
今朝のポストは
些細なあやまりから始まった
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トマトソース・ファンタジー

2019-07-07 10:31:14 | ワニがドーナッツ!
パスタにトマトソースを絡めている
どこまでも行き渡るように
注意深く馴染ませている
もういいかな
もう十分だと
自分でも思う
思いながら
僕はずっと
トマトソースを絡めている
 
既に目的は達成され
意味は失われたようでもある
いったい何なんだ
 
ワニがドーナッツ!
 
「いいよ」と誰かが言ってくれるまで
もういいよと誰かが優しく言ってくれるまで
もう十分に絡んだじゃないか
やったじゃないか!
そのように誰かが
僕の仕草に気づいて
僕の仕草を認めてくれるまで
もう「いいよ」
やったじゃないか!
やったじゃないか!
やったじゃないか!
やりましたのー!
ワニがドーナッツ!
そのように誰かが
僕の仕草に気づいて
僕の仕草を許してくれるまで
できたじゃないか!
やったじゃないか!
やったじゃないか!
やったじゃないか!
もう「いいよ」
 
きっとそんな幻想が消えないから
ずっと僕は
ワニがドーナッツ!!!!!!
 
パスタにトマトソースを絡めている
 
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秘密のバイキング

2019-07-06 10:26:58 | ワニがドーナッツ!
「こちら焼売のようなものでございます」
「わーい! 色々あるね!」
「こちらは筑前煮のようなものでございます。奮ってお取りくださいませ」
「わーい! 何でもあるね!」
「こちらはスクランブルエッグのようなものでございます」
「ここいいね! パパやったね!」
「こちらはできたて。ビビンバのようなものでございます」
「ちょっといいですか?」
「お好きなだけ遠慮なくお取りくださいませ」
「ビビンバとは違うんですね」
「ビビンバのようなものでございます」
「実際は何なんですか? 気になるんですけど」
「ありがとうございます。関心をお寄せいただきまして」
 
ワニがドーナッツ!!
 
「いや、そういうことじゃなくて。教えてください」
「はい。肉団子のようなものでございます」
「本当は?」
「ありがとうございます。企業努力で似せております」
「何なん? これ何なん?」
「こちら鳥の唐揚げのようなものでございます」
「教えてください! 真実を教えてください!」
「見てそっくり食べて納得の品でございます」
「何なん? 鳥なん? 大丈夫なん?」
「お好きなものをお好きなだけお取りください」
「みんな偽物なん?」
「お客様の心でございます」
 
ワニがドーナッツ!!!
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キリマンジャロ・ライブ

2019-07-05 09:09:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
約束のキリマンジャロをともにして打ち終わらない歩のアンコール
(折句「焼き豆腐」短歌)
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空友

2019-07-05 03:53:27 | 自分探しの迷子
 とっくに中身を飲んでしまったカップを持って行くところが見当たらない。仕方なく僕は空っぽのカップを持ったまましばらくの間、歩くことになるのだ。しばらくの間……。3分でも20年でもそんな概念はどうにでもなる。僕はそれなりの忍耐力は持っている。行き場のないカップはずっと手にくっついている。どこかにゴミ箱はないかな。ゴミ箱はどこにもない。僕がそれを探し求めているからだ。僕の体を温めて少し甘くした後のカップはとても軽い。その存在を忘れてしまいそうになるほど軽かった。カップはそれでいていつも僕の手と共にあった。何かを持ち上げようとするとき、何かを操ろうとする時、ふとその存在に気づかされるのだ。使い捨てのマイカップ。捨てたくても捨てることができない。空っぽのカップは、まだ私の手の中にあるようでした。
 
 控えめな態度で私の手の中にそれとなく収まっているのを、私はまだ捨てることができずにいました。私がゴミ箱を探し始めてからしばらく経ったはずですが、それはまだ私の目の前に姿を現してはくれません。しばらくというものは、ほんの15分を指すこともあれば、人類が誕生してから今この瞬間を指して言うことも可能で、使われ方にはなかなかの幅があるものです。私がゴミ箱を見つけようと努力しているのは、私の手を煩わせるこのカップが、既に本来の役目を終えてゴミになったからだと言うことができます。しばらくしても見つからないのは、この街の治安のよしあしが少しは影響していると言えそうです。僕はまだゴミ箱を見つけ出すことができない。
 
 その辺にポイ捨てできないのは、僕がモラルある人間だからだ。あるいは、わしはかっこつけているのかもしれんな。優しい自分に酔っていたいジェネレーションなんかもしれん。わしは何時でも熱い飲み物を望んでおるんじゃ。「見つからなくてもいい」次第に僕はそう思うようになっていた。道行く人が恋人やギターやチワワをつれているように、それぞれの相棒と共に歩んでいくように。僕にとってはこの空っぽのこのカップが……。握りつぶさないように僕はカップを強く握りしめた。膝を叩いてリズムを取る。その時、俺はお前を見つけたんだ。
 
「お前はゴミじゃない!」
 俺はもうゴミ箱を見ていない。すぐ目の前をゴミ箱の群が通り過ぎたとしても、俺はそれを見ない。しばらくの間、お前は俺の相棒だ。俺からはお前を捨てない。俺は傷み、老い、だんだん物忘れが酷くなっていく。その分、俺は優しくなるんだ。だから心配するな。先に燃え尽きるのは、俺の方に決まっている。そうだ。名前をつけよう。俺から贈る友情の証。お前は、かっちゃんだ!
「なあ、かっちゃん。次はどこへ行く?」
 
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コーナーキック・イノベーション

2019-07-05 03:02:48 | フェイク・コラム
 まずコーナーキックからの失点である。
 これは長年に渡り日本チームが悩まされてきた弱点とも言える。
 印象的には、日本は10本蹴って1点、5本蹴られると1点。それが強豪国と戦った時にみえるコーナーの景色だ。更に、蹴ったところからカウンターをあびる場面も多く見られる。
 
「コーナーフラッグが見つめるかなしい現実」
 
 セットプレーの多くはやむを得ぬファール、必死のクリアによって与えられる。そこからぽーんと放り込まれてズドンとダイレクトで決まってしまうのは、最も恐れているからこそ残念にも思う。崩された気はしないのに。ぽーん、ズドン。タイミングと高さだけで、持って行かれるなんて……。
 
「よーいドンでは負けてしまう。求められる工夫は」
 
 その時、得点者の打点は頭一つ抜き出ている。
 言ってみればそれはモグラ叩きだ。
 ならばゴール前の密集の中で必要となるのはハンマーだ。
 頭一つ高いなら狙いを定めるのも容易だ。
 
「出られるものなら出るがよい」
 
 みんなモグラ対策のハンマーを持って待ちかまえているぞ。痛いぜ。キュッキュッ言うぜ。ああ恐ろしい。モグラになったらやられちゃう。そう思わせることができれば相当なものだ。
 飛ぶのは危険だな。滞空時間控えめにしようかな。打点は低めにしようかな。目立つのやめようかな。あいつら持ってるからな。そこまで思わせたらなかなかのものだ。
 その場で相手が恐れを抱くようになったとしたら、コーナー付近の事情は少し変わってくるかもしれない。
 
 しかしながら、そのようなハンマーを持った選手はまだ現れてはいないようだ。課題は育成にも及ぶ。現在のゲームの主流と言えば、eスポーツを中心としたサッカーゲームだ。そこには当然ながらモグラもハンマーも存在しない。そうなるとモグラ叩きをイメージすること自体が難しくなっている。
 町の憩いの場として存在したゲームセンターは、今また新しい価値観の元で再生を待たれているのである。
 
 
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触れるだけ

2019-07-05 00:44:28 | 【創作note】
鹿のように歩み寄ってはこない
犬のようにふさふさもしていない
pomeraにただ触れているのがいい
その形、その重さ、その音、
いつも僕の知っているpomeraだ
 
pomeraに触れている時の自分が好き
 
それでどうなるというものでもない
特別な何かが生み出されるわけでもない
だけど触れずにいると
壊れてしまうのは僕の方だ
 
膝の上に乗ったpomeraが
抜群な角度でこちらを向いている
その角っこに僕の指が触れる
 
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隠れ地球人

2019-07-04 23:20:18 | ワニがドーナッツ!
「ずっと地球人を気取っていたんでしょ」
「別にそんなつもりじゃない」
「だったら何?」
「何がどうしたってんだ」
 
「宇宙人の方がよほど詳しいってのさ」
「何が?」
「あの辺のこと、この辺のこと、ご近所のこと、海のこと、海の向こうのこと、深海のこと、砂漠のこと、雨のこと、虹のこと、みんなみんな」
 
「宇宙人はガイドブックを持ってるからだろ」
「それが何だと言うの」
「別に深い意味はないよ」
 
「住んでいるだけで地球人? あんた地球の何を知ってるの? いったいどこをたずねたの? 何を学んできたの?」
「住んでいればいいじゃないか。僕はずっとそう思って住んできた」
「へー」
「これまでも。きっとこれからも」
 
「あんたみたいなのを隠れ地球人っていうのよ」
「隠れ地球人? 何だそりゃ」
 
「わかってんのよね。私もそうだもん」
「お前も?」
「そう」
 
「ふーん」
 
「あんたも私も隠れ地球人」
 
!ワーニがドーナッツ!
 
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つぶやきのうわさ

2019-07-03 21:12:27 | ワニがドーナッツ!
「10万回つぶやくと終わりらしいよ」
 
ワニがドーナッツ!
 
「終わりって、どうなるの?」
「消えるらしい」
「消える?」
「みんな消えるらしいよ」
 
「みんなって?」
 
「今までのつぶやきも、写真も、みんな」
「えっ」
「アカウントも消えてもう入れないらしい」
 
「まあ、僕、どうせ無口だから」
「そう?」
「心配ないわ」
「そうか。あっ……」
 
「ん?」
 
「10万回ってのが違ったかも」
 
「違うって?」
 
「気になり出した?」
「いや、別に……」
 
「まあ、どうせうわさだからさ」
 
ワニがドーナッツ!!
 
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カラス水道

2019-07-03 03:28:09 | ワニがドーナッツ!
「みえるか?」
「なるほど。あーやって水を飲むねんな」
「そーや」
「で、あーやって止めんねんな」
「あほかお前。止め方なんか覚えんでええねん」
「ん? 覚えといてもええんちゃう」
「あー? お前止めんのか?」
「いや、止めへんけど」
「ほれみい。覚えんでええやないか」
「でも一応……」
 
ワニがドーナッツ!!
 
「あ? 一応てなんや?」
「あ? 何が?」
「あ? どうでもええやん」
「ええやん別に」
「あ? しょーもないこと覚えんでええねん」
「あー。なんか喉渇いてきたー」
 
ワニがドーナッツ!!!
 
 
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ハイライト

2019-07-02 01:37:46 | ワニがドーナッツ!
「いい試合でしたね」
「白熱した好ゲームでした」
「最初に言ってしまえば最後までスコアは動きません」
「惜しいシーンは多かったですがね」
「結局スコアレスドローでしたね」
「結果的にそうなりました」
「それでは振り返りましょう」
 
ワニがドーナッツ!!
 
「前半35分ゴール前でプチメッシが倒された場面です」
「いい位置でセットプレーとなりました」
「十分直接狙える距離でしたね」
「キッカーはプチメッシです」
「壁は5枚。キーパーはやや右寄りにポジションを取っています」
「ここから、直接狙ったー!」
「入るかー!」
「惜しい! ポスト直撃!」
「惜しいシーンでした」
「90分で最も惜しいシーンでした」
「そうでしたね。あと僅かなところでした」
「それでは後半戦も振り返りましょう」
 
ワニがドーナッツ!!
 
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おじいさんと雨

2019-07-02 00:46:32 | リトル・メルヘン
 本当は早く終わってほしかった。
 おじいさんの話を聞きながら、僕は雨が心配だった。
 朝のお天気おねえさんが言っていた通りに、雲は今まさに頭上に集まりつつあった。おじいさんはとても楽しそうだ。たいした相槌も返せないけれど、おじいさんはどんどん話を前に進めた。僕はただ静かに話がきりのいいところまで行って落ち着くのを待った。
 
(それではまた)
 別れの言葉をポケットの中で温めていた。もうそろそろ話は出尽くしたようだ。おじいさんの声もゆっくり着地に向かっているように思えた。
 
「けどね…」
 おじいさんは自らの話を引き継いで話し続けた。
 終わったようで終わっていない。
 魔法のけどねを唱えると話のゾンビが復活して、再び活発に動き始めた。
 おじいさんは少しも雲の流れを気にする様子はない。久しぶりに釣れた魚を出迎えるように、全身を使いながら語っている。
「けどね」ゾンビは何度でも復活した。おじいさんは話が好きだ。
 
(それではまた)
 さよならはポケットの中で飛び出していくチャンスを見送り続けるしかなかった。
 いよいよ雨が心配になった。
 おじいさんは益々脂がのってきた。
 これが最後の話だとでもいうように一切を出し惜しみしなかった。
 おじいさんは少し昔の話をした。少し腰の痛い話、元気な孫の話、世知辛い世の中の話をした。それから少し僕のことを気にかけた。
 
 終わらない話の中で雨は降り始めた。
 おじいさんの顔が濡れているけれど、相変わらず楽しそうだ。
 僕は傘を開き、傘の下で話を聞いた。
 雨が傘の上で弾けておじいさんの声に交じった。時々おじいさんの声が途切れた。見えない隙間を想像と努力で埋めた。ようやくおじいさんも傘を開いた。傘の下で楽しそうに話している。
 雨粒が大きくなって傘を打ちつけた。おじいさんは平気な顔で話し続ける。
 時々おじいさんは笑った。きっとそれは楽しい部分なのだ。合わせて僕も笑う。
 
 風を伴って雨はどんどん激しくなって行く。
 もう、ほとんど話は見えなくなってしまった。
 雨は冷たい打ち消し線だ。
 その向こう側でおじいさんの口は開き、舌が高速で回転している。
 純粋な雨音の中に、時々擬音のようなものが入り交じった。
 一つも伝わっていないのにまるで平気なおじいさん。おじいさんの口元を見ているとだんだん楽しくなってきて僕は笑った。
 
 やっぱり、おじいさんは話が好きだ。
 雨に負けずに、おじいさんも笑った。
 
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バッド・リリース

2019-07-02 00:01:22 | 【創作note】
「こんなところで何やってんだ」
 
書けば書くほど
言いたいことから離れていく
世界から離れていく
読者が離れていく
 
(割に合わないことばかり)
 
書けば書くほど
心と体が離れていく
やりたいこととやっていることは
まるでバラバラだ
 
「もうしません」
 
そして僕はpomeraを閉じた
 
おしまい(また明日)
 
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バタフライ

2019-07-01 23:53:28 | 短い話、短い歌
 高く飛んだ。
 軽く越えられるというのは過信だったのか。早くも自分の体が引力に負けてしまうのがわかる。着地地点に見えるのは煮えたぎる大鍋だ!
 やばいぞ! 僕は必死になって足をバタバタとさせる。
「かみさま見ていてください!」
 僕の最強の抵抗を。すべては漫画の世界で習った通り。
 どんな時でも、困難を乗り越えるのは意志を貫き通した者だけだ。
 バタバタバタ! 風を蹴れ!
 強くもがけば真理だって、空気だって変えられる。
 街を越えろ! 虹を越えろ!
 ちゃんこの向こうは、きっとシントトロイデン。
 
 
大鋸屑を
ダイヤで磨く
一品に
軸を移した
虹の横綱
 
(折句「お大事に」短歌)
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泥沼地獄

2019-07-01 23:22:15 | ナノライト
置いたままにしておくと
「出しっ放しか」
と責められる
 
片づけておくと
「いちいちしまうな」
と怒られる
 
何もしないと
「見ているだけか」
と責められる
 
すすんで動くと
「余計なことをするな」
と怒られる
 
とどめても駄目
動いても駄目
 
いずれにしても
よい行いはできない
 
あなたの前では
僕は 人間失格
 
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