ちょっと前の日本経済新聞に、市街化区域と土砂災害警戒区域が重なっているところが日本中に多くあるという記事が掲載されていた。
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【Source: 日本経済新聞】
市街化区域は建物を建てることが認められている区域で、そうでないところは市街化調整区域と呼ばれる。
だから市街化区域に指定した場所が土砂災害警戒区域でもあるというのは大きな矛盾だが、それを行政は放置して来た。
横浜市戸塚区の住宅街の画像(↓)らしい。横浜市はこんな住宅街だらけである。JR横須賀線に乗って外の風景を見ていると、戸塚⇒東戸塚⇒保土ヶ谷⇒横浜の駅の間にこういう風景が見える。かなりの急傾斜地の上下左右にずらっと家が並んでいて、下の住宅のコンクリート擁壁が大雨や地震で崩れたら、その上の住宅も危ういみたいなところが多い。
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【Source: 日本経済新聞】
コンクリート擁壁って、仮に法令に合わせて作られていても、やがて劣化する。擁壁が長い間にたわみ、地震で倒壊した例は全国に数多い。また最初から違法な擁壁も多いらしい。
大昔に作られた石組みの擁壁なんて、大雨と地震があればおかしくなって行く。先日大阪市内であった崩壊はこんな具合だ。
つまり擁壁があっても、特に古いものは安心はできない。チェックが必要だ。
冒頭の日経の記事では、横浜市戸塚区の市街化区域で環境も良い場所の戸建てに一昨年に引っ越して来たら、今年5月になってそこが土砂災害警戒区域に指定され驚いたというご家庭の例も紹介されていた。
そして今も、土砂災害警戒区域の斜面を切り崩してわざわざ新たに宅地として開発することを行政が認めてしまっている。
横浜にそういうことが多いというだけで、それは横浜に限らず、全国的な問題であるらしい。
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【Source: 日本経済新聞】
全国的に人口が減り、世帯数が減り、すでに空き家だらけで、集中豪雨が多くなり各地で土砂災害の甚大な被害が毎年のように見られ、環境も悪化するばかりというのに、新たな土地の開発がまだ認められている。
市町村別に見た、市街化区域と土砂災害警戒区域が重なる場所に建つ住宅戸数のランキングだ。
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【Source: 日本経済新聞】
なんと鎌倉市は12位で、人口や世帯数で考えたら異様に大きな数字だ。
北・東・西と三方を山に囲まれていて南は海という自然の要害・・・なんてことで頼朝に選ばれた鎌倉だからね。あちこち急斜面だらけ。
線引きを変えないといけないという意識は全国的にもあるようだが、それは大変だ。
長年放置してきたツケだね。下の図のように、市街化区域から市街化調整区域に変更されると、自分の所有する土地の価値が下がると考える人も多くいるだろうから、抵抗も強い。
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【Source: 日本経済新聞】
鎌倉市はご覧の通りで、あちこちが警戒区域である(↓)。
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【Source: 鎌倉市】
そこにいっぱい住宅が建っている。空き家も多い。
人口が増え続けた時代なら新たな開発もわからないではないが、もう30年くらいの間、鎌倉市の人口はほぼ横ばいであり、市の予測では将来の鎌倉市の人口は漸減する傾向にある。
だったらせめて土砂災害警戒区域での新たな宅地開発はできないようにしませんかね。
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危ないし、環境的にもよろしくない。
それより、増え続ける空き家を活性化しないと。このまま新規宅地開発を許可して土地の分割も放置すると、全体の戸数は増え続ける。しかしやがて人口は減ると市自体が予測しているわけだから、きっと30年後なんて鎌倉市内は空き家だらけになるのだろうね。景観的にも防犯的にもマイナスだ。
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何年か前に我が七里ガ浜住宅地の北側、鎌倉山二丁目の急斜面で新たな開発が起こり大問題になった。
長い経緯があるが、業者は手の込んだ方法で結局そこを好き勝手に開発してしまった。どうしてこうなるのかねぇ? あまりに鎌倉市役所はゆる過ぎないかね?
リンクはこちら ⇒ https://kamakuramidori.jp/
先日の熱海の土石流もそうだ。熱海市は多くが市街化区域と市街化調整区域の区分けもないらしい。鉄筋コンクリートの擁壁でつくる斜面の宅地開発とは話が違うが、今回の土石流の起点は山の急斜面であり、そこには大量の盛土があったと言う。そうした処理が法律の不備その他の理由で規制されることなく行われてしまい、当初想定されていたもの以外の残土まで運び込まれていたことがわかっている。それでもそれを行った者が罰せられた形跡はなく、長年放置されて来た。それが原因で土砂が下流へ流れ込み家が流され多数の人が死んだのだとしたら、それは行政の不作為な姿勢による人災だ。
今回の土石流と同様なことは今世紀に入ってからの20年間ほどだけでも、全国で十数件発生していて、亡くなった方もいたという。今回の熱海の不幸な出来事を受けて、国土交通省は全国的な盛土工事の調査を行うそうだ。熱海市も現地工事の指導の経緯を調べるという。都道府県も動き出している。でもそれじゃ遅いよね。
土砂災害警戒区域と市街化区域が重なった状態が長年放置され、新たな宅地開発が今も全国で許可されているという今回の話題も、行政の姿勢としてはそれと似たような面があると思う。
楽なものです。
そうですよね。いまだに放置されていて、
さらに危険を助長するみたいなものです。
日本中で拡大しているみたいです。
あの斜面はひどかったですね。
私も不思議に思いました。やる気のなさが特徴の
鎌倉市役所です。それでも全国で有名な高給与¥
な市役所です。
この記事が取り扱った内容は、以前から私の関心事
でした。以前から横浜や鎌倉の風景を見ていて、
大丈夫かな?と不思議に思っていたのですが、
別に驚くことではないようです。
つまり土砂災害警戒区域と市街化区域は普通に
重なっていて、その状態はずっと放置されている
ことのようです。
しかし過去はわかるとしても、
新規にそういうところが、いまだ新規住宅地
開発として、認められているところがオドロキ
ですねえ。
なんで???
災害が起きても国の保証はないのですよね。
家を建てた後に指定された場合もでしょうか。
せめて新たな土地の開発はやめてほしいです。
横須賀線の車窓から外を見ていると、横浜の郊外
ってすごいですよね。鎌倉も似たようなものです
けど。地主に遠慮している間にこうなっちゃった
んでしょうね。
神奈川県って起伏のあるところが多いので、
土砂災害警戒区域だらけですね。何かあっても
当然国が補償するわけじゃないから、
市街化区域だからって家を建てる場合も、
「自己責任で注意して建てろや~」ってこと
なんでしょう。
市街化調整区域でも現状で宅地なところは、今後
も宅地として取引されるのですが、
そういうところも土砂災害警戒区域だらけです。
こうした線引きを変更するのは、個人の経済的
損失も発生するので、簡単ではないのですが
だからと言って長年放置してきたツケが今来て
いるわけですね。時間をかけて少しずつでも
変えて行くべきだと思います。線引きを変え、
新たな開発を止めることをやって行かないと
いけないと私は思いますが、思わない人が
多いのでしょう。