考えていることを。
多分、共感を得ることはできないかなと思う部分です。この手の話を真剣にしても誰も興味を持たないでしょうから。日常的に話をすることはありません。意味がない。練習計画の中に「何故その練習をするのか」という説明ができるかどうかです。「感覚的」にこれがいいなと思う練習もありますが、「何故その練習をするのか」という部分で相手に対してきちんと説明ができる練習をしたいと思っています。逆に「説明」ができない練習はやりたくない。合宿などで「めちゃくちゃやる」という日であれば関係ないと思います。「殻を破る」という練習の中に「論理性」はなくてもいいかな。これは全く根拠がない部分かもしれませんが。
例えば60mを走る。60mを全力で走ったら疲れます。当然です。この「疲れ」というのがどのレベルなのかという話です。単純に「気持ちが疲れた」というのもありますし、「筋肉が疲れた」というのもあります。しかし、「エネルギー」の問題としてこの短い距離であれば「ATP-CP系」と言われるエネルギー供給の形で身体を動かします。炭水化物が「エネルギー源」と言われますが、実際はそれを「ATP(アデノシン三リン酸)」の形で利用します。「ATP」から「P(リン酸)」を切り離して「ADP(アデノシン二リン酸)」になるときにエネルギーが発生します。「ATP」は分解すると無くなってしまいます。なくなると活動が停止してしまうので、人の体の中では常に「ATPの再合成」が行われている。「ATP-CP系」「解糖系」「有酸素系」という3つの「エネルギー供給形態」により活動するためのエネルギーが供給されている。「運動強度」「運動時間」によってその「主たる供給形態」が変わってきます。「主たる」と書いたのはここを詳しくかくととんでもないことになるので(笑)。
なかでも「ATP-CP系」は「ATPを作る」ためにクレアチンリン酸を使用します。クレアチンリン酸は筋肉中に存在していて、「爆発的な力の発揮」をするときに利用されます。競技力を高めるためにサプリメントの「クレアチン」を摂取して筋肉中のクレアチンの量を増やすのもそのためです。一般的には「ATP-CP系」のエネルギー供給は「10秒程度」と言われています。かなり短時間。短時間の爆発的な運動に「クレアチンリン酸」が利用される。これは時間が限られている。さらに使用した「クレアチンリン酸」はしばらくすると筋肉中に貯蓄されます。色々な文献があるのでどれが正解か分かりませんが、運動終了後30秒で約70%程度の回復するといわれています。
かなりめんどくさい話を書いているので分からないと思いますが。で、60mを走ったら「疲れる」けど「まだ走れる」というのはこういう部分です。走り終わって少し休んだら「エネルギー」が筋肉中に戻ってくるのでまた全力で走れる。「走れない」というのは「肉体的」な部分ではなく「精神的」な部分であったり、「心肺機能」の部分だったりします。その部分を考えながら練習をどのように組み立てるかというのは大きなことだと思っています。単純に「走ればいい」というわけではない。もちろん、何も考えずに「60m×3」という感じでメニューに入ることもあると思います。ここの「狙い」がどこにあるか。単純に60mを全力で走れば同じ効果があるかもしれません。なぜ「60m」を設定するのかは重要なことだと思います。
前置きが長くなりましたが、メニュー的には「60m」を休憩時間が60秒で2往復、3往復、2往復で実施しました。休憩時間のほうが走っている時間よりも圧倒的に長くなります。「ATP-CP系」のエネルギー供給のことを考えると1本につき3分程度とるほうが「筋肉中のクレアチンリン酸の回復」は良いということですが。どちらにしても「最大負荷」をかけられるかどうかは練習の意味を分けていくと思います。どちらにしても「キツイ」部分があるので選手自身がどれだえけ「力を出すか」は大きな問題になります。60秒であれば「回復」します。出そうと思えば出し切れるのです。問題は「出し切る」という強い意志があるか。きつさに負けてスピードを緩めてしまったら効果はなくなります。そこに対してどれだけ意識を向けられるか。覚悟を決められるか。
難しいのは「選手の意識レベル」によって「負荷の強弱」が大きく変わってしまう練習が存在するということです。指導する側の「意図」がきちんと選手に浸透していてそれを「実行」してくれるかどうかだと思っています。単純に60mを走ればいいのではない。「往復走」という形でやるので30秒に1本というのも考えられます。こうなると「心肺機能」の負荷になるかもしれません。「最大出力」にはならないので「身体を動かす」ことがメインになる練習なのかもしれません。今の時点では「意図」はそこにありません。「練習がきつかった」という選手自身の感覚であれば間違いなく短時間で何本も走るほうがきついと思います。それは「効果」としてどうなのか。ここは考えるべきだと思います。
あえて「エネルギー供給形態」について触れていますが、「練習」には色々な意味があります。どうしても「技術練習」が好まれる傾向があります。「やった感」があるからです。何かを教えてもらってそれをやった。その中で少しできるようになった。しかし、本当の意味での競技では「練習効果」を考える必要があります。嫌かもしれませんが「耐乳酸性」の練習も必要です。地味ですが「補強」をして効率よく地面に力を伝える&推進力を生み出すための土台を作らないといけません。でもこれは「地味」です。そこに関しても「腹筋」「背筋」だけを何となくやっているというのでは「本多王に必要なこと」は身につきません。色々なことが「なぜやるのか」という部分に繋がっていきます。
まとまっていませんが。記録しておきます。
何を意識して練習を組み立てるか。ここはすごく大切な部分です。だからこそこのこだわりをどう練習に入れるかは譲れません。マークの距離や本数もきちんとやらないと効果はないと思っています。
それは繰り返し話しています。それでも理解してもらえるかどうか。これから先どのような形で指導するのがベストなのか分かりませんが、こだわりを持ってやっていけたらと思います。
運動生理学を考えながら練習を考えると本当に面白いです。無駄を省いた練習が作れると良いなと常に思っています(笑)
今回のATP-CP系のお話、大変興味深く拝読いたしました。
エネルギー代謝のエビデンスに基づいた練習設計に、素人のわたしでも感服しました。
図解でみると、さらにわかりやすい文献も見つけ、人間の筋肉はよくできているなあ…と新しい知見を得られました。
個人的に人体の生理学は好きです。
確かに、誰かに説明するとなると時間が足りないですね(笑)!