「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

OK, Boomer

2019-11-13 04:00:53 | いろいろ
OK ブーマー。

最近はやりのフレーズだ。

ブーマーとはベビー・ブームと呼ばれる時代に生まれた人たちのことだ。

1945年に第二次世界大戦が終了して大量の兵隊さんたちが国に戻り、通常の暮らしを開始し、世界中で翌年以降赤ちゃんがたくさん誕生する。

ベビー・ブーマーの定義もいろいろあるようだが、通常は1946年からの15年程度の期間に生まれた人々を意味することが多い。

つまり50代の後半のどこかから70代の初めのどこかまでの方々を指す言葉だ。

還暦を迎えたばかりの私もそこの若い方に入る。

最近世界中で話題になった「OK ブーマー」とは、こちら。

動画開始から38秒のところだ。



ニュージーランドの国会である。

若き国会議員、スウォーブリック氏は気候変動の問題について演説していた。

美しい国ニュージーランドだって、牧畜業による二酸化炭素やメタンガスの発生による気候変動への影響が深刻だ。

彼女の演説中、年配の議員が彼女の年齢についてヤジを飛ばした。

彼女はそれに対してひとこと「OK ブーマー」とだけ応じ、そのまま演説を続けた。

ヤジを飛ばした高齢な議員は、黙らざるを得なくなった。

気候変動問題は、年齢層で反応が異なる。

今のまんまの生活でなんとか楽に逃げ切りたいシニア層は、気候変動問題に鈍感だ。

生活習慣を変えることにも消極的だし、もっと言えば変化への順応力で劣る。

しかしこれから少なくとも半世紀以上生きなければならない20代なんて層はこの問題にとても敏感だ。

「OK ブーマー」はそんな敏感な世代から、鈍感な世代に向けた、少々軽蔑を込めた呼称である。

あちこちで聞かれるようになった。

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日本の年金問題も同様。

年金制度の問題の原因を作ったのはブーマー世代だが、その問題の解決は、現時点で若い世代に押し付けられる。

所得代替率(年金受給額 ÷ 現役時代の所得)は将来の世代ではどんどん下がりそうだ。

つまりブーマー世代は、合計で自分たちが得るべき以上のものを公的年金で現在得てしまっているのは確実だ。

そしてそれを減額されることに抵抗を示す。

仮に今の亀のような経済成長がのろのろ続いたとしたら、平均的所得代替率は今後どんどん下がってしまう。

現在20代半ばの方々が年金受給者になる頃には、とても厳しいことになっているだろう。


【Source:FNN 2019.08】

オレオレ詐欺ではなく、ワシワシ詐欺なんて言葉がある。

年金制度の上記のような実態を理解しながらも「ワシの年金、ワシの年金」と言って、今のレベルの年金受給額をもらい続けて死んでゆく世代を、その後の問題を押し付けられる若い世代が揶揄する言葉だ。

こんな状態では、若年者の高齢者に対する尊敬も減じられるだろう。

むしろ世代間闘争的には、高齢者は若年者の将来の富を奪う、若年者の敵になってしまっているかもしれない。

若年者の国民年金未納が批判されたりするが、彼ら若い未納者から見たら、ある程度合理的な行動だと言えるだろう。

彼ら若年者は一生懸命掛け金を積んでも、ワシワシ世代がそれを先に吸い取ってしまうので、自分達は遠い将来それを取り戻せないと危惧しているのだから。

ワシワシ詐欺って、少々情けない響きがある言葉だ。

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キャッシュレス取引を選好する姿勢も年齢層で大きく差がある。

キャッシュレス取引と言っても、「私はクレジットカードを持っているから、キャッシュレス取引選好派です」ということにはならないのであしからず。

クレジットカードなんて半世紀近く前の日本でも多く存在したものである。

そうではなくって、コンビニでもスーパーでもレストランでも、電子マネー(と言ってもかなり広いが)を日常レベルで使用しているか否かというレベルの問題だ。

数カ月前の朝日新聞の調査によると、日本でキャッシュレス取引拡大を選好する傾向が最も顕著な世代は30代。

しかしその選好度合は年齢層が高くなるほど、弱くなる。

その朝日新聞の調査がこちら。

今後キャッシュレス取引を増やしたいか? 好きか?の質問に対して各世代の答えは、以下の通り:



キャッシュレス決済という分野で各国を比較すると、ここ10年ほどの間に、日本は相当出遅れてしまった。

あらゆる世代で、欧米主要先進国や中国などと比べて、日本では現金決済が選好される。

そして高齢者ほどそれが顕著だ。

移動その他の動作が困難になる高齢者ほど、本当はキャッシュレス決済やスマホ決済やネット決済を利用するメリットがあるのだが、実際には高齢者ほどキャッシュレス取引を回避する傾向、嫌悪する傾向が顕著。

国内の送金から投信購入まで、何事でも銀行の窓口で、銀行員と対面して、かつ現金をやりとりする傾向がある。

現金ではないにしても、印鑑と払い戻し請求書を使い、銀行員の手を煩わせる。

保険契約など多くが今やタブレットでペーパレスでも出来てしまうが、それもあまり好まれない。

銀行はいつまでも、余計な支店網を維持し、そこに銀行員を張り付けておかないといけないだろう。なにせカネを持っているのは高齢者だ。

現金をなくせば、銀行員もATMも、激減させることができるのに。。。

現金主義の銀行利用者は、自分で自分の生活コストを引き上げているようなものである。

もっとわかりやすいのがコンビニだ。

コンビニでは大きな駅ナカの店舗だとたいてい二つのレジがある。

電子マネーのセルフレジと、昔ながらの対面レジだ。

前者は店員を必要としない。

商品のバーコード読み取りと電子マネー決済で、わずか数秒でお客がひとりで支払い作業を済ませられる。

しかしたいてい前者の前はガラガラだ。人が並んでいない。

多くの人は後者、対面レジに並ぶ。待ってでもそちらで決済しようとする。

このまま行くと日本は相対的に、相当効率悪い国になって行くでしょうねぇ。

コンビニはセルフレジを利用する顧客に対する商品価格を思いっきり引き下げてしまえばよいと思う。

そうすれば公共料金支払いなど、ちょっとややこしいことを依頼したい顧客以外、対面レジに並ばなくなるだろうに。

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一般的に若い人は政治に関心がなく、政治的にはとても静かで投票にも行かないとされてきた。

したがって、先に挙げた年金問題など、現在の受給者である高齢者に好きにされて来た面がある。

投票に行かない若年層より、一生懸命投票するワシワシ詐欺達を有利に扱う方が票になることを心得た政治家が、それを手助けしてきた。

ところが冒頭の気候変動問題では世代間で感応度が異なり、若い世代がより問題に敏感で、かつ若い世代がそれに関して政治的に声を上げることが見られるようになった。


【Source: タイム誌】

気候変動問題も、それに関連する肉食の内容的転換やアマゾンの森林火災にも、若い世代が順応力や感応度の高さを示す。

現在の気候変動問題の原因を作った高齢者たちの世代に対して、若年層が異論をぶつけて来ている。

大きな変化だ。

キャッシュレス取引も似たところがある。

キャッシュレス取引は気候変動問題とも密接に結びついている。当然ながらキャッシュレスになるほど、環境的には良い。

硬貨の鋳造、紙幣の印刷がなくなり、現金輸送がなくなり、ATMも銀行の店舗も減らす。

日本ではまだまだ浸透していないので、キャッシュレス取引の伸びしろは大きいだろうね。

まわりまわって、それを提供する企業の利益率が上がるか、利用者の生活コストが安くなるか、あるいはその両方だ。

否応なしに、これから加速度的にいろいろ変化が見られそう。



数日前の日経新聞。

ビーガン食やスマホを使った電子マネーの話が記事のトップを飾る。

昨日のまた別のニュース。ローソンがついにレジなし店舗開設を決めたらしい。

お客はスマホや顔認証で支払いを済ませることになるらしい。

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日本のブーマー達はピッカピカの経済先進国である日本の経済を先頭切って引っ張って来たように思っている。

ところが様々なデータを見る限り、いつの間にか成長しなくなりスピード感で相対的にかなり見劣りする日本という国の中で、そのブーマー達が最も頑迷な層を形成していると客観的には見えることだろう。

そんな時代だ。あぁ~。

コメント (16)
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