「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

キシラデコール塗装@七里ガ浜自宅  塗料の思い出(?)

2009-08-13 04:08:21 | 建築外観・構造
久しぶりに木部の防腐剤を兼ねた塗料、キシラデコールを自宅玄関ドアに塗った。確か昨年は1度も塗装していないと思う。玄関ドアはオーク製で木目もキレイなので愛着を感じている。家の竣工当時に比べると、木目に優しさが出て来た。木が収縮と膨張を繰り返して歪みも生じ、オークのドアらしい貫禄も現れて来た。

この種の塗料としては、木部に浸透するキシラデコールよりも、日落ちし難く、薄い被膜を作って艶が感じられるシッケンズの方が優れていると私は思っている。しかし自宅については当初からキシラデコールの塗装にした。キシラデコールの方が少量でどこでも買うことが出来て、こうやって玄関扉だけを塗装するような場合、便利だと考えたからだ。画像は塗装直後でテカテカに見えるが、これは数週間経つと収まるはずだ。



世の中は変わったものだと思う。最初の別荘となった丸太のログハウスを手に入れるべく私が奔走していた1980年代末、木部の保護塗料はこれほど広くは普及していなかった。キシラデコールやシッケンズなんて名前を知る人も一般には少なく、当時の丸太のログハウス・フリーク達がその優劣を語っていたのを思い出す。つまり屋外で木部の保護塗料を使うような機会自体が一般的には少なかったのである。ところがその黎明期からログハウスにはウッドデッキがつきもので、建物本体の壁と屋外のウッドデッキの両方を、同じキシラデコールなりシッケンズなりで塗装をしていた。つまり例外もあろうが、ウッドデッキがある場合は、その横にある建物本体の内外装も専ら木そのもので作られていたのだ。一方そうでない一般住宅の庭にウッドデッキがあるという状況はあまり見られなかったのである。

その後1990年代に入りガーデニング・ブームが起こると、並行してレンガや木を使い小型の外構工事をDIYすることが流行る。そのための部材がホームセンターに溢れた。円高もあってレンガも木もたいてい輸入品だった(今もそうだ)。1997年には雑誌ドゥーパ!が創刊。その頃までには、ウッドデッキを自作するなんてことは当たり前になっていた。平成不況が深刻度を増す中、90年代の内向き志向がそれ以前は外で派手に金ばかり使っていたおっさんを「家」に回帰させ「自作」を後押しもした。

以前はあまり一般的でなかった木部の保護塗料も一般化したし、ログハウスに限らずあちこちでウッドデッキが併設された建物が普通に見られるようになる。昔はログハウス等ではこうした塗料も屋内にも使用されていたが、途中から「それは有害だ」ということになり、今ではオスモ等高価な屋内用塗料が用いられている。ガーデニングに「再生利用」ということで大流行した枕木だったが、これもまた有毒物質を含むということで21世紀に入ったあたりで廃れる。長い間にはいろいろと変遷があるのだ。


(左がキシラデコール、右がシッケンズ)

今も庭にウッドデッキを自作することがかなりの流行である。屋外のリビング・ルームと言うべき場所で敢えてウッドデッキという木造構築物と親しむのであれば、デッキ以上に長い時間を過ごすこととなる建物本体の内外の造作を、まずはもっと自然木で作れば良いのになぁと私は思うのだが、そうではないお宅が多いことは私にとって不思議である。

後になってウッドデッキを増設するお宅は別だ。「家はすでにある。しかし後から庭にウッドデッキを作りたいと思った・・・」というのなら私もよくわかる。ところが最初からウッドデッキを併設した新築のお宅の多くが、内外の壁、妻壁、破風、天井、あるいはドアや窓枠等の建具の各部や家具を、樹脂系新建材、ガルバリウム鋼板その他の無機質な部材で固めていたりする。ここ15年くらいの間に日本の多くの新築住宅で起こったことを、建築素材という限定的な角度からザクッと概括すると・・・
①屋内では大きな変化はなし(シックハウス対応くらいか)
②なんと屋外、それも建物本体ではなく雨にさらされ腐食しやすいデッキやテラスにおいて、アルミあるいは樹脂から、素材の木化が進む
・・・と、対照的な状況が見られたわけである。

最近では豪州産や南米産で、比重がやたら大きくメンテが少なくても長持ちするデッキ材も大量に輸入されている。難点は、木材としての風合いにやや欠けることと、硬いために加工が大変なことか。しかし木材を使うなら合理的な選択だ。


(左が山荘、右が自宅のダイニング)

コストについては木だらけあるいは新建材だらけの建築のどちらを選んでも同じようなもので、作りようで高くも安くもなるだろうが、多くの人は樹脂や金属を多用して建物本体を新築しながら、最も腐りやすい所である外のデッキに「雰囲気が良い」として木を用い、キシラデコールやシッケンズを使い敢えてそのメンテを楽しみ、やがて腐食してまたその補修を楽しむのである。「雰囲気が良い」とするならより多くの時間を過ごす屋内にこそ、もっと木を多用すればいいのに・・・とは変人(=私)の考えることらしい。人それぞれ、考え方がいかに違うかということを痛感する。

尤も組み合わせの妙というのもある。例えて言うと、超モダンな建築物の中が和風の内装だなんて状況は非常に心惹かれるものだ。だから建物がガラスと金属とコンクリートを駆使した尖った雰囲気で、その横にウッドデッキを作るという状況もあって良いだろう。しかし大半はそういった「質感の異なる素材の絶妙な組合せ」を特に意図しているわけでもなさそうだ。

以前とは異なり丸太のログハウスにもはや興味はないものの、私は木が好きだから、ブレイス代表の丸山さんに山荘も自宅も、玄関ドアからはじまって内外装に木を多用してもらった。壁や天井にクロスも使っていない。そして私はウッドデッキに興味がないのだから、やはり変人だ。



塗装の作業はなかなか良い。塗りながら古いことを思い出したり、いろいろなことを考えられる。あっ!そうだ。ランチをつくらねば。今日はニンニクと唐辛子をつかった炒めごはん。エネルギー補給だ。主夫はあれこれ忙しい。
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